旦那はオージー「地上の楽園アサートン高原(その3)」

旦那はオージー

第26回
地上の楽園アサートン高原(その3)

【前回までのお話】オーストラリアへ移住後、念願のフルタイムの教師へ転身するため、アサートン高原へ引っ越した。そこでの子どもの学校への送り迎えは、乗用車ではなく愛馬だった。

オーストラリア、学校の送り迎えは必須

日本と違いオーストラリアでは学校への子どもの送り迎えは保護者の役目である。学校終了時刻は午後2時半~3時頃。その時間帯になると、学校の駐車場やその近隣は保護者の車でいっぱいだ。会社のユニフォーム姿で仕事帰りらしき人もいれば、「この人働いているのかしら?」と心配になるような人もいた。最初は「こんな時間に働き盛りの男性が学校にいるなんてあり得ない!」と思ったが、こちらでは労働事情が異なり、例えば建設労働者は暑い時間での戸外作業を避けるため早朝から働き始め午後1~2時には勤務終了となる。鉱山労働者の中には、3~4週間休み無しで鉱山で働き、同じ期間だけ家族の元で休暇を取るという働き方をする人もいる。また、こちらでは労働法が厳しく、残業代が支払われないサービス残業をすることは基本的になく、午後5時過ぎには帰宅。日本での教員時代は朝7時半~夜8時過ぎまで働くのが当たり前だったので、オーストラリアに来て「本当に授業後の午後3時で帰宅していいの?」と拍子抜けした。

愛馬で子どもを迎えに来るお母さん

イラスト=たこり
イラスト=たこり Web: takori.go-jin.com

私は、農業を主要産業とする地域の小学校で教えることになった。児童の大半は10キロ以上離れた農場から通ってきていた。ある日の放課後、他の先生と共に校門近くで帰宅する生徒を見送っていると、遠くに騎乗姿の女の人が横に1頭馬を携えて学校に来るのが見えた。いくら農場地帯とは言え、馬に乗って道路を移動する人はめったにいないのでとても目立った。それは保護者の1人で、3年生の女の子が「ママー」と母親に駆け寄っていく。母親は、乗馬服とブーツがやけにきまっていた。更に驚いたことに、彼女が娘に乗馬用のヘルメットを渡すと、それを着けて娘はさっと自分の馬に乗り、2人で馬で去っていったのである。まるで映画の1シーンを見ているようで、ただただ見惚れてしまった。


<著者プロフィール>
ポップ登美子

◎北海道札幌市出身。オージーの夫と2人の子どもとともにノーザン・テリトリーに在住中。本紙コラムのほかにも、「地球の歩き方」海外特派員などでのフリーランス・ライターや日本語ガイド、日本語教師としても活躍中。
Web: ameblo.jp/kangaroo777
www.facebook.com/miffy777/
ameblo.jp/darwin-japanese

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