第4回:書き言葉

Let's Learn Japanese

Let’s Learn Japanese
土曜校カリスマ先生の
日本語のツボ教えます

実際の教育現場から、日本語を学ぶコツを伝授

第4回:書き言葉


私の補習校に限った話ですが、期待する学習成果として「読み・書き能力の維持・向上」という要望を保護者の方から毎年数多くいただきます。書き言葉の習得がいかに難しいかがこのことからもお分かりいただけるでしょう。
話し言葉の習得段階として「聞く」→「話す」という順序があるように、書き言葉には「読む」→「書く」という順序があります。読書などによる語彙や文章表現のインプットがあってこそ、豊かな文章表現力が養えるわけです。
が、この読書。なかなかそう簡単にはいきません。「日本語の本を家に用意してあるのに子どもが読んでくれない」と嘆かれる保護者の声もよく耳にします。しかし、保護者のアクションがなくては、子どもは日本語の本に手を伸ばしてくれません。まずは1対1で、本の最初の部分を読んで聞かせでみましょう。子どもが「その後は ? 」「続きを読んで」と言い出したら大成功。「続きは自分で読んでごらん」と自立を促しましょう。
補習校では教材文の通読を宿題として課すことがありますが、子どもが通学年齢である間はマンツーマンで音読のお付き合いをお願いしたいですね。小学校高学年ともなると、「1人でもできるだろう」「子どもが恥ずかしがるから」という理由でこの作業を諦めてしまう保護者の方がいらっしゃいますが、どうかご辛抱ください。教材文には話し言葉では使われない語彙や表現が出てきますが、これらの意味を正確に理解できる子どもは決して多くありません。 学年が上がるにつれ、提出される語彙も難解なものが多くなります。漢字の読みがなをふることに異存はありませんが、読みに集中するがあまり、肝心の意味を理解していないということがよくあります。子どもに文章を読ませ、「この言葉の意味を知ってるかな ? 」と思ったら、意味を理解しているかを確認しましょう。ついでに反対の意味の言葉、似たような意味の言葉に触れると語彙力の増強にもなりますよ。
「漫画はどうですか ? 」。よく聞かれる質問ですが、答えは「消極的にOK」です。漫画はその名が示す通り、絵が主体で文字は補助的な役割を果たしているにすぎません。ですから、文字を読んで内容を理解するという効果はさほど期待できませんし、表現のほとんどが会話調なので、書き言葉独特の表現もあまり吸収できません。また、日本の漫画には過激な描写や表現が見られるので要注意です。しかし、 最近は歴史を扱った漫画や短歌・俳句を盛り込んだ漫画も出回っており、これが一部の生徒たちには日本語や日本の歴史の学習の良い動機付けとなっているようです。
そして、最後に「書く」能力。これを伸ばすにはやはり実際に書いてみる以外方法がありません。しかし、日常生活の中では、日本語で長い文章を書く機会がほとんどないというのが実状です。補習校では、読んだ本の中の気に入った表現をノートに書き留めるといった作業をさせることもありますが、 一貫性という意味ではやはり日記がベストですね。1日3〜4行の日記からスタートさせるといいでしょう。そして、書き上げたものは必ず子どもに読み返させてください。読み返しは誤字脱字などのミスを見つけるだけでなく、単調な表現の繰り返しを別の表現に変えるなど、より豊かな表現力を養う大切な作業でもあるのです。こうして毎日日記をつけることで、徐々に詳しい描写や長い文章も書けるようになっていきます。まさに「継続は力なり」ですね。


阿部圭志(あべ けいし)
プロフィル◎1997年よりシドニーで日本語教育に従事。カトリック系小学校、ニュー・サウス・ウェールズ大学、日本語たんけんセンター、インターナショナル・グラマースクールを経て、現在バンクスタウン・グラマースクール教職員。同年よりシドニー日本語土曜学校教職員を務める。

 

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