幸せワインガイド「デザート・ワイン」

今月のテーマ:デザート・ワイン

2月の一大イベントといえば、やはりバレンタイン・デー。オーストラリアでは、主に男性から女性に赤いバラの花やジュエリーを贈るのが主流ですが、私たち日本人にとっては、やっぱりバレンタインといえば、甘い魅惑のチョコレート。
今回は、チョコレートのように甘い、魅惑のデザート・ワインをいくつかご紹介します。

遅摘み

Late Harvestと表記のあるワイン造りでは、原料となるブドウを、完熟した後もわざと収穫を遅らせて樹に残し、生乾き状態にすることでブドウの中の糖度が高くなります。リースリング、セミヨン、ゲヴュルツトラミナー、ソーヴィニョン・ブランなどさまざまな白ワインの品種から作られています。デザート・ワインの中では比較的軽やかでさっぱりしていて、お花の蜜のような爽やかな香りがするものも。デザートとしてだけではなく、食事とも合わせられる、ほど良い甘さのものもあります。味が優しめなチーズや、生のフルーツの入ったデザートなどと一緒に楽しんでください。

貴腐(きふ)ワイン

Noble Rot、もしくはBotrytisという表記のあるものは、日本語で「貴腐ワイン」と呼ばれるワインです。ブドウの果皮に「ボトリティス・シネレア菌」という菌が発生して表面をシワシワにし、果汁の水分を蒸発させることでブドウの中の糖度を高めてくれます。

貴腐ブドウ(Photo by Ema Ito)

貴腐ブドウ(Photo by Ema Ito)

外見はまるで腐ったかのように見えるこの貴腐ブドウからは、まるで黄金の蜜のような極甘口のワインが生まれます。貴腐香、と呼ばれるオレンジ・マーマレードのような甘く複雑な香りと、粘性が高くトロリとした質感が特徴です。

ただし、一歩間違ってこの菌が果皮を貫いて果実にまで及ぶと「灰色かび病」という深刻な病疫を起こすこともあり、ワイン・メーカーにとっては非常にリスクの高いワイン造りなのです。

ボトリティス・シネレア菌がうまくブドウに付着するためには、日照、湿気、温度など、幾つもの条件が必要なのですが、これらは人の手によって整えることはできません。これらの条件が全て偶然そろった時にのみ、誕生することができるというワイン。そんな自然界の奇跡から生まれるのが貴腐ワインです。

貴腐ワインには、伝統的にはフォアグラとの組み合わせが有名ですが、ほかにはブルー・チーズ、ドライ・イチジクなどとの組み合わせがオススメです。

ラザグレン・マスカット

ビクトリア州北東に位置するラザグレン地方。世界でもここだけで醸造されている特殊なワイン「ラザグレン・マスカット(Rutherglen Muscat)」があります。これは、「酒精強化ワイン」と呼ばれるものの1つで、発酵完了する前のワインにアルコール(酒精)を加えてアルコール度数を高めたワインのことです。世界的に有名な酒精強化ワインには、スペインのシェリーやポルトガルのポート、マデイラなどがあります。

ラザグレン・マスカットは、カラカラの干しブドウ状態になるまで樹の上で乾燥させたブドウから作られます。これらをを軽く圧搾し、さらに暑い小屋の中で酸化熟成させ、水分を蒸発させて味を凝縮します。さらに、異なる年のワインを「ウナギのタレ」のように継ぎ足しながらブレンドすることで、複雑さを増していきます。

このワインの最大の特徴と魅力は、その驚くほど芳醇で華やかな香りです。ラベンダー、アールグレイ、焙煎したコーヒー豆など、甘美で深みのある香りが、美しい琥珀色のワインから立ち上ります。ぜひ上質なダーク・チョコレートと合わせて。

今年のバレンタイン・デーには、大切な人との甘いひと時に、ぜひ甘くぜいたくなデザート・ワインを添えてみてください。

デザートと一緒に、あるいはデザートそのものとして楽しめる

梅:おうちディナーの後のデザートに

Campbell Rutherglen Muscat NV(375ml)/18ドル
ダーク・チョコレート、フルーツ・ケーキと
Web: www.campbellswines.com.au

竹:バレンタインのプレゼントに

Bethany Select Late Harvest Riesling (500ml)/28ドル
よく冷やしてそのままで
Web: www.bethany.com.au

松:特別な記念日のディナー、お世話になった方への贈答品に

De Bortoli Noble One 2013(375ml)/33ドル
ブルー・チーズと一緒に
Web: www.debortoli.com.au


<著者プロフィル>
フロスト結子
◎日本人としての合格者はまだ少ないワインの国際資格WSET® Diploma in Wine & Spiritsを取得。日本でワイン関連商社の貿易業務に携わった後、2009年オーストラリア人の夫との結婚を機にシドニーへ移住。現在はオーストラリア国内大手オークション会社であるGraysOnlineのワイン部門でアカウント・マネージャーとして勤務する傍ら、フリーランスとしてライティング、ワイン関連の翻訳、市場調査などで精力的に活動中。ワインのコメントは「とにかく美味しそうに書く」がモットー。
Web: auswines.blog.jp

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