編集部イチ押し! 9月の新作映画をチェック

辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじとともに注目の新作を紹介 ! レイティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。

ブラッド・ファーザー
Blood Father
スリラー、アクション/MA15+ 9月1日公開予定 満足度★★★

隊長が観た!

昨年公開され世界中で大ヒットとなった『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。アカデミー賞では10部門にノミネートされ最多の6部門受賞という、2015年を代表する映画の1本となった。ご存知のように、これは1979年に公開されたオーストラリア映画『マッドマックス』のシリーズ4作目に当たるのだが、元の3部作の主演はメル・ギブソン。このシリーズの大ヒットによって彼はハリウッドへ渡り、刑事アクション映画の『リーサル・ウェポン』、主演と監督を兼任した映画『ブレイブハート』などで、ハリウッド・スターの地位をゲットした。

しかし2000年に入ってからのメル・ギブソンは、交際していた女性へのDV疑惑や、飲酒運転で逮捕された時のユダヤ人への差別発言などで、もうすっかりお騒がせ俳優のイメージが付いてしまった。そしてハリウッドから干されてしまった彼だが、今年はこの主演映画『ブラッド・ファーザー』を皮切りに、第2次世界大戦期の実在の人物を描いた監督作品『Hacksaw Ridge』の公開も控えており、ようやく復活の兆しが見えてきたようだ。


今作のストーリーは、1人田舎のトレーラー・ハウスで暮らす前科者の父親に、音信不通となっていた娘から突然連絡が来るところから始まる。麻薬組織から命を狙われている娘に助けを求められた父親は、娘のために立ち上がるが……。ということで、当時57歳だったリーアム・ニーソンがいきなりアクション俳優へと転向した『96時間』と同じような話の展開を期待したが、超人のような活躍をするリーアム・ニーソンとは違って、こちらはかなり地に足のついたアクション映画。でも、舞台がアメリカのアウトバックということで、メル・ギブソンがバイクにまたがり散弾銃をぶっ放すシーンもあり、これは『マッドマックス』時代を知っている世代としては感慨深いものがあった。深くシワが刻まれたおでこなど、すっかり年を取ったメルだが、やはり昔取った杵柄、カッコよくキメている。娘とのやりとりに『リーサル・ウェポン』の相棒マータフを思い出したり、アクションだけでなく笑えるシーンもあり手堅くまとめられている。ただ、娘が16歳の設定だが、ちょっとそうは見えないのが残念だった。

重要なシーンではないけれど、日本人としては、カップヌードルをすするメル・ギブソンに注目!料理もしない男の1人暮らしを表現するための演出に、カップヌードルが使われるってある意味すごい。昔の日本映画にも出てきそうなシーンだ(最近だったらコンビニ弁当か?)。また、これがアウトバックのきれいな空をバックにしたトレーラー・ハウスでの場面で、音楽をカントリー・ミュージックにでも差し替えたらCMに使えそうな感じだった。

メル・ギブソン、60歳という年齢だが、これを見る限りでは俳優としてまだまだやっていけると思う。監督作品の『Hacksaw Ridge』も評判が良さそうだし、見事復活となるか楽しみだ。


ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期
Bridget Jones’s Baby
ロマンス、コメディー/TBC 9月15日公開予定 期待度★★★★

2001年の大ヒット作『ブリジット・ジョーンズの日記』から15年、待望のシリーズ3作目。今回、日記帳をiPadに持ち替えて登場する40代のブリジット(レニー・ゼルウィガー)は、かつて愛した男性が事故死してから、テレビ局の重役として独身生活を送っていた。だが突然、イケメンIT企業社長・ジャック(パトリック・デンプシー)との出会いが訪れ、その一方、過去に恋した相手・マーク(コリン・ファース)への気持ちも再燃。しかも2人の間で揺れ動くブリジットの想定外の妊娠が発覚し、果たしてお腹の子の父親は2人のうちどちら? そして彼女が最後にたどり着く相手とは……。原題の「Baby」が意味するのは「赤ちゃん」か、それとも「愛する人」か。今回もブリジットの愛しいドタバタぶりと結末が気になる。


