摂食障害(拒食と過食)

ドクター印藤の「ここがツボ」

第48回 摂食障害(拒食と過食)

食欲は、睡眠と並んで人間の生存に欠かせない基本的欲求です。人を含め哺乳類などの恒温動物は、恒常性維持のため1日に摂取するカロリーの80パーセント以上を消費しています。蛇やカエルなどの変温動物と異なり、1年を通して一定の体温を維持出来、代謝を効率良くすることで高度な学習や抽象思考の発達を可能にしてきました。

しかし、先進諸国では30~50年程前から、神経症由来と推定される食欲異常が報告されるようになりました。現在は「摂食障害」と呼ばれ、食に関する行動に問題が生じることを総称し、おおむね①神経性痩せ症、②神経性過食症、③その他非定型症の3つに分けられます。

摂食障害は、身体と心理面両方に問題が出てくることを特徴としています。①は「拒食症」とも呼ばれていました。体形や体重の感じ方に異常が見られ、明らかに痩せていても更に痩せようと食事を制限し、その反動で過食になり嘔吐の繰り返しや下剤の頻用で低栄養状態に陥ります。全身の倦怠感や筋力低下、無月経、下肢のむくみ、皮膚の乾燥などの身体症状の他、集中力の低下や抑うつ、不安感など心理的ストレスも抱えるようになります。

②は「無茶食い」を特徴とし、大量の食べ物を一気に詰め込むように食べてしまい、意志の力ではほとんどコントロール出来ない場合を言います。このような行動を週1回以上続けるようになり、嘔吐を繰り返したり下剤を頻用し、また過食に罪悪感を伴います。痩せ·過食症とも半数は治癒し、約3割は改善可能です。しかし、長期間慢性の経過をたどる割合も約2割あり、これらの人びとに対する心身両面でのケアの必要性は増大しています。

東洋医学的には、肝心脾肺の四臓への情の過多によって気の偏りと不足を生じ、胃腸に影響を及ぼすと考えられるため、全身的な調整を主眼とします。胃腸症状には弱刺激で腹背部に押圧(おうあつ)します。

文明は体の外部に価値を置き、人生の目的としてきました。しかし本来、心は外の物とは無関係であり、仮に関係があるようにしているにすぎません。自己の内面を静かに観察し、安定させることによって心身両面のバランスを取ることが出来るのです。

百会:頭頂部、左右の耳介先端を結ぶ線と正中線の交点よりやや後方の陥凹部。
太陽:眉の外端と目尻の中間から、約1横指後方の陥凹部。
風池:後頚部、後頭骨乳様突起の下方、髪際部の陥凹。
膏肓:肩甲骨内側、骨際の中央付近。
巨闕:胸骨下端の下2横指。中脘の上方2横指。
中脘:へそと胸骨下端との中間。臍の直上4横指。
天枢:へその左右3横指。
内関:前腕部前面。腕関節横紋の中央から肘方向へ3横指。
足三里:ひざを立て、脛骨の前面外側を指で押し上げて止まる所。強圧すれば響く。
三陰交:内うちくるぶし踝の上際から3横指上方。脛骨の後際。


印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

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