上腹部の痛み

 

第26回 上腹部の痛み

21世紀は、脳の世紀と言われています。一方で心の時代、意識の時代とも称されます。両者には、どのような関係性を見いだせるのでしょうか。実は、最新の話題のように見えても、文明発祥以来続いてきている哲学的な問題でもあるのです。

心(シン)という漢字は、心臓を象ったものです。感情の揺れや思考の変化によって、拍動の強弱の起こることを古代の人は観察し、心臓に情動の元があると想像したのです。また、西欧社会でも心臓は聖なる臓器と考えられていました。例えば「Heart」という英単語の和訳は「心臓」ですが、同時に「心」「感情」「胸の内」など、感情や意識の働きを指す意味合いもあることから分かります。医療でも、長らく心臓は特別な臓器として扱われ、本格的に手術するようになったのは、20世紀も半ばになってからでした。

現代医学的知見の増加に従って、心臓はただの臓器になり、代わりに意識の中心として脳が注目されるようになりました。数多くの研究によって、脳細胞の活動が精神活動そのものである、という総意が取れつつあります。今では、脳が意識の中心であることを疑う人は、あまりいないでしょう。特に精神医学の分野は、それを理論基盤としており、脳細胞と神経系の異常が精神疾患であるという考え方をします。

ただ、少し難しい話になりますが、意識や心という実体は存在しません。実際は脳細胞の活動を機械で計測し、病的反応と一致する部分があれば、そこが意識の役割をする細胞集団であろう、という仮説なのです。現在でも、日常意識を精密解析するのはかなり困難であり、まだ心とは脳である、とは言い切れないのです。

東洋では、歴史的に心的機能主導による心身相関論の立場でした。気=心的エネルギーとしてとらえることによって、各々の臓器、細胞の1つ1つに心を見ることのできる世界であるとも言えます。みぞおち付近の痛みは、日常でありふれたものです。しかしそれは、さまざまな病気に発展する可能性もある症状なのです。病を小さな芽のうちに摘み取っていき、心身をセルフ・ケアして行くこと、それこそが「未病治」にほかならないのです。

中脘:臍の直上4横指。胸骨下端と臍の中間
肝兪:正座または伏臥し、肩甲骨の下端より約4横指下方。脊椎中央より1.5横指外方
脾兪:肝兪穴の約1横指下方
中封:足関節の前方内側。関節を上方に曲げ内踝側にできる陥凹
上巨虚:膝を立て、膝蓋骨の下縁より脛骨の外側に沿って5横指下方
地機:膝を曲げ、大腿骨と脛骨の関節面より5横指下方。脛骨後縁の響く所

印藤裕雄(いんどうひろお)
1991年北里研究所付属東洋医学総合研究所および間中病院東洋医学科を経て開業。2004-08年メルボルンの国立モナシュ大学日本研究センター客員研究員(伝統医療の研究および技術指導)。森ノ宮医療大学講師(東洋医学)。09年茨城県土浦市に、新しい時代ニーズに合った総合的東洋医療を目指し、東洋医療センターを開業。11年から東京での診療活動も開始。日本統合医療学会評議員、全日本鍼灸学会会員など。著書『癒しの芸術と科学‐身体・心・魂の調和』三恵社、『潜在能力の科学』など。コラム・診療についての質問は、facebook:hiroo.indo@facebook.comまたはwww.facebook.com/CentreForEasternMedicineJapanまで。

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