フィジオセラピストに聞こう!/子どもの脊椎側弯症

フィジオセラピストに聞こう 体の痛み改善法

▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!

第77回 子どもの脊椎側弯症

脊椎側弯症(せきついそくわんしょう)(以下:側弯症)とは、背骨が左右どちらか、または両側に曲がっている、もしくはねじれている状態を指します。正常な背骨は前後に緩やかなS字カーブがあり横方向に湾曲はなく、後ろからレントゲンを撮ると首から骨盤まで真っすぐに見えます。主な症状は外見に留まり、痛みを伴わないため発見が遅れる傾向にあります。予防の方法も未だ分かっていないため、早期の発見が重要です。

側弯症には発症の原因によって幾つかの種類がありますが、ここでは約85パーセントを占める特発性側弯症について紹介します。

特発性と言うくらいなので、特に原因は究明されておらず、再び突然発症することもあります。発症時期により乳幼児期側弯症(0~5歳)、学童期側弯症(6~10歳)、思春期側弯症(11~18歳)に分類されます。乳幼児期や学童期ではまれに心臓や肺の形成に大きな影響を及ぼす可能性があるため早期に治療を必要とします。また、思春期は側弯症が最も発症しやすい時期であること、成長期でもあるので注意が必要です。特に、女子に発症する割合は男子の5~7倍と言われています。

特発性側弯症に関する治療法は、以下のものが挙げられます。

  1. 1. レントゲンによる側弯の進行状況(角度)の観察(3~12カ月ごとの検診、成長期は頻繁に行う)
  2. 2. コルセット・装具の着用(オーダー・メイドの物が好ましい)
  3. 3. 運動療法と徒手療法――独自のエクササイズでは症状を悪化させてしまう可能性があるため、知識のある医療従事者のアドバイスに従って行う
  4. 4. 矯正手術療法――大きな湾曲や複数ある場合は側弯症の進行が早く、肺や他の内臓を圧迫し、日々の運動などに影響を与える可能性が考えられるため外科的手術により矯正し固定する

2003年に発表された50年に及ぶ追跡調査の結果、特発性側弯症と健常者の間に健康寿命の差は全く認められなかったという結果が出ています。短距離走のオリンピック金メダリスト、ウサイン・ボルトも側弯症がありますが、エクササイズで管理しているそうです。

大切なのは早期に発見し、専門家の指示を受けながら賢く管理していくことです。特に思春期は頻繁に観察することが重要です。


奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)
シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る