精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)とはどんな病気?

医療

Q

陰嚢(いんのう)が腫れて多少痛みがあるので受診したら精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)と診断され、生殖能力が落ちる可能性があると言われ治療を勧められました。精索静脈瘤とはどのような病気で、どんな治療法がありますか。(30歳会社員=男性)

A

精巣静脈の弁不全のため、血液が逆流することから生じる精索静脈が異常に拡張し、痛みを伴うこともある疾患のことです。陰嚢が腫れて虫の入った袋のように見え、見苦しさを気にする人もいます。血液の逆流で陰嚢の中の温度が上がって精巣の機能が落ち、精子数の減少につながることもあります。最もよくある原因としては男性側の不妊です。

精索静脈瘤の原因

下半身の静脈には仕組みがあり、能率良く血液が心臓まで戻るように逆流を防ぐ弁があります。この弁が何かの理由で機能しなくなると血液がうまく心臓まで戻りにくくなり、重力により血液が溜まり、血管が拡張してしまいます。精巣静脈にもこのような弁があり、うまく機能しないと精索静脈に血液が溜まり腫れてきます。左側の方が右よりも頻繁に起こります。

精索静脈瘤の治療

痛みがあったり、これから子どもを作る希望があり精子数が減少している人は治療が必要です。外科的に精巣静脈を結索することが昔からの治療法でしたが、最近では精巣静脈の塞栓形成も行われるようになってきています。どちらの方法でも治療の成功率は90パーセント以上で、そのうち75パーセントの人は精子数が増加しています。外科治療の場合、再発率は10パーセントですが、塞栓形成の場合はそれ以下です。

精巣静脈の塞栓形成


軽い鎮静剤を投与し、鼠径部(そけいぶ)に局部麻酔をしてからカテーテル(細い管)を大腿静脈に挿入し、X線透視を使って先端が精巣静脈まで届くように操作します。ここで造影剤を流し、精巣静脈に逆流が起こっていることを確認します。その後、金属製のコイルや硬化泡沫(細胞の1種)を挿入して血管を塞ぎます。カテーテル挿入部のアザや一時的な陰嚢の腫れと痛みなどの合併症が起こる場合もありますが、あまり頻度は高くありません。また、血管を傷付けたりコイルが肺に移動してしまうなどという合併症もごくまれです。

精巣静脈の塞栓形成の利点

外科手術と比べ、全身麻酔の必要はなく傷の痛みも軽くて済みます。また、手術による治療では精管や血管を傷付けるリスクもあります。治療後の回復には1~2週間掛かります。

精巣静脈の塞栓形成後のケア

治療後1~2時間ベッドで安静にしていれば帰宅できますが、車の運転は24時間できません。多少の腰痛や陰嚢の痛みが一時的に起こるかもしれませんが、パナードルなどの軽い鎮痛剤でコントロールできます。翌日からは普段の生活に戻れますが、激しい運動は数日避けておいた方が良いようです。

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鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・メディカル・プラクティス

メルボルン大学医学部卒業。Northbridge Family Clinicを昨年閉院し、現在Northbridge Medical Practiceで診療中

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