【特集】日本とオーストラリアで過ごす年末年始+豪州7都市イベント

日本とオーストラリアの年末年始の過ごし方

冬の日本と夏のオーストラリアでは新年の迎え方も異なる点が多いが、在豪邦人にとっては過ごし方の選択肢が豊富ともいえる時期。本特集ではそんな日本とオーストラリアでの年末年始の習慣、そして、オーストラリア各都市でクリスマスから年明けまでを楽しめる主要イベントを紹介。自分にぴったりの年末年始の過ごし方を見つけてみよう。

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オーストラリアで「日本」を感じる年末年始

日本では師走とも呼ばれる12月。空気が少しずつ冷たくなり吐く息が白くなるこの月は、終わりゆく年を名残惜しむような気持ちと、新しい年への期待と高揚感が入り混じり、日本独特の風情を強く感じられる時期でもある。1年の出来事を振り返りまとめをする時として、お世話になった人にお歳暮を贈る、忘年会を開く、門松を飾るなど、日本の年末独自の習わしがたくさんあり忙しく過ごすことも多いだろう。1年の厄を落とし新年に幸運を呼び込むという意味で、家の大掃除をしたり、散髪をするのも良いとされている。企業や官公庁の年末休暇は12月28日頃~1月3日頃を中心とするところが多いようだ。

年賀状には新年の干支の絵柄をあしらうことも。2017年は酉年
年賀状には新年の干支の絵柄をあしらうことも。2017年は酉年

一方オーストラリアではクリスマス過ぎには多くの企業が年末年始休暇に入っており、長いところでは1月中旬まで休業する。そのため、年末年始の休みを利用して国内の他都市や海外へ旅行に出かける人も少なくなく、連休を生かして車での長距離旅行やキャンプを計画する人、郊外のホリデー・ハウスでのんびりと過ごす人、クルーズ船などでの優雅な旅をする人もいる。

日本でも国内外の旅行先で年越しのタイミングを迎えることも珍しくなくなったが、家族や親族が1つの家に集まり食卓を囲むのが伝統的な過ごし方。いずれも、身近な人と過ごす大晦日やお正月が特別な時間であることに変わりはない。

オーストラリアでの年末年始は、花火の打ち上げなどの特別イベントを楽しむだけでなく、南半球にいながらにして日本の伝統的な習慣を味わうことも可能だ。日本文化や和食を提供するサービスを豊富に選ぶことができるのも、多国籍国家ならではの魅力だろう。この機会に、年末年始の時期ならではの日本の伝統を、オーストラリアの文化と比較しながら見直してみたい。

年賀状はいつから始まった?

家族の健康や商売繁盛を祈願を祈願して年末年始に飾る門松。期間は12月13日から1月7日までが良いとされる
家族の健康や商売繁盛を祈願を祈願して年末年始に飾る門松。期間は12月13日から1月7日までが良いとされる
羽根突きの元は神事だったが、江戸時代に縁起物の歳暮として装飾された羽子板が女児に贈られるようになった
羽根突きの元は神事だったが、江戸時代に縁起物の歳暮として装飾された羽子板が女児に贈られるようになった

お世話になった人や、なかなか会うことの叶わない遠方の友人・知人などに送る年賀状。安否を気遣い、互いの幸せを祈るメッセージをしたためたはがきを年始に届くように送るという習慣だ。江戸時代には読み書きを習う機会の増加と飛脚による配達の一般化により既に年賀の書状を送る風習ができていたとされているが、広く普及し始めたのは明治時代。明治維新後に郵便事業が創業され、全国一律料金で送ることのできるはがきの登場は、年賀状という習慣をあまねく庶民にまで押し広げることに大きく貢献した。

その数年後にはお正月に通常の郵便業務が滞る程の量の年賀状が流通し、その後の年賀郵便制度の整備などを経て、年賀状を送り合う習慣は今日まで日本で続いている。第2次世界大戦中には自粛が呼びかけられたこともあったことを思うと、年賀の挨拶を送り受け取ることができる、ということそのものが1つの平和の象徴とも言えるのかもしれない。

最近では日本でもEメールで新年の挨拶を交わし合うことが一般的になり、年賀状の流通量は著しく減っているが、離れている人を思う気持ちは今も昔も同じ。オーストラリアなどキリスト教をバックグラウンドに持つ国におけるクリスマス・カードの習慣もまた、風習や宗教は違えど、自分にとって大切な「誰か」とのつながりを再確認するための方法といえるだろう。

