NTTコムICTソリューションズ、橋本吉正 最高執行責任者

進出日本企業

進出日本企業  トップ・インタビュー
第12回

NTTコムICTソリューションズ

山橋本吉正 最高執行責任者(COO)

日本の大手電気通信事業者NTTコミュニケーションズはこのほど、在豪現地法人「NTTコムICTソリューションズ」を設立した。NTTオーストラリアと傘下の情報通信技術(ICT)企業2社の3ブランドを統合し、ワン・ストップで顧客の要望に応える新体制に移行した。その狙いについて、橋本吉正・最高執行責任者(COO)に話を聞いた。(インタビュー=ジャーナリスト・守屋太郎)

●PROFILE
はしもと・よしまさ
NTTコムICTソリューションズ最高執行責任者(COO)兼NTTオーストラリア最高経営責任者(CEO)
<略歴>NTT Com ICT Solutions COO (NTT Australia MD&CEO)1988年京都大学法学部卒業後、同年日本電信電話(株)入社。電報電話局など現場、本社広報部勤務を経て1995年米国ワシントン大学留学、MBA取得。1997年より一貫して国際事業分野に従事し、2004年より米国駐在、2010年3月よりNTTオーストラリア社長。2013年7月組織統合後現職。

 

3ブランド統合し新体制発足
きめ細かいソリューション提供

 

——まずNTTコミュニケーションズとはどんな会社なのか、教えてください。


移転した新オフィス

NTTグループには現在、大きく分けて6つの事業の柱があります。日本国内で主に固定電話とインターネットのサービスを提供する「NTT東日本」と「NTT西日本」、長距離・国際通信などを手がける「NTTコミュニケーションズ」、ソフト開発事業などを展開する「NTTデータ」、携帯電話の「NTTドコモ」、2010年に買収した南ア系IT大手「ディメンション・データ」の6つです。

このうちNTTコミュニケーションズは、NTT再編の一環で100%出資の子会社として1999年に発足しました。日本国内の都道府県をまたぐ長距離通信、国際通信、法人向けのシステム構築が主な事業です。豪州など海外拠点は法人向けサービスに特化しているのが特徴です。

 

——NTTがシドニーに拠点を開設したのは97年でした。豪州進出の当初の狙いは?

国際通信事業への参入解禁に備え、NTTは企業向けのデータ通信事業を展開するため欧米や香港など次々と海外に進出していました。初期は日系企業の通信ニーズに対応するのが主な目的でした。オーストラリアに進出したのもその一環です。

2000年代に入ると、豪州国内の需要を取り込むことで規模拡大を目指しました。現地プロバイダー「ダブネット」を買収してADSLのインターネット事業に参入しました。ところが、プロバイダー事業はコモディティー化が進み数年で撤退。いったん日系企業中心のビジネスに回帰しました。

その後、戦略を練り直し、地場の有力企業の買収により再び現地市場の攻略を図りました。11年にサーバーやストレージ事業などを手がけるフロントライン・システムズ・オーストラリア、データ・センターなどを展開するハーバーMSPの2社を傘下に収めたのです。

NTTのグローバル資産生かす

——このたび3つのブランドを統合してNTTコムICTソリューションズを立ち上げました。


皆様のご要望にお応えするセールス・スタッフたち

同じ会社なのに3つの組織が別々に動いていたため、顧客にとって分かりにくい面がありました。そのため、当初から計画していた組織の統一を前倒しました。13年に入って3社の機能をシドニーの新しい本社に統合し、同年11月11日に正式に1つの会社としてスタートしました。

旧NTTオーストラリアの社員数は37人でしたが、統合後は約200人と2社のスタッフが大半を占めるようになりました。新会社の最高経営責任者(CEO)もフロントラインからモンテ・デービス氏を迎え入れ、私がCOOとしてサポートする形を取っています。

「ワン・ストップ」(1つの窓口)でサービスが受けられるようになりましたので、顧客の利便性は大幅に向上しました。当社にとっても、1つのブランドを分かりやすい形で市場に訴求できるようになりました。

 

——両者にとって「ウィン・ウィン」と言えるわけですね。ところで、豪州のほかの通信事業者と比べて、NTTコムICTソリューションズの強みは何ですか?

