編集部イチ押し! 5月の新作映画をチェック

辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじとともに注目の新作を紹介 ! レイティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。

母よ、
Mia madre (My Mother)
ドラマ/M 5月5日公開予定 満足度★★★★

隊長が観た!

2001年のイタリア映画『息子の部屋』。息子を事故で突然亡くした家族の物語で、淡々とした中にも家族のそれぞれの思いが伝わる大好きな作品だ。その年のカンヌ映画祭では会場中を感動で包み、見事パルム・ドールを受賞した。その監督でもあり、一家の父を演じたナンニ・モレッティの新作が『母よ、』。今回も彼は俳優としても出演しており、主人公の兄を演じている。

女性映画監督のマルゲリータ。新作の撮影中で毎日忙しい日々を送っている。別れた夫はティーンエイジャーの1人娘と一緒に暮らしており、彼女は独り住まい。最近、俳優の恋人とも別れ、更に高齢で衰弱が進む母は入院中だ。その母のため、仕事を辞めて世話をする兄のジョバンニ。仕事の合間を縫っては病院に見舞いに訪れる彼女だが、そんな時、撮影中の映画のためアメリカから俳優を招く。その自己主張が強い俳優とも衝突し、撮影は思ったようには進まない……。

監督のナンニ・モレッティは、前作の『ローマ法王の休日』の撮影中に母親が亡くなったそうで、その彼の実体験がかなり反映されている作品だ。なのでタイトルにもあるように死にゆく母の物語だが、それと同じような比率で映画監督としての仕事ぶりも描かれる。大きなポイントは、モレッティ自身の経験から生まれたストーリーだが、主人公を男性にせず女性にしたことだ。母を見舞う時、マルゲリータは店で買ってきた惣菜を持ってくるが、兄は手作りの料理を持ってくる。もしこれが、主人公が男性であれば別にどうってこともないシーンだが、男女を逆にすることによって、いくら映画監督として忙しくても女性としては気まずい瞬間だろう。また、母親の車の運転に対して、母親を思わず叱ってしまい、そのやり場のない気持ちを車にぶつけるシーンも、男性であれば短気でちょっと暴力的な感じがするが、これを娘としたことで、切ない気持ちが痛いほど伝わってくる。『息子の部屋』では、父親の視線で描かれていたが、今作は、完全に娘からの視線で、自分の体験が元になってるとはいえ、それを見事に女性映画としてまとめているのは、さすがナンニ・モレッティと言える。更に、元恋人からも「自分しか見ていない」などと言われ、1人娘ともうまくコミュニケーションが取れない、いつもピリピリしているマルゲリータを、感情移入できる愛すべきキャラクターにしているのは、イタリアを代表する女優のマルゲリータ・ブイ(演じている役名と同じ)の魅力と演技力だろう。ブロンドのショート・ヘアという髪型もあるけど、お直ししてないメグ・ライアンにヨーロッパの香りを振りかけたように見えてしまった。いい女優さんです。


『息子の部屋』同様、今回も淡々とした進行だけど、ジョン・タトゥーロ演じるアメリカ人俳優の登場によってコメディー的要素も入って、単調になることはない。大きな物語の展開はないけれど、爽やかな涙を流せる人間ドラマ。

もし、自分が若い頃にこの映画を見たなら「いい映画」程度しか感じられなかったと思う。しかし周りで「親が亡くなったから一時日本に帰ります」という友人が増えてきているこの頃、自分もこういった映画がしみじみ心に響くようになった年代になったのかと、違った意味でも感慨深い作品だった。


キアヌ
Keanu
コメディ/CTC 4月21日公開予定 満足度★★★★

都会に住みながらもなかなか街になじむことのできない、仲の良いいとこ、クラレンスとレル。ある日、レルが愛してやまない子猫のキアヌがアパートに侵入したギャング集団に誘拐されてしまう。本当は生真面目な2人だが、誘拐されたキアヌを救うため、冷酷な殺人者を装ってギャング団に侵入。誰もがうっとりするほどの愛らしい子猫キアヌの“養育権”を巡る騒動はギャングの抗争にまで発展。2人も知らぬ間に法律違反の行動に出てしまい……。主演を務めるキーガン・マイケル・キーとジョーダン・ピールはアメリカで人気のコメディアン・コンビ。この作品は、2人が出演し、絶大な人気を得ているコメディー・テレビ・シリーズ『キー・アンド・ピール』から誕生した映画。監督はピーター・アテンチオ。


