編集部イチ押し! 12月の新作映画をチェック

cinema check シネマ・チェック

辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじと共に注目の新作を紹介!レーティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。

サスペリア
Suspiria隊長が観た!

ドラマ、ファンタジー、ホラー、スリラー/MA15+ 公開中 満足度★★★

「決して一人では見ないで下さい」のキャッチコピーで大ヒットしたイタリアのホラー映画『サスペリア』。もうオッサン世代でしか分からないと思うけど、ゴブリンの音楽と共にマジ怖かったトラウマ映画の1本。極彩色の中の残酷表現以外にも、洋便器に食事を流すシーンは精神的にダメだったし、なぜか赤ワインは食事と一緒に流さずシンクに流して、それが完全に血のりだったりして、そんな他愛もないシーンがしっかり記憶に残ってるほど。しかも、音響立体移動装置と言って巨大なスピーカーがシアターの左右と後ろに置かれ、当時としては音響もビックリするほどの迫力だった。オープニングの嵐のシーンは、稲妻の音や豪雨の音が四方八方からして、本当に主人公のようにずぶ濡れ気分を味わわせてくれた。今思うと、レーティングなんてお構いなしで、こんな映画がお子ちゃまでも観れてしまうのが時代だなぁ、とも思う。女性客が映画鑑賞中に亡くなった場合、1,000万円のショック保険を適用するという宣伝方法も、昭和な香りが漂う。

そして、その『サスペリア』がリメイクされ、しかも監督が『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ。一体、あの爽やかなイタリアの夏の木漏れ日を描いた監督が、このカルトと呼べるホラー映画をどうやって見せてくれるのか?

ストーリーは、スージーがアメリカからドイツのダンス学校へ留学。彼女がリスペクトするマダム・ブランの指導の下、ついに次回公演の主役に抜擢される。しかし、この学校には大きな秘密が隠されていた……。バレエ学校からモダン・ダンス学校に変わっていたりするのだが、ベース・ラインはオリジナルと一緒。一番の違いは上映時間だ。98分から2時間半以上という、約1時間近くも長くなっていること。時代は1977年で、当時のベルリンの置かれている状況などが細かく描かれていて、更にオリジナルにはない心理学者の老人も登場させ、彼がもう1人の主人公となっている(演じているのは、意外なあの人!今回、3役も演じて大活躍)。

設定を、オリジナル版が公開された年の1977年にしたり、オリジナルの主人公であるジェシカ・ハーパーがカメオ出演していたり、秘密部屋までの歩数を数えたりと、オリジナルにはリスペクトをしているが、やはり元の『サスペリア』には強烈なイメージがあるので、何をしても否定的になってしまう。前回のジェシカ・ハーパーは病弱キャラで、フラフラしてる感じがあったが、今回のスージー役のダコタ・ジョンソンは骨太で、「私踊れます!」とか自ら手を上げちゃうような自信たっぷりな感じが、イヤだった。やっぱりホラーは、守ってあげたいような可憐な少女がワーキャー言ったり、意外な頑張りを見せるのが良いのでは。

逆に、同作を全くの新作として見た場合、血が流れているような赤のロープを使ったモダン・ダンスの衣装、鏡を多用したセットや、雨を使った陰湿なシーン、そしてラストのブっ飛んだ赤の世界など、ホラーよりかなりアート系に近い作品。

自分は、前半のダンスと呼応する痛々しいなぶり殺しシーン辺りまでは、これぞ新しい解釈の『サスペリア』!

と思っていたけど、テロリズムやナチスなどオリジナルにはない要素が入り込んでしまって、そのお陰で上映時間が長くなり、後半はかなり冷めてしまった。日本公開のキャッチコピーは、またまた「決して一人では見ないで下さい」になったそうだが、グロいのがオッケーなら1人でも全然大丈夫だ!という感じ。怖くないもん!

セカンド・アクト
Second Act

ロマンス、コメディー/M 12月6日公開予定 満足度★★★

Ⓒ2018
Ⓒ2018

大型スーパーマーケットの従業員として働いていた40歳のマヤは、インターネット上の経歴や過去の情報を操作して自身の経歴を偽証し、高級でお洒落なニューヨークのマディソン街で働くことになる。持ち前のガッツと生活の知恵を駆使しながら夢をかなえるために奮闘するサクセス・ストーリー。主役のマヤを演じるのは『ウェディング・プランナー』『メイド・イン・マンハッタン』『シャル・ウィ・ダンス?』のジェニファー・ロペス。『ハイスクール・ミュージカル』でブレイクしたヴァネッサ・ハジェンズやリア・レミニ、アナリー・アシュフォード、マイロ・ヴィンティミリアらが脇を固める。メガホンを取ったのは、『50回目のファースト・キス』『ゲット・スマート』のピーター・シーガル監督。

