編集部イチ押し! 2月の新作映画をチェック

辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじとともに注目の新作を紹介 ! レイティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。

ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命
Jackie
ドラマ、伝記/MA15+ 公開中 満足度★★

隊長が観た!

年末から始まった今年の映画賞シーズン。先日はアカデミー賞の前哨戦とも言える「ゴールデン・グローブ賞」の発表があり、7部門にノミネートされていた『ラ・ラ・ランド』が、その全部門を受賞し同賞史上最多の受賞数を記録した。一部、ハリウッドのミュージカル黄金時代を知っている人たちからは、歌も踊りも昔と比べたらイマイチなんて声が聞かれるけど、いくらオールド・スタイルといえども「今」のミュージカルなわけで、自分は主演2人のケミストリーや、ほろ苦いストーリー展開など、やはり今年のホリデー・シーズンでは一番の映画だと思う。

そして今回紹介するのは、その「ゴールデン・グローブ賞」で受賞は逃したものの、「ドラマ部門」でナタリー・ポートマンが主演女優賞にノミネートされた『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』。1963年のジョン・F・ケネディ暗殺後、34歳で未亡人となったジャクリーン・ケネディ・オナシスを描いた伝記ドラマ映画。今まで、ジョン・F・ケネディを主軸にした映画やドラマは多かったので、ファースト・レディーであるジャクリーン夫人の視点で描き出したのが新鮮。おおむね批評家の評判も良く、特に主演のナタリー・ポートマンの演技は絶賛されている。

ただ、自分はオープニングの不協和音のような不安定な音楽から、全くノレなかった。“ジャッキー”の愛称で親しまれ、今なお高い人気を誇る世紀のファースト・レディーの伝記ということで、もっと清らかなオープニングを期待していたので、この音楽で既にイライラ。そして絶賛されているナタリー・ポートマンは、役作りのため英語のアクセントや歩き方まで徹底的にジャッキーを再現したと言われているが、すごく作為的な感じがして「普通にしゃべれよ!」と心の中で叫んでしまった。この辺りは伝記映画なので、本人と似ても似つかないようでは問題だけど、ナタリー・ポートマンという強烈なイメージがあるだけに、自分の中では違和感が強かった。


更に、フラッシュバックを多用していたので、時系列が前後し、これも映画の盛り上がりを削いでいたように思う。後日インタビューされるジャッキーをオープニングとエンディングのみにし、その間は時系列通りにすれば、ショッキングな暗殺シーンで始まり、国を挙げての葬式で盛り上がり、最後はインタビュアーとの会話で余韻を残して終わる、そんな展開の方がジャッキーが取った行動がより浮き彫りになったような気がする。

毎回このような伝記映画を観て思うことが、あまりに史実に忠実だとドラマではなくドキュメンタリーでも良いのでは?ということ。わざわざ映画として表現するのであれば、ファースト・レディーの視線から更にもう一歩踏み込んで、ジャッキーとケネディの実弟のボビーとの関係や、子ども2人との関係をもっと掘り下げるとかして、ドラマとして成立させて欲しかった。

かなり辛辣(しんらつ)な評になってしまったが、多くの人から評価・支持されている映画なので、ぜひご自身でご覧になって!新年1本目にはちょっと重いかもしれないけれど。


ライオン~25年目のただいま~
Lion
ドラマ/PG 公開中 期待度★★★

『英国王のスピーチ』制作陣が贈る、奇跡の実話をベースにした感動の物語。主人公の5歳の少年サルーはインドの小さな村の停車中の電車の中で居眠りし、降りることができないまま2日間かけてはるか遠くのカルカッタ(コルカタ)の街へと連れて行かれてしまう。迷子になったサルーは孤児たちのための施設に収容され、やがてオーストラリア・タスマニアの夫妻(デビッド・ウェナム、ニコール・キッドマン)の養子になることに。25年の間、養父母からたっぷりの愛情を受けて育ったサルー(デーブ・パテール)だが故郷への思いは消えず、Google Earthを駆使して本当の家族を探し始める。監督はオーストラリアのテレビ番組や短編作品で知られるガース・デイビス。インドの他、メルボルンとホバートで撮影された話題作。


バイオハザード: ザ・ファイナル
Resident Evil: The Final Chapter
アクション、SF/MA15+ 1月26日公開予定 期待度★★★

