めまい(乗り物酔い)の改善

ドクター印藤の「ここがツボ」

第46回 めまい(乗り物酔い)の改善

気候の変化が激しくなる季節の変わり目に、めまいや耳鳴り、片頭痛などの愁訴(しゅうそ)の声がよく聞かれます。これらは、平衡をつかさどる内耳前庭器の異常によるものです。平衡感覚は視覚、皮膚感覚と並んで重要なもので、魚類を始め全脊椎動物にあります。もしこの感覚が機能しなくなると、立つことも座ることもできなくなってしまいます。

前庭器官は、三半規管及び卵形嚢(らんけいのう)と球形嚢(きゅうけいのう)という耳石器官からなります。3つの半規管は、互いに垂直な方向に位置し、中にリンパ液を満たしています。その中には微小な毛の生えた有毛細胞があり、体が回転するとリンパの動きによって刺激を受けて方向を感知します。卵形嚢と球形嚢内部には耳石と有毛細胞があり、頭の傾きによって石の移動を起こします。その圧刺激によって、上下と前後方向の動きを知覚します。

ただし、上記の働きは必ずしも正確ではないため、視覚や筋肉関節からの知覚情報を小脳で総合し姿勢制御をすることになります。これは、目を閉じてしまうとふらつくことからも分かります。

これが何らかの原因で、内部に満ちているリンパ液の過剰状態になると、有毛細胞に異常な刺激が感知されます。その異常信号が中枢で制御しきれない状態になったのを、「めまい」として感じるのです。メニエール病はめまいの代表的な例であり、乗り物酔いもこの範疇(はんちゅう)に属します。

東洋医学では古来よりめまいの症状は、「目眩」「眩暈」「頭眩」「風眩」などと言われ、風寒暑湿気の気候変動、痰(たん)(水気)や気の虚脱、また肝胆の臓腑の内的変調によって起こるものと考えられてきました。

従って、セルフ・ケアのポイントとしては、気候変動の影響を避けつつ内的調整を図っていくことになります。そのためには、まず外からの邪気の影響を受けないよう体調に気をつけ、冷飲食などを避けて胃の気を助け、水と気の循環を促します。症状の強い場合は、強刺激で頓挫させるようにします。

どのような病も、常に自己という存在に関わってきます。自分の心は内外に揺れ動くあいまいなものですが、身を治めそれを制御することもまた必要な治療過程なのです。

百会:頭頂部、左右の耳介先端を結ぶ線と正中線の交点よりやや後方の陥凹部。
顖会(しんえ):前頭部正中、前髪際の後方約2横指の陥凹部。
風池:後頚部、僧帽筋起始部(天柱)の外方約1横指の陥凹部。
完骨:耳介の後方、頭骨乳様突起の下端より約1横指後方の陥凹部
聴宮:耳前部、耳珠の中央の前。口を開けると陥凹する所。
晴明:鼻根の側方、内眥の内方約2ミリの窪み。
内関:前腕部前面。腕関節横紋の中央から肘方向へ3横指。
豊隆:下腿部前面の中央、外踝の上方約8横指。長指伸筋の外側。
中脘:臍と胸骨下端との中間。臍の直上4横指。


印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

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