旦那はオージー「地上の楽園アサートン高原(その2)」

旦那はオージー

第25回
地上の楽園アサートン高原(その2)

【前回までのお話】オーストラリアへ移住後、念願のフルタイムの教師へ転身するため、アサートン高原へ引っ越した。鶏を飼育して3カ月ほど。やっと卵を産み始めたと思ったら、全滅してしまったお話。

アサートンの家は、敷地面積3.5エーカーの庭付きの豪邸だった。庭にはオレンジ、レモン、ミカンなどの果樹。30畳程のリビング・ルームが2つあり、15畳ほどのキッチンは大理石のキッチン・ベンチ。寝室は5部屋、そしてグラニー・フラットの寝室2部屋もあって、とても気に入っていた。また、高さ2.4メートル、10畳位の広さの立派な鳥小屋があった。卵を産ませようと4羽、学校で飼育している鶏を購入した(注:農業科もある学校だった)。

イラスト=たこり
イラスト=たこり Web: takori.go-jin.com

1羽目は自然死。病気になったらしく、突然死んでいた。2羽目は朝、鶏に餌をあげに行ったら、なぜか1羽足りない。よく見たら、小屋の隅に大きなパイソン(ニシキヘビ)がいて、お腹がぷっくり膨れている。小屋に入り込んだ約3メートルのパイソンにやられてしまったのだ。夫が手製の蛇捕獲機を作って、パイソンを捕まえてくれた。大きなダンボール箱に詰め込み、さらに山奥に捨ててきた。「蛇を捕獲なんてしたことがあるんだ」と感心して夫に言うと、「You○ubeに載っていた。最近は便利だね」と言う。「見よう見まねでやったんだ」と思うと、今さらながら恐ろしくなった。

1個30ドルの卵

昼間は放し飼いにしていた鶏たち。3羽目の羽が庭にバラバラ散らばっており、姿が見えない。「ディンゴか、またパイソンにやられたのか?」と思っていた。そして、4羽目は我が家の愛犬(ケルピーとドーベルマンの混血。当時1歳オス)が食べたらしい。口の周りに鶏の羽が残っていた。

つまり3羽目も愛犬の仕業だった。投資90ドル(エサ代と干草代と鶏)に対して、採れた卵は3個だけ。1個30ドルと高くついた。今考えると、オーナーに家を見せてもらった時、鳥小屋を見て「これはいいですね。鶏を飼うのにぴったり!」と言ったら彼はそれ以上何も言わず、目を逸らしたように見えた。今考えると「ここで鶏を飼うと、ヘビの餌食になるから、無理だよ」と言いたかったのではないか……。


<著者プロフィール>
ポップ登美子

◎北海道札幌市出身。オージーの夫と2人の子どもとともにノーザン・テリトリーに在住中。本紙コラムのほかにも、「地球の歩き方」海外特派員などでのフリーランス・ライターや日本語ガイド、日本語教師としても活躍中。
Web: ameblo.jp/kangaroo777
www.facebook.com/miffy777/
ameblo.jp/darwin-japanese

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