ベン・ハー
Ben-Hur
ドラマ、アクション/M 8月25日公開予定 期待度★★★

古代ローマ帝国による圧政を背景に、イスラエル王族の血を引く男ユダ・ベン・ハー(ジャック・ヒューストン)の数奇な運命を、イエス・キリストの生涯と重ねて描く物語。過去に何度も映画化されてきた一大歴史スペクタクルにふさわしく、最新映像技術を駆使してリメイクされた。本作で中心となるのは1959年のチャールトン・ヘストン主演の同名映画より少し前にさかのぼった時代。義兄弟メッサラ(トビー・ケベル)の裏切りにより奴隷の身に落ちたベン・ハーは、復讐を誓いコロッセウムでの宿命の対決に挑む。奴隷船の転覆、馬を使った戦車での大激走など迫力あるシーンの数々に釘付けになりそうだ。モーガン・フリーマンやロドリゴ・サントロら名優の競演も見どころ。監督はティムール・ベクマンベトフ。


ピートとドラゴン
Pete’s Dragon
ファンタジー、アドベンチャー/PG 9月15日公開予定 期待度★★★★

元々、実写+アニメ作品だったディズニーの同名映画(日本未公開)を、実写+CGで約40年ぶりにリメイク。監督はデービッド・ロウリー。森で暮らしていた孤児の少年ピート(オークス・フェグリー)と、孤独な彼の唯一の友達で緑色のドラゴンのエリオット。しかしピートが森のレンジャーであるグレース(ブライス・ダラス・ハワード)に保護されたことからエリオットの存在が町中に知れ渡ることとなり、大掛かりなドラゴン狩りが始まる。人間に追われるエリオットをピートは助けることができるのか? どことなく『E.T.』などのスピルバーグ作品を彷彿させるファンタジーで、メインのロケ地であるニュージーランドの雄壮な自然にも圧倒される。ちなみに日本では今年12月公開予定。


サンセット・ソング
Sunset Song
ドラマ/M 9月1日公開予定 期待度★★★

スコットランドの作家ルイス・グラシック・ギボンの『夕暮れの歌』が原作。第1次世界大戦直前のスコットランド北東部の農村地域を舞台に、希望と悲劇、愛、そして大戦への気運の高まりや大英帝国の栄華の陰りを描く。貧しい農夫の娘、クリスを演じるイギリスの人気モデル・女優のアギネス・ディーンは、古風な風貌が役にぴったりな印象で期待大。母の死、父の病、新婚の夫の徴兵などさまざまな困難が押し寄せる中、彼女は農場や家族を支えるべく奮闘する。全編で使用されるスコットランド英語は慣れないと少々聞き取りにくいかもしれないが、独特な風景と相まって20世紀初頭のヨーロッパへと誘ってくれそうだ。監督は『遠い声、静かな暮らし』など叙情的な作品を得意とするテレンス・デイヴィス。


★今月の気になるDVD★

ブリジット・ジョーンズの日記
Bridget Jones’s Diary
ロマンス、コメディー 97分(2001年)

3作目が公開、ということで懐かしく思い出された『ブリジット・ジョーンズの日記』の第1作目。出版社勤務で32歳のブリジットは「どうして結婚しないの?」と周りから問われることにうんざりしつつも、すてきな出会いを求めて新年の抱負を立てた。「お酒とたばこを減らす、ダイエットする、日記を書く」、そしてそこから彼女の新しいロマンスが始まることに。

このシリーズのおもしろさは何と言っても主人公の「リアル」なキャラクター。ブリジットはおっちょこちょいで明るくポジティブ、決して美人キャリア・ウーマンというタイプではないが、年齢相応の慎重さも手伝ってそれなりの常識家。失敗と反省を繰り返し、場違いな恥ずかしさや自暴自棄な感情に対し、ハリウッド的な感動の超克ではなく、イギリス的なシニカルな姿勢で向き合っていく。

原作はロンドンが舞台の現代小説。映画化決定の際には、アメリカ人女優の主役起用にファンから猛反対が起きたほど深く愛される作品だ。人気作の主人公に大抜擢となったレニー・ゼルウィガーも原作ファンを公言している。役作りのためイギリスへ移住し、素性を隠して実際に出版社で働き、更には体重も大幅に増量して撮影に臨むなど徹底した役者魂をスクリーンで見せつけた。また、コリン・ファースの着る珍妙なクリスマス衣装や、ヒュー・グラントの色男っぷりも見逃せない。(編集=MS)

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