メディア「マイ·ヘルス·レコード」の「オプトアウト期間」ってなに?

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Q

時々メディアでマイ·ヘルス·レコードについて、「オプトアウト期間(Opt-out period)」が11月15日までと言われていますが、一体どういう内容のものなのでしょうか。(30代オーストラリア永住者=男性)

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マイ・ヘルス・レコード(My Health Record)とは、医師や病院の間で正確かつ安全な方法で患者の医療情報を速やかに交換可能にすることを第一の目的に立ち上げられたシステムです。元々、2012年にPCEHR(Personally Controlled Electronic Health Record)という名称のシステムとして発足しました。

PCEHRの場合、患者が希望した情報を登録する「オプトイン(Opt-in)」ができましたが、マイ・ヘルス・レコードでは登録したくないという「オプトアウト(Opt-out)」の意思を同システムに伝えられるようになりました。今年11月15日までに登録しない意思を伝えなければ、来年から自動的に最小限の医療データがその人のマイ・ヘルス・レコードとして残り、医師や医療機関がそれにアクセスできるようになります。

最小限の医療データというのは、過去2年間のメディケアのクレーム記録とPBS(Pharmaceutical Benefits Scheme)の薬品購入記録だけです。それ以外に、掛かり付けの一般開業医(GP)と相談した既往歴の概要(Shared Health summary)、特記すべき医療イベントが起こった場合の医療ノート(Event summary)、検査結果、専門医からの報告なども希望すればアップロードすることができます。

また、緊急時の連絡先や、急病で倒れ意思を治療医に伝えられないような場合、あらかじめ考慮しておいた自身の延命治療に関する指示(Advance Care Plan)、薬のアレルギー反応や副作用、ダイエットや運動に関する自身の健康記録などもマイ・ヘルス・レコードに含むことができます。

昨今、問題となっているのは同システムにおけるプライバシーの安全性です。マイ・ヘルス・レコードは、「Australian Digital Health Agency」という政府機関によって管理、運営されており、同機関内の「Cyber Security Agency」によって絶えずシステムはモニターされ、保護されています。また、患者自身でどのドキュメントと、どの医療機関にアクセスを拒否するかといった設定をすることもできます。自身のマイ・ヘルス・レコードに誰かがアクセスした場合、その記録は残り、いつ、どの医療機関がアクセスしたのかを調べることができます。原則として、マイ・ヘルス・レコードにアクセスできるのは、患者の治療に携わっている医師となります。

不正なハッキングが起きる可能性は低いと見られていますが、実際にシンガポール、アメリカ、カナダなどではこうした不正が起こっています。第三者(警察、法廷、センターリンク、リサーチ機関、健康保険会社など)がアクセスできるのではないかという懸念も浮上していますが、裁判所命令が出されている以外、Australian Digital Health Agencyは可能性を否定しています。

マイ・ヘルス・レコードに関する情報はウェブサイト(www.myhealthrecord.gov.au)で確認することができます。また、オプトアウトを希望する人は同ウェブサイト上、また電話(1800-723-471)でも手続きができます。メディケア・カードと、運転免許証やパスポートなどの身分証明書が必要です。

一度オプトアウトしても、安全性に関して納得がいった時点で、後ほど改めてオプトインすることも可能です。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・メディカル・プラクティス

メルボルン大学医学部卒業。Northbridge Family Clinicを昨年閉院し、現在Northbridge Medical Practiceで診療中

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