ミッドナイト・スペシャル
Midnight Special
アドベンチャー・ドラマ・SF/M 4月21日公開予定 満足度★★★

ロイ(マイケル・シャノン)は息子のアルトン(ジェイデン・リーバーハー)が不思議な能力を持っていることに気付く。その力はロイには全く理解できないが、超能力を秘めたアルトンを利用しようとする者たちから守らなければならない。そして2人の逃亡劇が始まる。最初は過激宗教運団や地域の警察からの逃亡であったが、彼らを捕らえようとする動きは、すぐに、連邦政府の最高レベルをも巻き込んだ、全国的な追跡へと拡大していく。ロイは自らを危険にさらすことをためらわない。息子のアルトンが実行しようとしている「究極の目的」とは何か。ロイは、たとえそれが何であれ、またどんなに犠牲を払う必要があろうとも、それを実現するために全力を尽くそうとする。監督はジェフ・ニコルス。


ゴーイング・イン・スタイル
Going in Style
コメディ/CTC 5月12日公開予定 満足度★★★★★

生涯の親友ウィリー、ジョー、アルは、自分たちの老齢年金が金融機関の都合で受け取れなくなったことをきっかけに、リタイア生活をやめ、人生で初めての悪行に走ることを決意する。借金を返済し、なんとしてでも今までの生活を取り戻し、愛する人との余生を楽しむために、3人は危険な賭けに出る。自分たちの年金と一緒に姿を隠している銀行に押し入りお金を奪うため、大胆な戦略を練り始めた。監督はザック・ブラフ。3人を演じるのはモーガン・フリーマン、マイケル・ケイン、アラン・アーキンという大御所たち。1979年に制作された同タイトルのコメディー映画のリメイク作品。ただし、強盗に至るきっかけなど、ストーリーは改編されているところもあり、両作品を見比べてみるのも面白い。


クリミナル
Criminal
アクション・クライム・ドラマ/MA15+ 5月19日公開予定 満足度★★★★

邪悪な体に入れられた正義の男の物語。凶悪な陰謀を食い止める最後の手段として、亡くなった有能なCIA捜査官(ライアン・レイノルズ)の記憶、秘密、能力を、1人の予測不能で危険な死刑囚(ケビン・コスナー)に埋め込む最新の手術が行われることになった。この優秀な捜査官が死ぬ直前まで手がけていた重要なミッションを、違う体を使って完遂させようというのだ。手術後、コスナー演じる死刑囚は、善良な人間が自分の心の中に入り込んできていることに気付く。そして人々に助けの手を伸ばしたり、犯罪を防ごうとしたりといった行動に出始める。果たして本当にミッションを遂げられるのか。監督はアリエル・ヴロメン。ゲイリー・オールドマン、トミー・リー・ジョーンズらが脇を固める。


★編集部員の気になるDVD★

The Karate Kid
べスト・キッド
ドラマ、米国、140分、形式:DVD

80年代にヒットした『ベスト・キッド』をリメイクしたこの作品。アメリカ人少年ドレは母親の転勤に伴い北京に引っ越すことに。言葉も文化も異なる生活になじめず、また学校の不良グループからいじめを受けるなど、さんざんな日々が続いていた。しかしカンフーの達人ハンとの出会いで、つまらなかった生活から抜け出すきっかけをつかむことに。

主人公ドレを演じるのは今作で制作に携わったウィル・スミスの息子で、デビュー作『幸せのちから』で好評価だったジェイデン・スミス。彼のカンフー教師役のハンは、香港カンフー・スターのジャッキー・チェンが演じる。この映画でぜひ注目して欲しいのは、カンフー教師役を務めるジャッキーの演技だ。撮影当時のジャッキーは既に57歳。往年のカッコいいカンフーは見られないだろう、と思っていたがそんなことはない。不良グループからドレを救うジャッキーは全く年齢を感じさせなかった。還暦間近にしてなお技のキレ、突きの重みは若い頃と比べても劣ることはない。自分自身の体を全力で酷使し続けるジャッキーのアクションは、いつ見てもカッコいい。CGや代役を使わず自分の体で表現し続ける姿は、プロとしての芯を貫き通している。

幼い時に誰もが抱く強くてカッコいい男性像。私の中で彼はいつまでも憧れのヒーローで居続けている。ジャッキー好きならぜひ観てもらいたいお薦めの作品だ。(編集=SH)

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