日本発の大ヒット・ゲームを原作に、主人公アリスをミラ・ジョヴォヴィッチが演じ映画化された人気アクション作品『バイオハザード』最終章がついに公開。シリーズ全作の「謎」が解き明かされる。シリーズ6作目となる今作でもミラ・ジョヴォヴィッチの美しくキレのあるアクションは健在で、第1作(2002年)の公開から14年とは思えないほどの全編アクションづくし。地球上の人類のほとんどがアンデッドと化し、人類最後の希望となったアリスは物語の始まりの街・ラクーン・シティーへ戻るが、そこでは宿敵アンブレラ社との最終決戦が待ち構えていた……。監督はポール・W・S・アンダーソン。同作は日本のタレント・ローラが、アリスと共闘する女戦士役でハリウッド・デビューしたことも話題に。


ボブという名のストリート・キャット
A Street Cat Named Bob
ドラマ/TBC 2月9日公開予定 期待度★★★★

猫好き必見、ハートフルな世界的ベストセラー小説の映画化。ストリート・ミュージシャンのジェームズ(ルーク・トレッダウェイ)は、薬物中毒から立ち直りつつあるが家族から冷たい扱いを受け、ホームレスとしてシェルター暮らしの日々を送っている。そこに迷い込んできたけがをした野良猫ボブと生活を共にするようになったことから、ジェームズの毎日に大きな変化が訪れることに。人と動物が癒やされ立ち直っていく様子を描いた、実話を基にした人生の再生の物語。主演のルーク・トレッダウェイは2005年の『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』で、双子の弟で俳優のハリー・トレッダウェイと共に結合性双生児役を演じ話題に。監督は『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』などのロジャー・スポティスウッド。


ヒドゥン・フィギュアズ
Hidden Figures
ドラマ/PG 2月16日公開予定 期待度★★★★★

アメリカ航空宇宙局(NASA)初の有人宇宙飛行の成功を、陰で支えた3人のアフリカ系女性たちの知られざる物語。まだ黒人専用トイレなどの存在が認められ、女性が男性と共に働く場も多くなかった時代のアメリカを舞台に、NASAで「人間コンピューター」として活躍した解析幾何学者キャサリンを『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』などのタラジ・P・ヘンソンが演じる。数学者ドロシー(オクタヴィア・スペンサー)やエンジニアのメアリー(ジャネール・モネイ)ら個性あふれる登場人物たちが当時の女性の生き方を描き出す同作は、アメリカでは公開早々に週間チャート1位を獲得。宇宙飛行士ジョン・グレンを演じるグレン・パウエルの他、ケビン・コスナー、ケイト・ベッキンセールなど助演陣にも期待。


★今月の気になるDVD★

ナイト・オン・ザ・プラネット
Night on Earth
ドラマ、コメディー 129分(1991年)

暑い夏にクールな映画を。『ダウン・バイ・ロー』や『コーヒー&シガレッツ』のジム・ジャームッシュ監督による『ナイト・オン・ザ・プラネット』は、ある寒い夜の世界5都市で同時進行するタクシー・ドライバーと乗客のやりとりを描くオムニバス作品だ。舞台はロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキ。画面はほぼずっとタクシーの中の人間模様だけを映しているが、個性的な登場人物が織り成す5つの物語はコミカルだったり皮肉っぽかったりとそれぞれに味わい深い。

口汚いがチャーミングな女性運転士と映画のキャスティング・ディレクター、アメリカへやってきたばかりで英語も運転も不安な移民の運転士、気高く物事の本質を見透かす盲目の女性、心臓の悪い神父の乗客と勝手に懺悔を始めるマシンガン・トークの運転士、不幸話に花を咲かせる酔っぱらいの労働者たち。奇妙な会話のセンスと軽快さは同監督の真骨頂で、1人が口を開いた瞬間から転がるように物語が始まる。5つの物語それぞれの都市の言葉でセリフが紡がれ、違ったリズムやスピード感を楽しめるところも良い。主題歌は、酔いどれ詩人トム・ウェイツによる「Back in the Good Old World(古き良き世界に戻って)」。

ウィノナ・ライダー、ジーナ・ローランズ、ベアトリス・ダル、ロベルト・ベニーニなどアクの強い俳優陣の名演も見もの。きっとお気に入りの1篇が見つかるはずだ。(編集=MS)

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る