天然酵母のライ麦パンを追いかけて

それでも するメルボルン

天然酵母のライ麦パンを追いかけて

メルボルンをよく知らない人は、メルボルンの南東にある「Balaclava」の地名を聞くとギョッとした顔で聞き返す。この名前は、1854年にウクライナで勃発したクリミア戦争での「バラクラバの戦い」に由来し、英訳の「目出し帽」とは直接関係がないのでご心配なく。このあたりは、クリミア戦争にちなんだ通りが多く、クリミア・ストリート、ナイチンゲール・ストリート(ナイチンゲールはクリミア戦争で貢献した看護師)など、通りの名称を見ているだけで歴史の勉強になりそうだ。第2次大戦後は東欧からの移民と超正統派ユダヤ人が多く移り住み、多国籍なコミュニティーができ上がっている。

町の中心部を走るカーライル・ストリートには、グランジな雰囲気の個性的なカフェと、美味しいパン屋が何軒もある。ベーグルだったら「Glick’s」、ターキッシュ・ブレッドは「Liehtenstein’s Bakehouse」と、種類ごとにパン屋のはしごが楽しめる。


ずっしりとしたライ麦を使ったハード系のパンが多いが、サクッと軽いクロワッサンもお薦め

そして、絶対に外せないのが「Baker in the Rye」で作られているライ麦パンだ。駅から歩いて数分の小さな店は、ロシアからの移民でパン作りが趣味だったという元教師のマイケルさんが、定年を機に第2の人生として15年前に始めた。すべてのパンはお店の工房で作られ、良質な小麦や天然素材を使い、保存料を使わないのがこだわり。サワードウ(天然酵母)を使ったパンは常に15種類あり、それぞれにヨーロッパの都市名が付いている。特に「Bavarian($5.2)」は天然酵母の香りとおいしさが詰まった名刺代わりの一品だ。

ホールで買ってきて、自宅で好みの厚さにスライスして食べるのがお薦め。パリッとしたクラストを切ると、中はしっとりとしていて、ライ麦の香りが溢れ出す。1口目は少し酸味を感じるが、ひと噛みごとに天然酵母ならではの甘みとキャラウェイのほのかな風味が追いかけてくる。正統派ライ麦パンにはこのキャラウェイが欠かせない。日本人にはなじみが薄いスパイスだが、これが入るだけで味の印象が大きく変わる。どっしりとしたパンはチーズなどの熟成させた食材に良く合い、ワインにもぴったり。生ハムやスモーク・サーモンを乗せてオープン・サンドにすれば立派なワン・プレートになるので、忙しい日の食事にも良いだろう。

南半球にいながらにしてヨーロッパの本場の味を楽しめる贅沢。ちなみにスタッフもお客さんもロシア人が多く、ロシア語が飛び交う店内にいると旅行に来た気分にもなる。そんな小さな幸せを見つけに、今日も散歩に出かけよう。

■Baker in the Rye
153 Carlisle St., Balaclava
営業時間:毎日6:30AM〜7PM
Tel: (03)9525-6744
Web: www.facebook.com/pages/Baker-In-The-Rye/194290077501

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