キャン・ユー・エバー・フォーギブ・ミー
Can You Ever Forgive Me

バイオグラフィー、コメディー、ドラマ/M 12月6日公開予定 満足度★★★★

1970~80年代にかけてアメリカで活躍した作家、リー・イスラエルの人生を描いた作品。彼女は、女優のキャサリン・ヘップバーンやタルラー・バンクヘッド、化粧品会社創設者のエスティ・ローダー、ジャーナリストのドロシー・キルガレンなどの伝記を書いたことでベストセラー作家となった。しかし、時代の変化や流行に付いていくことができず、本を出版することができなくなってしまう。私生活も荒れ果ててしまった彼女は、既に亡くなったセレブリティーや作家が生前に記したと噓を付き、偽作の手紙を高額で売りさばく詐欺師となってしまう。主演を務めたのは『ゴーストバスターズ』のメリッサ・マッカーシー。これまでのコメディー作品とは違い、シリアスな役柄に挑戦することで注目が集まっている。

ライフ・イットセルフ
Life Itself

ドラマ・ロマンス/MA15+ 12月6日公開予定 満足度★★

何組かのカップルの物語を描写し、いろいろな愛の形や人生の成功、失敗などをさまざまな世代の視点で違文化を交えながら表現した作品。メインとなるニューヨーク在住の若いカップルは、学生恋愛を経て結婚・妊娠・出産など、家族を築いていく。楽しい時やそうでない時の様子が現実的に描かれている。また、スペインの田舎に住むカップルや世代の違うカップルも登場し、彼らの共通する出来事がきっかけで大陸を越え、それぞれの人生が絡み合うことになる。同作は『THIS IS US 36歳、これから』のダン・フォーゲルマンが制作、監督を務めた。『スター・ウォーズ』シリーズのオスカー・アイザックや『トロン:レガシー』のオリビア・ワイルド、『アメリカン・ビューティー』のアネット・ベニングらが出演。

スパイダーマン:スパイダーバース
Spider-man: Into The Spider-Verse

アクション、アドベンチャー、アニメーション/TBC 12月13日公開予定 満足度★★★

© 2018 SPAI.
© 2018 SPAI.

舞台はニューヨーク・ブルックリン。少年マイルス・モラレスは今までのスパイダーマン・シリーズの主人公、ピーター・パーカーとは全く異なる人物像となっている。彼が住む地域では、無限の可能性が秘められた「スパイダーバース」が存在し、そこからはさまざまな次元のスパイダーマンが一度に集結できるという。同作では、『レゴ・ムービー』や『21ジャンプストリート』のアニメーション映画制作に深く関わったフィル・ロードとクリス・ミラーが、個性的な才能で今までにないようなビジュアルとスタイルでスパイダーマンの新しい世界を作り上げる。メガホンを取ったのは『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』のピーター・ラムジーと映画初監督となるボブ・ペルシケッティ、ロドニー・ロスマン。

★今月の気になるDVD★

恋に落ちたシェイクスピア Shakespeare in Love
ドラマ、ロマンス 137分(1998年)

舞台は16世紀末のロンドン。人気劇作家ウィリアム・シェイクスピア(ジョゼフ・ファインズ)はスランプに陥っていた。そんな中、何とか書き上げた新作のオーディションに来たトマス・ケントという青年と出会う。当時の演劇界では、風紀上の問題があるという理由で、女性は舞台に立つことができず、女装した変声期前の男性俳優が女性を演じていた。実はトマス・ケントは、シェイクスピアを信奉する芝居好きの資産家の娘ヴァイオラ(グウィネス・パルトロー)が男装し劇団に潜り込んだ人物だった。抜群の演技力で主役を得たヴァイオラの男装はシェイクスピアの知るところとなるが、彼はそれを黙認する。シェイクスピアは、以前から女性の姿のヴァイオラに恋していたのだ。ヴァイオラは、貴族との縁戚を望む両親のため、貧乏貴族のウェセックス卿(コリン・ファース)との意に染まぬ結婚を前にしていたが、2人は次第に惹かれ合い決して結婚できぬ間柄と知りながらも、忍んで会う仲となる……。

アカデミー賞7部門並びにゴールデン・グローブ賞ミュージカル・コメディー部門作品賞を受賞した同作は、『ロミオとジュリエット』の初演を背景とした悲喜劇の物語。ジェフリー・ラッシュやベン・アフレックらが脇を固めるキャスト陣も豪華だ。(編集=YI)

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