神経性の排尿困難・頻尿症

ドクター印藤の「ここがツボ」

第42回 神経性の排尿困難・頻尿症

日本やオーストラリアをはじめ先進諸国は21世紀に入り、既に超高齢化社会に突入しています。平均寿命も80歳を超えるようになりました。しかし、この平均寿命に比べて健康的に生きる目安となる「健康寿命」は5~12年もの開きがあり、その間は何らかの成人病や老化と向き合って生きていかなければならないとされます。

直立2足歩行となった人類は、進化の中で知性を獲得した代償に病を背負うことになります。背骨の病気は、その典型的なものでしょう。通常、動物の脊椎(せきつい)骨は地面と水平に連なるため、骨同士のすき間が狭まることは少ないです。しかし、人の背骨は直立しているので、頭と胴体の重みで徐々に椎間板が圧迫されることになります。その度合いは、年齢や性別、また筋肉の体重比によっても変化します。この症状は、おおむね椎間板の弾力性が失われる30代後半からはじまり、特に女性では閉経期の40代後半に更に変形が進行します。

そして、頭と胴体の重みで椎間板が圧迫される状態が続くことで、体内の排尿のコントロールにも悪影響が出る場合もあります。通常は体内の尿がある一定以上になると、脳の中枢に信号が送られ、脳は尿意の抑制を解除して排尿するように命令します。しかし、椎間板が圧迫される続けると、脳から信号が十分に送られない、または異常な信号が送られるといった事態が起こり、尿閉や頻尿、失禁などの症状が発症します。

東洋医学的には、これらの病は腎(膀胱(ぼうこう))と三焦(さんしょう)の下焦(げしょう)における、先天の精気の弱りによるものと考えます。このような病が発生した場合、原因は既にかなり以前から発生していたと見るべきです。ツボへの刺激は強めでも大丈夫ですが、改善には時間のかかることが予想されるので、粘り強く行うことが必要です。またこの場合、慢性的な下半身の冷えもあるので、半身浴や体幹の筋肉を鍛える運動もお勧めです。

東洋では古来から、人生の苦は「生老病死」という4つに凝縮されると言われています。避けることのできないこれらの苦痛をどのように和らげて受け入れ、心の成熟を促し統合された人格を形作っていくか、1人ひとりが目の前のこととして考えるべきではないでしょうか。

腎兪:伏臥位で、肋骨下端の線と腰椎(第2、3)の交点より約2横指外方。
膀胱兪:伏臥して仙骨部の中央線から外方約2横指。仙骨外縁の押して痛む所。
関元:臍の直下4横指。
曲骨:下腹部正中、恥骨軟骨結合部の上際。押せば良く響く。
委陽:膝窩の外側を探ると大腿二頭筋腱を触れる。その腱の内側
崑崙:足の外踝の後側。踵骨の上の陥凹部。
然谷:足の内踝前下方の骨(舟状骨)の膨らみの前下際。押せば痛む所。
陰陵泉:下腿内側、脛骨後縁を擦り上げ骨の弯曲部に取る。押せば良く響く所。


印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

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