メディアが伝える大晦日の空気

家中の大掃除も終えた12月31日、日本の家庭では一緒に食卓を囲み、例えばこたつでミカンをむきテレビを観ながら談笑する、というのが典型的な大晦日の風景ではないだろうか。

オーストラリアの大晦日には夏らしく花火の打ち上げが各地で行われ、シドニーの年越し花火の打ち上げイベントでは先住民族アボリジニーに敬意を表するセレモニーなども行われる。毎年、大手通信会社テルストラがイベントの様子をインターネット上のストリーミング動画で配信するので、観覧会場まで出かけずとも自宅のPCなどで楽しむことが可能だ。また、テレビでもABCがシドニーの同イベントの様子をリアル・タイムで伝え、日本の年末とは赴きの違う興奮や熱気を感じることができる。

日本で育った多くの人にとっては、大晦日の夜といえば「NHK紅白歌合戦」などのテレビ番組もまた、その風景の一部としてなつかしく思い起こされるはずだ。今年1年にどんな音楽が流行し、どんな歌手が人気を博したかをさまざまな世代の人が同時に楽しめる番組というのはそう多くない。音楽だけでなく一世を風靡(ふうび)したドラマの俳優や活躍したスポーツ選手なども登場し、1年の日本文化や世相の総まとめを華やかに楽しむことができるのが紅白歌合戦の良いところ。

オーストラリアでは大晦日といえば花火のイメージが強い
オーストラリアでは大晦日といえば花火のイメージが強い

紅白歌合戦が終わった後に始まる「ゆく年くる年」は打って変わって、どこかおごそかな雰囲気の中、日本各地の寺院で鳴り響く除夜の鐘や参拝者の様子を映し出す。年越しの瞬間には「0:00」と時刻が表示され、テレビ画面の向こうでもこちらでも「明けましておめでとう」の声が飛び交う。

そんな大晦日の過ごし方をなつかしく思い出す人に、「NHKワールド・プレミアム」という、海外でもNHKのバラエティーに富んだ番組を視聴できるサービスがある。オーストラリアではテレビジョン・オセアニア社がこのサービスを提供しているので、年末の特別番組を楽しむのも良いだろう。

「年越しそば」で厄を落とす

大晦日に食べる「年越しそば」は縁起物とされる
大晦日に食べる「年越しそば」は縁起物とされる

日本人にとって、大晦日の食事の定番として「年越しそば」は外せない。その由来については諸説あるが、「細く長い」という麺の特徴から長寿や延命、家族の縁が長く続くための縁起物として、またそばが内蔵にたまった毒素を取り去ると信じられていたことなどが主な理由とされている。

食べる時刻については厳密に決まっておらず、地域によっては大晦日ではなく元旦や小正月(1月15日)にそばを食べるところもあるようだ。

オーストラリアでは「年末にはこれを食べる」という特別なしきたりはないようだが、日本食材店や一般のスーパーマーケットのアジア食品コーナーで乾麺が購入できるので、自宅でそばをすすりながら年越しの瞬間を迎えるのも良いだろう。

初詣と大晦日の礼拝

初詣のお賽銭に5円玉を使うと縁が広がるといわれる
初詣のお賽銭に5円玉を使うと縁が広がるといわれる

新しい1年の平安を祈願するため、年が明けて最初に寺院や神社に参拝する初詣。大晦日の深夜から初詣に出かけてそのまま初日の出を見に行く人などもいるが、1月7日までを目処に行っても良いとされているので、余裕を持ってスケジュールを立てるのも手だ。

オーストラリアでは伝統的に、信心深いキリスト教徒は大晦日の夜に家族で教会へ出かけ礼拝に参加していたという。教会で深夜0時の鐘の音を聞きながら新年を迎えるという過ごし方は、日本の初詣に通じるところがあるかもしれない。

お節料理で祝う元旦

元々は年神様に捧げる供え物だったお節料理
元々は年神様に捧げる供え物だったお節料理

お正月料理の基本、お節料理。年神様への供え物として始まり、お正月期間にできるだけ煮炊きを避けるという習慣から、日持ちする料理を年内に作り置きし重箱に詰めたものが一般的だ。古くはその家独自の味を代々受け継ぎ、黒豆、数の子、田作り、紅白かまぼこ、伊達巻、栗きんとん、鯛などの焼き物、なますやちょろぎなどの酢の物、昆布巻などが用意される。

