難病の子どもたちとその家族の笑顔を増やしたい 〜ゾイの天使たちZoe’s Angels 〜


難病の子どもたちとその家族の笑顔を増やしたい
〜ゾイの天使たちZoe’s Angels 〜

オーストラリアで若年性の関節炎(小児リウマチ)という難病と闘う子どもと家族をサポートする「ゾイの天使たち(Zoe’s Angels)」。ブリスベンを中心に活動を続ける、難病を抱えるゾイ・ビラードちゃんの祖父母、アラン&ダイアン・スミスさん、そして支援者の1人である清水英樹弁護士は、子どもたちに少しでも笑顔が戻る機会を増やしてあげたいと語る。 取材・文・写真=ランス陽子


「全身型若年性突発性関節炎(Systemic Juvenile Idiopathic Arthritis、以下SJIA)」という病気を患う、現在6歳のゾイ・ビラードちゃん。この病気は、日本では小児リウマチという名前でも知られ、難病に指定されている。ゾイちゃんは幼い頃から診断方法も根本的な治療法もまだ確立されていないこの病気にかかり、これまでに数々の困難を乗り越えてきた。そんなゾイちゃんと同じような病気で苦しむオーストラリアの子どもと家族たちに少しでも手を差し伸べたい、この難病についてもっと多くの人に知ってもらいたいと設立されたのが「ゾイの天使たち」だ。

ゾイちゃんが難病と診断されるまで

オーストラリア人のナタリー・ビラードさんの末っ子、ゾイちゃんが生まれたのは2009年5月。生まれたばかりのゾイちゃんはなかなか体重が増えず風邪ばかり引いていたが、目がぱっちりと大きな普通の愛らしい赤ちゃんだった。

そんなゾイちゃんが1歳を過ぎたある日、38〜41度の高熱を出した。ナタリーさんが医者に連れていくと、ウイルス性の風邪だろうと診断される。だが解熱薬を飲んでも薬は一向に効いている様子はなかった。それどころか、おかしなことに高熱は突然下がったり、上がったりを繰り返す。よちよち歩きを始めていたゾイちゃんがとうとう歩けなくなり、寝返りさえも打てず食欲もなくなってきたため、ナタリーさんは何かがおかしいとゾイちゃんを別の小児科医へ連れて行く。ゾイちゃんは、もうすでに足をまっすぐ伸ばすことさえできなくなっていた。

検査が必要だと診断され、入院となったゾイちゃん。ガンや川崎病などの病気ではないことを消去法で確認しながら、原因を探る日々が始まった。ゾイちゃんは、眠りについてからも痛みを我慢できず、夜中に8回ほども起きてしまう。ナタリーさんがその度にゾイちゃんの体重がかかる場所をずらして痛みを和らげる毎日。ようやく「全身型若年性特発性関節炎」の病名が付いて本格的な治療が始まったのは、ゾイちゃんが高熱を出してからすでに5カ月も経った頃だった。だが、この病気の根本的な治療法はまだ確立されていない。

ゾイちゃんは現在、お父さんのウィリー・ビラードさんの仕事の都合でフランスに移住している。オーストラリアではまだ許可されていないフランスの試験薬のおかげで、現在は普通の子どもたちと同じように歩き、走り、木登りをしたり、学校に通うまでに回復した。それでも病気の影響から目や心臓などにも疾患を抱え、免疫が低下しているためちょっとした風邪や風疹などの伝染病でも死に至る可能性が高い重篤な症状を引き起こしてしまう。

昨年来豪し、チャリティー・ディナーに参加したゾイちゃん
昨年来豪し、チャリティー・ディナーに参加したゾイちゃん

難病の子どもたちの笑顔を増やすために

「ゾイの天使たち」は、2011年に設立されてからゾイちゃんをマスコット・キャラクターとしているものの、ゾイちゃん自身への基金ではなく、同じような病気を患うオーストラリアの子どもたちへの支援を続けている団体だ。オーストラリア、ブリスベンで実際に基金の運営に携わっているゾイちゃんの祖父母、アランさんとダイアンさんの2人は「珍しい難病を患う子どもを持つ家族同士が知り合いになり、病気について情報交換をしたり、慰め合ったりする場所を提供したい。そして、少しでも日々の辛さを忘れて、笑顔になれる機会を作ってあげたいのです」と語る。「白血病やガンなどの患者数が多い病気は、既にサポート体制が整っています。でもこの難病には、私たちがこの団体を設立するまで支援する組織がオーストラリアにはまだ存在していませんでした。私たちは、ゾイの患っているSJIAの他にも、若年性特発性関節炎(JIA)、全身性エリテマトーデス(Lupus)などを患う子どもたちも支援をしています」。

