中耳炎

ドクター印藤の「ここがツボ」

第51回 中耳炎

地球上の生物は、動植物含め総数約870万種程度と推定されています。人間はその中で脊椎動物門という分類です。このグループは6万以上の種によって構成され、魚類から始まる最も地球上で繁栄している動物群の1つです。これは魚も人間も脊椎骨という共通の体構造を持っており、表現を替えれば魚類は人類の遠い祖先形とも言えるのです。

そのため、背骨だけでなく頭蓋骨の微細な構造にも、祖先からの何億年にわたる歴史的な発展を見ることができます。人を含め哺乳類は、大脳と中枢神経系の保護のため、頭蓋を大きく膨らませた骨構造を持つようになりました。聴覚も陸上生活を営む動物にとって重要視されない時代を経て、また大きく発達をするようになったと考えられています。それは両生類と爬虫類の耳構造は魚類と大差ないのに比べ、哺乳類のそれは大きく異なり複雑さを増すからです。お互いに鳴き声や足音で、仲間の存在を確かめ、敵の位置を早く察知するなどの情報伝達の手段を確立していったのも、このころからと推定されています。

言語もこのような聴覚と発声信号の長い歴史によって、複雑なコミュニケーションを作り出すことが可能になりました。しかし多様な機能を狭い空間の中で可能にするには、構造の複雑化を避けることなしには達成できなかったのです。

中耳炎は、本来閉じている耳管から細菌の侵入によって起きる病気です。6歳までに60~70パーセントは罹(かか)る代表的なものなのですが、近年は大人でも消炎鎮痛剤や抗生物質の乱用で慢性中耳炎になるケースは増えてきているようです。急性の場合、痛みや発熱の症状を伴いますが、慢性になると痛みはほとんどなく難聴や耳漏を訴えるのみになるため、治しにくくなります。

痛みや発熱のある場合は安静にし、洗髪や入浴は控えます。また、鼻を強くかんだり、鼻水をすする行為は炎症を悪化させる可能性もあるので避けるようにします。東洋医学的に耳は腎臓に配当され、寒気や体の冷えによって水気の停滞を起こすことで中耳炎になると考えられるため、冷飲食を避け体を暖めるように努めます。

客主人:側頭部、頬骨弓の中央上際。側頭筋の前際で押すと痛む所。
耳門:耳珠の前、口を開けると少し凹み拍動の触れる所。
聴会:耳珠の前下方、下顎骨の後際。口を開けると凹み押すと痛む所。
翳風:耳垂と頭骨乳様突起との間。口を開けると稍凹み押すと痛む。
風池:後頚部、後頭部筋肉(僧帽筋)の外方1横指。
合谷:親指と人差し指を開き、骨の接合部前面を押すと良く響く所。
腎兪:伏臥位、肋骨下端の線と腰椎(第2,3)の交点より約2横指外方。
肩井:鎖骨中央部の凹み(缺盆)より直上し肩上部を押して固く響く所。


印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

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