睡眠障害の改善

ドクター印藤の「ここがツボ」

第43回 睡眠障害の改善

人は80年間生きると仮定すれば、その3分の1の27年程を睡眠に費やす計算になります。また、人間以外でも高等哺乳類は睡眠中に夢を見ると言われ、昆虫も一定時間眠りの状態になることが知られています。

これほど多くの時間を必要とする睡眠とは、どのような状態のことを指すのでしょうか。この睡眠状態の定義はなかなか難しく、例えば眠りの反対の「意識」を考えると、覚醒している時は明らかに眠っていないと分かります。しかし、うつらうつらし始めている時、それが覚醒状態か睡眠状態かの判定は非常に難しいのです。

このあいまいな睡眠の科学的な判定は、通常脳波測定により決められ、これを脳波睡眠と呼びます。脳波は覚醒の度合いで4種類に分類、ベータ、アルファ、デルタ、シータ波の順で覚醒から熟睡の判定基準として使われます。浅い眠りではデルタ波、深い睡眠ではシータ波が主に出現します。レム睡眠とノンレム睡眠は有名な言葉ですが、前者は爬虫類や両生類にも見られる発生上古い眠りで筋肉の弛緩(しかん)や体温低下が生じ、後者は高等哺乳類での主要な眠りで大脳皮質に関係します。

医学は発展してきましたが、その一方で睡眠の質に関しては客観的なデータ以外に主観的症状の良し悪しによって決まることが多いのも事実です。例えば、慢性の不眠症に悩む人は睡眠時間を実際に眠っている時間より短く誤認している可能性があります。

神秘的な要素の多い眠りですが、近年の研究により睡眠時間の長さは50パーセントが遺伝的な要因、残りは環境要因で決まることが分かってきました。従って、短時間睡眠で頑張るのは慢性的不眠や慢性疲労などの原因となり、更には神経症やうつ病、高血圧症等の誘因となることもあるので大変注意が必要です。

睡眠障害は、東洋医学的には臓腑(ぞうふ)に心腎肝胃の問題として考えられることが多く、それらの過不足を調整することになります。また、連続的な夜更かし、アルコールの多量摂取、精神的ストレスの蓄積、これらは睡眠の質を悪化させる大きな要因です。そこで、日常的な養生によって良い睡眠を得ることは脳の健康だけでなく万病の予防につながることになります。

百会:頭頂部、左右耳介の尖端を結ぶ線と正中線の交点から少し後方の陥凹。
天柱:後頭部の筋肉(僧帽筋)と骨の接合部外側、押して痛む所。
完骨:耳介の後方、頭骨乳様突起の下端より約1横指後方の凹み。
太陽:眉の外端と目尻の中間から、約1横指後方の陥凹部。
巨厥:胸骨下端の下2横指。中脘の上2横指。
中脘:臍と胸骨下端との中間。臍の直上4横指。
内関:前腕部前面、腕関節の横紋中央から肘方向へ3横指。
太谿:足内踝の最高部の後縁から約半横指。動脈の拍動部。
陽陵泉:下腿の外側、腓骨頭の前下際。


印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

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