法人向けの通信サービスは、テルストラやオプタスなど大手通信事業者も提供しています。これらの企業は豪国内では強いものの、国際的なプレゼンスはそれほど大きくありません。その点、私たちは海底ケーブルなどNTTグループのグローバルなインフラ網を最大限に生かすことが可能です。


NTTグループのインフラを生かしたクラウド・サービス

一方、データ・センターなどのITソリューション事業ではヒューレット・パッカード(HP)やIBMといったハードウエア・メーカーの存在感が強くなっています。そうした中で、私たちはネットワークとITソリューションの両方で世界展開していることが最大の強みと言えるでしょう。

中でも急速に普及しているクラウドの分野では、ブランド統一のメリットをフルに生かせると考えています。企業にとってのクラウドの利点は、サーバーやストレージのリソースを共有することで、低コストでデータを保管・管理できることです。最近は懸念も徐々に払拭され、重要なデータもクラウドに移行するようになってきました。豪州でも政府のデータをクラウドに移行する動きが出ています。

 

——目下の課題と今後の目標を聞かせてください。

IT事業を差別化できる最大の要素は、実は「人」なんです。顧客のニーズを的確にとらえ、ソリューションを提供できる人材をいかにそろえるか。この国では有能なスタッフは争奪戦になります。雇用の維持にはコストもかかります。良質な人材を安定的に確保していくことが課題です。

一方、コストを削減する通信サービスにとって、景気の悪化は必ずしもマイナスとは限りません。鉱業部門などは厳しいですが、法人向け通信サービスはそれほど影響を受けていません。

従来は従業員数30人前後、年商2,000万〜3,000万豪ドル程度で推移してきましたが、統合後は約200人、2億5,000万豪ドル前後と一気に規模が拡大しました。「エンド・トゥ・エンド」(端から端まで)のきめ細かなICTソリューションを提供できる体制が整ったので、今後はお客様がITソリューションをご検討の際に選択肢の3つのうちの1つに常に名前が挙がることが当面の目標です。

 

日本企業の皆さんにとっても満足できる日本品質のサービスを提供していますので、通信サービスの契約更新の際はぜひ声をかけてください。

<会社概要>
●英文会社名:NTT Com ICT Solutions (Australia) Pty Ltd
●企業形態:NTTコミュニケーションズの現地法人
●代表者:橋本吉正・最高執行責任者(COO)
●拠点:シドニー、メルボルン、キャンベラ、ブリスベン
●データ・センター:シドニー、メルボルン
●従業員数:約200人
●主な事業:クラウド、データ・センター、セキュリティー、ネットワークなど企業向けICTソリューションの提供

<沿革>
1997年 シドニーに現地法人を設立
2011年 Frontline Systems Australia、Harbour MSPを買収
2013年 豪州3 社の組織統合を行い、NTTCom ICT Solutions設立


<トップに聞く10の質問>
1. 座右の銘:“Without ambition one starts nothing… .Without work one finishes nothing… .The prize will not be sent to you… .You have to win it.”
2. 今読んでいる本:「怪笑小説」(東野圭吾・著)
3. 豪州の好きなところ:適度に都会で適度に自然があるところ。
4. 外から見た日本の印象:日本食は世界一
5. 好きな音楽:バラード
6. 尊敬する人:バラク・オバマ米国大統領
7. 有名人3人を食事に招待するとしたら誰?:スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツ、ジェフ・ベゾス
8. 趣味:麻雀ゲーム
9. 将来の夢:娘と仕事帰りに夜景のきれいなバーで1杯
10. カラオケの十八番:プリプリ

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る