第16回 ヒザの関節の痛み

フィジオ セラピスト に聞こう

体の痛み改善法


第16回 ヒザの関節の痛み


▶▶▶フィジオセラピーは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神 経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専 門家で、必要に応じてMRIや専門医に紹介し、包括的な治療を 行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、 体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう !
 

立ち上がる時に両ヒザが固まったようになり伸ばすと痛みを感じるという経験はありませんか? 階段の昇り降りで体を支えられないような感覚になり、壁などで支えないとヒザが崩れてしまいそうになることはありませんか?

そのような経験をされた方はヒザの骨関節炎の可能性が疑われます。日本でもこの症状をお持ちの方は多いですが、スポーツ大国であるオーストラリアではおよそ、全人口の5人に1人、この関節痛に悩まされているということです。

ヒザ関節は全体重を支えるため、軟骨のすり減りが特に著しい部位です。そしてこの軟骨のすり減りは20歳ごろから始まります。子どものころからスポーツを盛んにしていた場合はさらに進行しているでしょう。そして、症状がほとんどない期間を何年も過ごした後、痛みや腫れといった症状が現れてきます。

脚力を維持することが予防に

健全な膝関節の軟骨は、ちょうど大理石のように傷がなくツルツルした状態です。しかし、長年の負荷によるすり減りと加齢による関節の乾きにより、ある時期を過ぎると急激に軟骨の摩擦が進みます。そうなると軟骨はヤスリの面同士がすり合わさっているような状態になり、欠損を引き起こし、炎症が起きます。炎症が起きると炎症液が出るので、いわゆる「ヒザに水が溜まる」と言われる状態になります。自覚症状がなくともこの炎症はいく度となく繰り返され、そのうち筋膜や筋肉などの軟組織で癒着が起こり、関節の動きが硬くなっていきます。さらに関節のすり減りが進むと骨同士がこすり合うようになり、それまでよりも痛みが増し、改善は難しくなっていきます。

繰り返される炎症により、筋肉も知らず知らずのうちに弱くなっていきます。太ももにある大腿筋は、膝関節が受ける荷重を吸収するという大切な機能を持っていますが、この筋肉が弱ってくると膝関節のすり減りに拍車をかけることになります。ふくらはぎの筋肉や臀部の大殿筋なども身体を重力に反して垂直に立ち上がらせる役割を持つ、とても重要な筋肉です。

軟骨がすり減りすぎる前から、運動をすることによって脚力を強く維持することが膝関節の痛みを抑える一番の予防法です。そして、膝の状態や年齢に応じて、ランニングやジャンプなど関節に強い衝撃を与える運動をしている方は、水泳や自転車など関節に負荷があまりかからない運動に切り替えていくとよいでしょう。

日ごろから関節と軟骨に優しい生活を過ごすように心掛けたいものですね。


奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)

シドニー大学理学療法学科卒業 後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダー リングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務 し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治 療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会 公認筋骨格系理学療法士。

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