幸せワイン・ガイド「ピノ・ノワール」

今月の品種:ピノ・ノワール

ワインのボディって?

ワインの「ボディ」ってよく聞くけど、ボディってそもそも何のことでしょう――。ボディとは、文字通りワインの「カラダ」のことです。ワインの「コク」「濃さ」と言い換えると、より分かりやすいでしょうか。

バロッサのシラーズや、マーガレット・リバーのカベルネといった、重厚でどっしりとしたワインをフル・ボディ、逆にモスカートやリースリング、ボジョレ・ヌーボーのような軽やかでさっぱりとしたワインをライト・ボディと呼びます。そして、その中間にあたるワインをミディアム・ボディと呼び、これが一番幅広いスタイルです。では、そのワインの「カラダ」とは、一体どうやって決まるのでしょうか?

まずは、ワインの体も、人間の体と同様に、「肉」と「骨」でできている、と想像してみてください。

パリンガ・エステート・ワイナリーでのランチにて
パリンガ・エステート・ワイナリーでのランチにて

ワインの「肉付き」を作るのは、果実味やアルコール、渋味です。飲んだ時に感じる果物の香りや味わい、舌にざらざらと感じる渋味、アルコールの温かさなど、ワインにコクや厚みを与えてくれる要素です。

そして、ワインにとっての「骨」の役割を果たすのが酸味と渋味です。渋味は肉、骨両方の役割を果たします。お肉だけでは全体的にダラッとしてしまうであろうワインをピシッと引き締め、飲みごたえを与えてくれます。

スタイルの違いはさまざまであっても、骨とお肉、どちらも大事なワインの「カラダ」の部分。両者のバランスが取れてこそ、美味しいワインができ上がります。

例えるならフル・ボディは豊満でグラマラスな、ライト・ボディはスレンダーな女性、といったところでしょうか。どちらの方が優れている、と言うものではありません。自分の好みやその日の気分、あるいは季節や献立に合わせてワインを選んでみてくださいね。

ピノ・ノワール

さて、今月の品種は「ピノ・ノワール(Pinot Noir)」。最初は白ばかり飲んでいたけど、そろそろ赤ワインも飲んでみたいな、でもあまり重たいものはちょっと、という方にまずお薦めしたいのがピノ・ノワールです。

ピノ・ノワールは赤ワインとしては比較的軽やかで渋味も控えめ。そして、特に良質なものになるとより複雑で、さまざまな香りや味わいの折り重なって楽しむことができる、とても魅力的なブドウ品種です。

一方で作り手にとっては非常に気難しく繊細な品種。ちょっとした気候の変化の影響をも受けやすく病気にもかかりやすい、大変手間のかかるブドウでもあります。ですがその気難しさと繊細さにかえって心を揺さぶられるのでしょうか、ピノ・ノワールに特別な愛情をかけるワイン・メーカーやワインの専門家、また愛好家の方々は多いようです。

基本的に涼しい気候で育てられることの多いピノ・ノワール。オーストラリア国内でも、名産地は基本的に標高の高い場所や、南側の涼しいエリアに集中しています。ビクトリア州のヤラ・バレー、モーニングトン・ペニンシュラ、ジーロン、タスマニア、南オーストラリア州のアデレード・ヒルズなどが、美味しいピノ・ノワールを作る産地として知られています。

イチゴ、クローブ、春の花壇

ピノ・ノワールは淡い優しい色合いをしています。チェリー、イチゴ、ラズベリーといった、甘酸っぱくみずみずしい、赤い果実の香り、それからクローブやナツメグといった甘辛いスパイスの香り、そして春の花壇のような土っぽくも可憐な香りも。さらに年月を経て熟成が進んでいくと、紅茶の葉や苔に似た香りがするものもあります。

ピノ・ノワールと合わせたいのは鶏肉や鴨肉、カマンベールなどの白カビのクリーミーなチーズ、そしてサーモンなどの脂身の多い赤身のお魚ともよく合います。味付けは軽めのソースのものや、お刺身などの繊細な味わいのものがお薦めです。私の一番のお薦めは、何といっても焼き鳥です。特にレバーやハツなどの臓物系との相性は抜群。今度の飲み会で、ぜひ試してみてください。

冷涼なビクトリア州とタスマニア州の名醸地から3本をセレクト

梅:自宅でルーム・メイトと

Oak Ridge Over the Shoulder Pinot Noir/18ドル
白カビチーズ、照り焼きチキン、パテと一緒に
Web: www.oakridgewines.com.au

竹:週末デートに

Pipiers Brook Estate Pinot Noir/41.50ドル 
ベイクド・サーモン、焼き鳥、ローストチキンなどと
Web: kreglingerwineestates.com

松:記念日やお誕生日のディナーに

Paringa Estate Estate Pinot Noir 2012/60ドル
鴨のコンフィ、赤身の刺身、牛の赤ワイン煮込みなどと
Web: www.paringaestate.com.au


<著者プロフィル>

フロスト結子
◎日本人としての合格者はまだ少ないワインの国際資格WSET® Diploma in Wine & Spiritsを取得。日本でワイン関連商社の貿易業務に携わった後、2009年オーストラリア人の夫との結婚を機にシドニーへ移住。現在はオーストラリア国内大手オークション会社であるGraysOnlineのワイン部門でアカウント・マネージャーとして勤務する傍ら、フリーランスとしてライティング、ワイン関連の翻訳、市場調査などで精力的に活動中。ワインのコメントは「とにかく美味しそうに書く」がモットー。

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