最近では中華や西洋料理を取り入れたものも人気で、料亭などが販売するお節料理も手軽に入手できるようになってきた。シドニーでもシティーの「Sushi e」の浦料理長やウィロビーの日本料理店「㐂介(きすけ)」などがお節料理の販売を行っており、アーターモンの食料雑貨店「ラッキーマート」ではお節料理の他、お正月用のしめ飾りも購入可能だ。いずれもお節は個数限定の予約販売なので早めに問い合わせてみよう。

鏡餅やお雑煮

鏡餅の名前は三種の神器の1つである鏡の形に由来する
鏡餅の名前は三種の神器の1つである鏡の形に由来する

餅を食べるのも日本のお正月ならでは。12月28日もしくは30日に餅つきを行い、お正月の鏡餅として飾ったり、お雑煮にして頂くのが一般的。

お雑煮は東日本では焼いた角餅をすまし汁に入れ、西日本ではみそ仕立ての汁に丸餅を入れるが、四国や九州の一部ではあんこの入った丸餅を使う習慣もある。

鏡餅もお節料理と同様に年神様への供え物の1つ。鏡餅に使った餅は1月11日の鏡開きに、お雑煮やお汁粉にして頂こう。オーストラリアで育つ日本人の子どもにとってはこうした習慣を体験する機会が大人以上に貴重かもしれない。オーストラリアの日本食材店で餅を買い、なつかしい地元の味を再現してみれば日本の伝統を知るチャンスとなるはずだ。

また、もし餅を食べきれない場合は、右のレシピのようなアレンジを加えれば飽きずにおいしく頂くことができそうだ。お正月メニューのレパートリーに加えてみては。

お正月映画、年末年始イベント

日本では、お正月休みに合わせて映画の大型作品が封切られることが多く、映画を観ながら年越しをするイベントなども開催されている。オーストラリアでは元旦にこうした習慣はないが、スクール・ホリデーやクリスマスに合わせて公開される作品もあるので、お正月の時点でも新作と呼べる作品のチョイスは少なくない。日本のお正月気分で映画館へ足を運んでみるのも良いだろう。

オーストラリアではお正月よりもクリスマスから年越しにかけての時期にイベントも充実しているので、出先ではオーストラリアらしさを味わい、家庭では日本の文化や伝統を楽しむ、というのも年末年始を有意義に過ごす方法かもしれない。

次ページからは、オーストラリアの主要都市で12月から1月に開かれるイベントを紹介する。家族や友人同士でのお出かけの際にぜひ参考にしてみてほしい。

おもちのアレンジ・レシピ レシピ:才川須美(管理栄養士&食育インストラクター)

1cup=250ml 、1TBS=20ml、1tsp=5ml

大根餅


(1) 餅は、ひと口大に切り、ゆがくか、電子レンジで加熱をして柔らかくします。電子レンジで加熱する場合は、必ず、水をはった容器に餅を入れてください。(水使用の場合は、約2分加熱)

(2) 大根おろしの水気を軽くしぼり、醤油とポン酢を加え、餅にからめます。

(3) 小口切りにしたねぎ、お好みで七味をちらしたらでき上がり。

納豆餅

大根餅の作り方(1)同様に柔らかくした餅に、納豆、卵の黄身、ねぎの小口切りをからめます。

揚げ餅のあんかけ(2人分)


(1) 餅4個を170〜180度の油でカラッと揚げます。

(2) だし汁200ml、しょう油1TBS、みりん1/2TBSを合わせ、ひと煮立ちさせます。千切りの人参やえのき等の野菜を入れてさっとゆがき、三つ葉、水気をきった大根おろしを火をきる直前に加えます。

(3) 餅を深皿に入れ、その上に(2)のあんをかけて頂きます。

餅ピザ


(1) 四角い餅4個を水につけておきます。

(2) 玉ねぎ、マッシュルーム、カプシカン、サラミなどの材料を切り、油で炒め、塩、こしょうで味付けします。

(3) 鍋にバタ−をひき、餅を入れます。トマト・ソースをぬり、(2)の材料、チーズをのせ、ふたをします。

(4) チーズが溶けたらでき上がりです。フライパンで温めるかわりにオ−ブンを使用すると、焦げ目がついて、より美味しくなります。

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