【新連載】オーストラリアで話す日本酒のお話【第1回】米の話 その1

オーストラリアで話す日本酒のお話

第1回米の話 その1

日本好きが元々多いオーストラリアですが、特に近年の日本観光ブーム、来る東京五輪などで、和食への興味が広まるにつれ、日本酒への関心も徐々に高まってきた気がしています。

そんな中、日本酒に興味を示し始めたオージーの友人と和食を食べに行ったとしましょう。もし日本酒の話題が出たら、語りすぎることなく、手短に楽しく、大事なポイントを教えてあげたいですよね。そこで、まずは「米の削り具合でスタイルが変わる」という話からスタートしたいと思います。

収穫前の稲穂(ⓒ蓬莱泉)
収穫前の稲穂(ⓒ蓬莱泉)

純米、吟醸……まずはどこから?

日本酒の味わいに影響を与える要素はたくさんありますが、中でも米の精米歩合(英語では“polishing ratio”)は特に重要なポイントの1つ。精米とは米を削る作業です。ボトルに「精米歩合60%」とあれば、米の表層を40%削り、元の大きさの60%になるまで精米した米を使用した日本酒というわけです。

米を削らなくても日本酒はできますが、玄米の表面の方に含まれる脂肪、灰分、たんぱく質などの成分は雑味につながるため、そこを削りでんぷん質の高い部分を酒造りに使います。

米は削られるほど純粋なでんぷんに近くなっていき、結果として出来上がる日本酒の味わいもきりっとクリア、より淡麗な味わいとなっていきます。「特定名称酒」と呼ばれる日本酒のカテゴリーの中で、この削り具合が最も高いグループが「大吟醸」(精米歩合50%以下)となり、次が「吟醸」(精米歩合60%以下)です。

精米歩合が60%以上(元の米が60%以上残っている)となると、「純米酒」(一般的に精米歩合は70%)、そして「本醸造酒」(精米歩合は70%か更に削った物、醸造アルコール添加)があります。お米分がより高いこれらの日本酒は、うまみ、ふくよかさなどの味わいが際立ち、吟醸系とはまた違った個性を楽しめます。

吟醸用の精米された米(ⓒ蓬莱泉)
吟醸用の精米された米(ⓒ蓬莱泉)

非常に一般的な目安ではありますが、吟醸系の日本酒には華やか、淡麗、フルーティーな味わいの物が多く、繊細・あっさり系の料理と合わせて味わうのが基本的なパターンです。

また吟醸系は、他の物と比べると価格は高めであるため、ワインに親しんでいる方なら「値段が高い=よりしっかりした味わい=食事の後半に飲む物」と思うかもしれません。しかし、日本酒の場合、吟醸系を先に頂き、そのスマートなスタイルを味わってから、次は精米歩合の高い日本酒に移行する方が、その奥行きをより楽しめるような良い気がします(もちろん個人の好みにもよりますが)。

それでは次回は、その米自体について、酒造米の話をしましょう。


雄町稲穂
在シドニー歴20年。日本での仏・独・豪ワインの輸入販売を経て、シドニーのブティック・ワイン専門会社に入社、日本やアジア諸国へ豪州プレミアム・ワインを輸出。現在は豪州食材を世界に広める企業に勤務。日本酒は勉強不足を痛感し、2017年にTAFEのWSET(Wine & Spirit Education Trust)SAKEコースを受講。レベル3を「優」で卒業したものの、テイスティングは「良」に留まったため、スキル・アップのため実技に励んでいる

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る