旦那はオージー「オーストラリア入国編」

第2回
オーストラリア入国編

「僕のX-Trailが入国管理管に没収されてしまう」と夫は泣いた。車の個人輸入の恐ろしさを伝えます。

移住を突然決めた夫のせいで、買ったばかりの家具電化製品をほぼ投売り状態で処分しなくてはならず、泣きたくなった。

自家用車は1台だけ輸入可だったので、夫のお気に入りの4WD車を持っていくと決めた。苫小牧港に愛車を持ち込み、そこから船で川崎港へ輸送。輸出許可証が発行され次第、ブリスベン港へ移送される予定だった。

私がネットで選んだ車輸出代行業者H氏は茨城県在住。義兄と夫が車を苫小牧まで持っていき、私は自宅待機。しかし現地には誰もおらず、業者に電話しても「指定の場所に駐車してください。」との対応。受取証もないままナンバー・プレートを外し、鍵を車中に放置してそこを離れなくてはいけなかった夫は、かなり心細かったらしく「本当にこれでいいの?」と情けない声で電話をかけてきた。翌朝、業者H氏から電話があった。「お車は川崎行きの船に乗っていますよ」。調べた中では一番安かった輸入業者だが、ぎりぎりまで経費を削減しているからだったのかと納得。

その後オーストラリアで待つこと3週間、待望の愛車がブリスベン港に着いたと連絡が来た。いそいそと輸入許可証を持って出かけた夫が愛車ではなく、電車で帰ってきた。私「どうしたの?」。夫「オーストラリアの金満国家め!××(罵り言葉)」。落ち着いてから話を聞くと、輸入許可証を見せても「書類に不備がある」の一点張りで、話にならないと言う。その後夫は毎日電話で、陸運局や税関と交渉したが、なかなか話は進まない。しかも港にある愛車の駐車料金を毎日90ドルも支払わなくてはならかなった(頼んだわけでもないのに!)夫は個人で税関を相手にするのは無理だと悟ったらしく、現地の輸入業者に仲介してもらうことにした。

ある日「もうだめだ。車は税関に取られてしまう」と、泣きながら帰宅した。「国内で禁止されている特定フロンのCFC(クロロフルオロカーボン)がエアコンに使われていないという製造元発行の書類がなければ、輸入はできない」と税関が言い出したのだ。あまりに落ち込む夫を見ていると可哀想になり、優しい妻は日本のA本社に連絡したがやんわりと断られた。H氏に藁にもすがる思いで連絡すると、さすが蛇の道は蛇。奥の手を使ってその書類を手に入れてくれた。それを渡した時の夫の喜びようと言ったら、私がプロポーズを受けた時より何倍もすごかった。それにしても、4〜5千ドルの予定が8千ドル近くもかかった上に、愛車は没収寸前だった。車の個人輸入はお勧めしない所以である。(続く)


<著者プロフィール>
ポップ登美子
◎北海道札幌市出身。日本での教員経験を経て、現在はオーストラリア人の夫と2人の子どもとノース・クイーンズランドに住む。教員免許高校一種外国語(英語)商業、教員免許中学一種外国語(英語)を保持し、クィーンズランド州の登録教員でもある。

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