ゾイちゃんのことを話すと、つい涙が浮かんできてしまうというダイアンさん(左)とアランさん
ゾイちゃんのことを話すと、つい涙が浮かんできてしまうというダイアンさん(左)とアランさん

「ゾイの天使たち」は、難病の子どもたちを連れて行くキャンプや、テーマ・パークへの招待、奨学金の授与などを積極的に行っている。また、この病気への知識を地域社会に広めるため、大人から子どもまで一般の人々が気軽に参加できる「ファン・ダイブ・デー」と呼ばれる高飛び込みの催しや、到着地は秘密というミステリー・ピクニック、マラソンなどのチャリティーも開催している。

「昨年私たちの基金から奨学金を授与された少年は、そのお金を利用して楽な姿勢で学校の授業を受けられるような椅子と足置きを購入しました。また、テーマ・パークへ招待するイベントでは、難病の子どもだけではなく兄弟姉妹たちも含めた家族全員を招待してたいへん喜ばれました。重篤な病気を持つ子どもがいる家庭では、その兄弟姉妹たちも日頃から親と一緒に病院へ付き添ったり、ストレスの多い日々を送っています。この難病で苦しんでいる子どもはもちろん、家族みんなに少しでも笑顔が戻る瞬間をできるだけ多く持ってほしいと思います」。

日本人にも広がる支援の輪

「難病に苦しむ子どもと家族たちを点と点でつないで、“あなただけじゃないよ”と言ってあげたい」と清水英樹弁護士
「難病に苦しむ子どもと家族たちを点と点でつないで、“あなただけじゃないよ”と言ってあげたい」と清水英樹弁護士

オーストラリアに住む日本人の中にも、この「ゾイの天使たち」の支援の輪が広がってきている。ブリスベンの弁護士事務所、清水国際法律事務所の清水英樹弁護士もその1人だ。「私も、双子の子どもたちが未熟児で生まれた際に、病院へ数カ月通った経験があります。私の経験は難病の子どもを抱える親御さんたちには遠く及びませんが、病気の子どもを抱える親の気持ちというものが少し理解できるので、何か手助けできればうれしいです」。清水弁護士は、「ゾイの天使たち」のためにチャリティー・ディナーを主催したり、奨学金への寄付なども行っている。「初めてゾイちゃんの話を聞いたときには“こんなに小さな子どもでもリウマチや関節炎になるの?”と驚きました」。

清水弁護士は、1人でも多くの人にチャリティー・イベントに参加してほしいと語る。「ぜひ、楽しく気軽に『ゾイの天使たち』のイベントに参加していただければと思っています。自分も楽しみながら一緒に参加することで、病気の子どもたちも楽しく幸せにできるような活動に貢献することができるのです。そして、目に見えないために理解されにくいこの難病について、これからももっと多くの人に知っていただきたいと思っています」。

「ゾイの天使たち」による次回のイベントは3月12日4:30PMから、カパラバ・リジョナル・パークでの「トワイライト・ファン・ラン&ウォーク」。ぜひ気軽に参加してみよう!(2.5キロ$15~)


ゾイの天使たち Zoe’s Angels

【問い合わせ】
▼Tel: 0411-121-198 ▼Email: zoesangels@ozemail.com.au ▼Web: zoesangels.org ▼Facebook:「Zoe’s Angels」で検索

【寄付金の振り込み先】
コモンウェルス銀行(Commonwealth Bank)▼BSB: 064-000 ▼Account No: 14253271 ▼Account Name: Zoe’s Angels Inc

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る