「Blue Angel Restaurant」

シドニーのあの店この店
アットホームなインテリアの中で生簀がひと際目立つ
時代が変わっても
変わらない味とサービス

文=食いしん坊ママ
 数多くのレストランが存在するシドニー。その分入れ替わりも目まぐるしく、新しいレストランがオープンしても“今度行こう♪”と思っているうちに閉店してしまった、なんてこともよくある話。ましてや“老舗格”となると数は限られる。長年親しまれているレストランは、シティにある「Beppi’s」や「Machiavelli」のように、家族経営のイタリア系レストランが多いようだ。

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「ブルー・エンジェル・レストラン」の顔、マルチェロさん

 シドニーで長年続いている日本人に馴染みのレストランと言えば「ブルー・エンジェル・レストラン」。シドニーに長く住む人には知られた名前だ。開店1961年、イタリア人の現オーナーであるマルチェロさんがお父さんから店を引き継いだのが40年前だそうだ。以来、「伊勢えびの刺し身とイタリア料理をお箸で食べられるレストラン」として日本人に親しまれている。80~90年代の観光ブームには、日本人観光客たちが大型バスでこぞってやって来たほど。私にとってはシドニーで初めて行ったレストランが、ブルー・エンジェル・レストランとあって、その後も頻繁ではないが、リピーターとして長年利用しており、思い入れのあるお店の1つだ。しばらくご無沙汰していたが、先日、出かける機会が到来した。
「あのレストランはまだやっている ? 」。日本に住む友人夫婦がシドニーに遊びに来た。さかのぼること15年前、観光ツアーで来た2人はブルー・エンジェルで食事をしたことが強く印象に残っているようだ。早速、私たち夫婦と4人で出かけることにした。

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伊勢えびをメインとした刺し身盛り合わせ

 席に案内されると、店内に置かれた大きな生簀とその中でうごめくたくさんの伊勢えびに目を奪われる。メニューには、シーフードを中心とした地中海料理、イタリア料理、そして伊勢えびなどのお刺し身や和牛を使った日本風の料理が並ぶ。私たちは伊勢えびの刺し身と和牛ステーキの組み合わせというなんとも欲張りなメニュー、「デラックス・コース」で全員一致した。飲み物は、オーストラリア産のビールとワイン。まずは、ティレルズの「04年Vat 47シャルドネ」をセレクトした。久しぶりの再会に乾杯して話が弾む中、マルチェロさん自ら生簀から伊勢えびを選び、はかりを持って私たちのテーブルに来てくれた。友人夫婦が15年ぶりに来店したと聞き、歓迎の挨拶をしたマルチェロさんは「当店では親子2世代にわたって来てくれる日本人のお客様もいますよ」と手にしている伊勢えびを慣れた手つきで私たちの目の前で計っていく。そのえびの重さは、2.5キロもあった。

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これぞ“和牛”ステーキ

 食事を心待ちにしていると、まずは伊勢えびのスープでコースが始まった。やがて、見るからに新鮮で美味しそうな伊勢えびの刺し身が厳かに運ばれて来た。一口一口吟味して、私たちは久しぶりに食べる伊勢えびの刺し身に舌鼓を打った。甘味・旨みが凝縮した味もさることながら、オントレーとはいえボリュームたっぷり。刺し身の後はちょっと間をおいてもらったほどだった。

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イタリア風前菜盛り合わせ、アンティパスト

 しばらくしてから炭火焼き和牛ステーキが届く。ミディアム・レアで霜降りの脂を逃すことなく焼いた和牛は、口の中でとろけるよう。とてもやわらかく、上質なお肉だということが分かる。メインは伊勢えびの風味を生かしたスパゲッティ、最後はイタリア風アイスクリームで締めくくり、コースは終了した。

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いか墨たっぷりのスパゲッティ

 食事を終えるとマルチェロさんがポート・ワインをご馳走してくれた。友人が「オーストラリアに和牛がいるんですか ? 」と尋ねると、「数年前、日本に行った時に食べた和牛が美味しくて。入手先を探していたら、黒毛和牛がタスマニアで飼育生産されていると知りまして、すぐ産地に行って買い付けの交渉をしました」と嬉しそうに答えてくれた。輸出専門に生産される最上級の豪州産和牛だそうだ。「伊勢えびはタスマニアからの直送で、生簀には常時3.5~4トン飼育しています」。「もう40年やっていますが、僕はきっと死ぬまで働いていますよ」と私たちに気さくに話してくれたマルチェロさんが印象的だった。

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イタリア仕込みのルカ・バデラ料理長と
勤続20年のビンセントウエイター主任

 昔は日本人一色のレストランだったが、日本人以外のアジア人やオーストラリア人も増えているようだ。「時代が変わっても、質とサービスは変わらないね」と友人夫婦は大満足。“老舗組”として生き残る秘訣を肌で感じたようだ。チップを含んで4人分で650ドル。決して安いとは言えないが、プリプリの伊勢えびなどゴージャスな料理の数々と、熟練したスタッフの温かなサービスに満ち足りた気分で店を後にした。

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和風仕上げの和牛カルパッチョ

 シドニーに在住して30年。オーストラリアの食生活はヨーロッパや中近東、アジアからの移民が多く入国して以来、ガラリと様変わりした。モダン・オーストラリアンと言われる、言わばオーストラリアに住む移民たちが持ち込んだ各国の素材や要素を利用し、豪州独自の洗練された料理が創り出され定着し出したのもここ10年くらい。今やいろいろな国の本場料理が楽しめるだけでなく、おしゃれなカフェやバーが続出。中には独創的に工夫されたお店や、抜群の景色を眺めるお店なども。また、話題性の多いシェフがどんどん出現して、シドニーのレストラン事情は大きく変貌し、楽しくなった。「食べる」ことが大好きな私は、1週間に3度は外食を楽しんでいる。そんな私の経験からお薦めのレストランをご紹介するコラムです。
シドニーのあの店この店
DATA
「Blue Angel Restaurant」
223 Palmer St., East Sydney
Tel: (02)9380-5941
Web: www.blueangel.com.au
毎日6PM~(ラスト・オーダー10PM)
ちょっと補足
地下1階のレストランのほか、1階には数人から40人まで収容できるファンクション・ルームが4室ある。接待や披露宴などに利用されているようだ。日本語のロブスター・コース・メニュー有り。
メニュー:ロブスター・コース・メニュー:$98~$136の4種類。
一品料理の一例:パスタ料理$25~$45、リゾット$38~$50、伊勢えびの刺し身1キロ$88
ワイン$28~
私の評価:(★の量は程度を示す)
気楽さ ★★★
サービス ★★★★★
家族・友人と一緒に ★★★★
接待 ★★★★
団体・パーティー ★★★★
ロマンチック度 ★★★
記念日・お祝い日 ★★★★
幼児・子ども連れ お勧めしません
要英語力 ★★
費用対価値 ★★★★
要予約 ★★★

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