急性・慢性扁桃炎

ドクター印藤の「ここがツボ」

第47回 急性・慢性扁桃(へんとう)炎

人類を含め生物は、常に環境の変化に対応しつつ生命を維持しています。環境は、体の外側にある気温や湿度など物理的なものの他に、皮膚表面や腸内の微生物(細菌・酵母)との共存関係も、免疫的な重要性を持つマイクロ環境として近年注目されてきています。例えばメタボリック症候群と呼ばれる内臓肥満は、高血圧と糖尿病の高確率予備軍であり、その原因は腸内細菌と肥満細胞による慢性炎症からの免疫異常状態と考えられています。

免疫異常による病気は、先進諸国において年々増加傾向にあります。しかし、元々は外部からの有害微生物の侵入を防ぐ仕組みとして、液性(グロブリン)と細胞性(リンパ球)のシステムを発達させてきたわけです。近年、居住環境の整備と共に極端と言えるような清潔志向によって、行き場の無くなった免疫系の暴走が起るようになってきたのです。

扁桃は、のどを取り囲むように位置しているリンパ組織群を指し、口蓋(こうがい)扁桃の他、咽頭(いんこう)、舌根(ぜっこん)、耳管(じかん)など細菌ウイルスの侵入しそうな管構造の付近にあります。新生児のころは小さかった扁桃も、抵抗力の付く4~8歳ごろに大きく成長し、その反応によって度々発熱するようになります。ただ、一般的には成長するにつれて、その炎症は沈静化します。

この発熱原因の多くは、溶血性連鎖球菌や黄色ブドウ球菌、EBウイルスなど体内に常在する微生物であり、免疫系の反復学習によって次第におとなしくなります。しかし、幼少時から皮膚の洗浄消毒を過度に行ったり、冷凍加工食品など無菌化された食事を食べて過ごしたりするなどして、免疫系を学習させる機会の欠落したまま大人になるケースも増えています。このような場合、微生物に過度な反応を起こしやすく、慢性炎症から慢性扁桃炎、そして腎炎を起こすこともまれではありません。

一般的な養生として、獣肉や加工食品を減らし生鮮食物繊維を取り、界面活性剤で皮膚洗浄するのを止めるだけで免疫的効果の出る場合もあります。病の原因は外部ばかりではなく自分の内にもあり、むしろその方が根本的なのだと言えます。

合谷:親指と人差し指を開いて、骨の接合部前面。押すとよく響く所。
曲池:ひじを深く曲げて出来た皺の端をさぐると骨に触れ、押すと響く所。
列缺:前腕前面、腕関節の横紋から1.5横指。動脈外側の凹みを押すと響く所。
尺沢:肘関節前面、肘の横紋上を強圧すると痛む所。
翳風:耳垂と後頭骨の乳様突起との間。口を開けると大きく凹み響く所。
天容:側頸部、下顎骨の角よりすぐ後方。胸鎖乳突筋の前縁。
扶突:側頸部、喉頭隆起(喉仏)の外方へ3横指。押して痛みを感じる所。
風池:後頚部、後頭骨乳様突起の下方、髪際部の陥凹。


印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

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