股関節の痛み

”フィジオセラピストに聞こう!体の痛み改善法”

▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!

第47回  股関節の痛み

座ってから立ち上がろうとする時、股関節が固まったようで真っ直ぐ立てず、無理に立ち上がろうとすると鋭い痛みが走る――。このような症状を経験したことはありませんか?

もしかすると股関節インピンジメントかもしれません。これは長時間座っていることが多いオフィス・ワーカーの方によく起こる症状です。長時間一定の姿勢を保って座っていることで、股関節を屈伸させる筋肉が硬直し、股関節を密閉しているパッキンのような構造(股臼唇 – コキュウシ)が圧迫されてしまいます。すると、立ち上がろうとした時に、硬直した筋肉が鈎(かぎ)のようにパッキンに引っかかり、ひどい場合はその軟組織を剥がしてしまい関節内で炎症および痛みを生じさせてしまいます。

そのほかに、先天性のケースもあります。生まれつき股関節に余分な骨があり、これがパッキンを圧迫してインピンジメントの症状が出ることもあります。

股関節インピンジメントを長い年月治療せずに我慢していると、変形性関節症を引き起こす原因になります。変形性関節症を発症し、痛みにより歩けなくなると股関節置換術(ヒップ・リプレイスメント)をすることもあります。この際に入れ替える人工関節の金属は、現時点の医療レベルでは15~20年ほどの耐用年数があります。60歳代で股関節置換術を行った場合、もう一度行うケースも多々見られます。

しかし、インピンジメントの症状の時点で診察および治療ができれば、変形性関節症を予防したり、進行を遅らせることができます。インピンジメントは、股関節や臀部に痛みを生じ、時には腿にも関連痛が出ることがあります。股関節の可動域を改善する治療やストレッチ、臀筋強化の筋トレが有効です。ただし、ストレッチを行う時は深い屈伸は避け、股関節へ負担をかけないことが重要です。避けるべき角度などはフィジオセラピストの診察で確認しながら、効率良くリハビリを行ってください。早期発見、早期治療開始で、ずっと健康でアクティブな生活を送れるようにがんばりましょう。


奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)

シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
www.metrophysiotherapy.com.au

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