副甲状腺機能亢進症とはどのような病気なのですか

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Q 定期検診でカルシウムが高いと言われ、詳しい検査をしたら副甲状腺ホルモンのレベルも高く、手術が必要となるかもしれないと言われました。副甲状腺機能亢進症とはどのような病気なのですか。
(40歳会社員=男性)

 

A 副甲状腺とは甲状腺の裏側にある上下と左右対象に合計4つある臓器です。副甲状腺は血中のカルシウムのレベルをモニターして必要に応じて調整します。副甲状腺ホルモン(Parathyroid hormone、PTH)の分泌量を調整することによってこの役目を果たします。血中カルシウム値が低下すると副甲状腺ホルモンの分泌が上昇します。副甲状腺ホルモンは小腸からのカルシウムの吸収を促進し、腎臓でのカルシウムの再吸収も増やします。また、破骨細胞(骨細胞を吸収し、除去する大型多核細胞)を活発化し、骨の吸収からカルシウムを放出させます。この3つのメカニズムによって血中カルシウム値を上昇させます。副甲状腺機能亢進症では副甲状腺が血中カルシウム濃度を探知するメカニズムが鈍り、カルシウム値が上昇してしまいます。

 

副甲状腺機能亢進症の原因

副甲状腺機能亢進症の原因には、原発性のものと続発性のものがあります。

● 原発性:97パーセントは副甲状腺腫(Parathyroid adenoma)という良性の腫瘍によるもので、4つの副甲状腺のうち1つに起こります。3パーセントは副甲状腺過形成(Parathyroid hyperplasia)といって4つともすべての副甲状腺が副甲状腺ホルモンを過度に分泌します。副甲状腺過形成は長期にわたるリチウムの治療(例えば躁うつ病の治療)や頭部や頸部に放射線治療を受けたことと関連がある時もあります。また、副甲状腺癌は極めてまれ(発症率0.05パーセント以下)です。

● 続発性:ほとんどの場合は慢性腎疾患によるものです。腎機能の低下によってカルシウム、リン酸やビタミンDの恒常性が狂い、副甲状腺過形成が起こり、副甲状腺ホルモンの分泌が増えます。

 

症状
 症状は血中カルシウム値によって左右されます。

●カルシウム値が2.65mmol/L以上の場合
 食欲減退、のどの渇き、頻尿、倦怠感、疲れやすさ、筋力低下、関節痛、便秘
●カルシウム値が3mmol/L以上の場合
 吐き気、嘔吐、腹痛、記憶力減退、うつ
●長期間における副甲状腺機能亢進症による影響
 骨粗鬆症、骨折、腎臓結石、胃、十二指腸潰瘍、膵炎、神経系疾患
※カルシウム正常範囲=2.15~2.55mmol/L

検査
 血中のカルシウムと副甲状腺ホルモンの数値が上がっているかどうかを診ることによって診断することができます。テクネシウム99mを使った副甲状腺のスキャンをして、4つのうちでどの臓器に副甲状腺腫が起こっているかを確認します。状況によっては血液検査(腎臓)、尿検査(カルシウム排出量)、腹部超音波検査(腎臓や膵臓)、骨密度などの検査も必要となることがあります。

 

治療
 根治治療は異常のある副甲状腺を手術で摘出することです。まだ血中カルシウム値がそれほど高くなく、他臓器への影響もなければ経過観察をしますが、必ず6カ月ごとのフォローアップが必要です。


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鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・ファミリー・クリニック

 

メルボルン大学医学部卒。日本人在住者の多いシドニー北部ノースブリッジで一般開業医を始めて29年。穏やかな語り口が印象的な優しい先生として知られる

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