毎日でも飲みたい、達人の極上コーヒー

それでも するメルボルン

毎日でも飲みたい、達人の極上コーヒー

誰にでも、長年やろうと思いながらも、先延ばしにしていることの1つや2つはあるだろう。私にとって「運転」は近年までその1つだった。シティには1人で運転して行けないし、縦列駐車など目も当てられないが、2児の母となり必要に迫られて、本当にしぶしぶとハンドルを握っている。しかしそんな運転嫌いな私でも、いそいそと車で出かけたくなるカフェがブライトンにある。

ブライトンの北側は閑静な住宅地で、よく手入れされた豪奢な家々が建ち並ぶ。その真ん中を走るニュー・ストリート沿いにあるカフェが「Superrandom」だ。白を基調にした店内にはコンクリート・ブロックを使ったテーブルが置かれ、素朴で居心地の良い雰囲気が訪れる人をホッとさせてくれる。さらにお店には日本人スタッフがいて、日本語で気軽に挨拶を交せるのも嬉しい。

下山さんオリジナルの金魚のラテ・アート、見た目も味も美しい
下山さんオリジナルの金魚のラテ・アート、見た目も味も美しい

この店で指揮を執るバリスタの下山さんは、ラテ・アート世界大会のチャンピオン。彼の描くアートはリーフ模様から金魚まで絵柄のバリエーションに富み、飲むのをためらうほど美しく味わい深い。いつものフラット・ホワイトを頼み、カップの縁からゆっくりとすすった後で、「どうしたらこんなに美味しいものが作れるのか」とカップの中をまじまじと見つめてしまう。奥深い風味とシルクのように柔らかな口当たりが印象的だ。

訪れるのはほとんどが常連客で、日に3回テイクアウェイする人もいる。1日400杯以上のコーヒーを作るという下山さんとスタッフたちは、常連さんの顔といつものオーダーを暗記しており、彼らの姿をガラス越しに見るやいなや用意を始める。何も言わずとも自分好みの極上のコーヒーをさっと出してくれるとは、何という至福だろう!いつ行っても味にブレがないことも、リピーターが多い理由の1つ。ご近所にこんなカフェが欲しい、と豪邸を横目に見ながら毎回帰途に着く。

メルボルンのカフェのレベルは総じて高いが、ここのコーヒーを味わうたび、自分のコーヒー指標が一段と上がったことに気付かされる。そして、情熱を持ったバリスタが作り出す「うまいコーヒー」が人を動かす力を持つことを知る。メルボルンは「うまいコーヒーに人が集まる」と言われる街だ。私も少しメルボニアンらしくなってきたかと思いつつ、ハンドルを握ってカフェへ出かける。

■Superrandom
416 New St., Brighton
営業時間:毎日6:30AM~3:30PM
Tel: (03)9592-9669

泣いたり、笑ったり、怒ったり、異国で暮らす毎日はいろんなことがあるけれど、日々発見することがたくさん。「この街に恋するように暮らしたい」がモットーの2児のママ・エディターが綴る、メルボルンのライフスタイル、美味しいもの情報。(文=大木和香)

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