オーストラリア産“WAGYU”がますます人気

 

▶ 豪州の食とその安全 オーストラリアの「牛肉」に迫る

(2014年3月更新!)

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ますます人気の高まりを見せる

オーストラリア産“WAGYU”

但馬牛の血統を豪に伝えるGMGP社

オーストラリア産和牛*“WAGYU”の人気が近年ますます高まりを見せている。脂身が少なく赤身の多いヘルシーなオージー・ビーフも魅力的だが、柔らかな肉にきれいなさしが入った丸みのある味わいは和牛だからこそ味わえる特別なもの。だが、例え“WAGYU”の名を冠してはいても、その質は実はピンキリなのだという。そんな中、伝統と歴史ある兵庫県の但馬牛の血統を持つ質の高い“WAGYU”を手ごろな値段で提供する和牛の加工・卸し業者が注目を集めている。シドニー・サバーブのオーバーンに本社を持つGMGP社を訪ねた。

和牛を安く提供することへの挑戦

「和牛の本当の価値をもっと知ってもらいたい」と語るダニエル・キムCEO

「2006年創業時から消費者の声に真摯に耳を傾けてここまでやってきた」

GMG P 社C E Oダニエル・キムさんは熱っぽくそう語る。「和牛」と聞くと高い品質が保障されたプレミアム感の高い牛肉というイメージを抱くのは何も日本人だけではない。ここ豪州でも“WAGYU”は高級な肉というイメージが浸透しており、その値段はやはり相応に高い。牛肉を扱う豪州のサプライヤーにとって、和牛は値段が高くても売れる「おいしい」商材だ。もちろん、和牛としての品質を維持するには豪州の在来種であるアンガス種などとは違った育て方をする必要があり、余分なコストがかかるのも確かだが、必要以上に値段が高く設定されている面も少なからずあるのではないか。キムさんはそう考えたという。

「“WAGYU”だから値段が高いというのは間違いで、高品質の肉でも値段を抑えることは可能だと思いました。 消費者はそういう商品を見たことがないからそのことを知らないのです。たから、私はまず自分がそれを実現しようと考えました。消費者が本当に欲しいもの、必要だと思うもの、それらの情報をフォローし続け、創業から6年。今では、彼らのリクエストにマッチした“WAGYU”を市場価格よりもはるかに安い値段で提供できている自信があります」

GMGP社では、QLD州に但馬牛の血統をルーツに持つ正真正銘の高品質和牛を育てる専用の牧場を保有し、さらに肉のカッティング、スライス、トリミングまですべてを自社で行うことでコストを大幅にカット。現在、市場価格よりも10〜15%ほど安く“WAGYU”を提供することに成功している。

 

現在全国に4カ所のリテール・ショップを展開中。近くオープン予定のチャッツウッド店と合わせてシドニーには2カ所の店舗(もう1店はリンウッド)

豪州産和牛とは何なのか

美しい霜降り肉が特長の和牛だが、そもそも和牛の定義とは何だろうか。そう問われ、答えに窮する人も意外に多いのではないか。「和牛」という名から日本で育つ牛全般と漠然と考える人もいるかもしれないが、それは誤りだ。和牛とは牛の品種の1つであり、豪州在来の牛とは品種はもちろん育つ環境も全く異なる(豪州産の牛は牧草を食べて育つが和牛は穀物で育てられるなど、明らかな違いがある)。

和牛の豪州への流入の経緯には諸説あるが、一説によるとメスの最初の遺伝子がオーストラリアに到着したのは1990年と言われている。追って冷凍の精子と胎芽が1991年から利用できるようになり、さらに翌年92年から93年にかけて、生きた純血種がアメリカ経由で輸入されたことで徐々に定着していったそうだ。両国間に協定などがなかったこともあり、必要となった人的・時間的コストはかなりのものだったことは想像に難くない。先人たちが「豪州に和牛を」と夢を追いかけ、尽力した結果、今があることを忘れてはならない。

だが、先にも書いた通り、“WAGYU”と名を冠してはいても、その育て方は難しく、また豪州の種との勾配の結果としてできる肉質は千差万別というのが現状だ。

豪州でも家庭で高級和牛を楽しめる時代がそこまで来ている

GMGP社の牧場では最高品質の遺伝子組み換えをしていない穀物を食べさせ、ケミカルなものは徹底的に排除。厳しいレギュレーションを自らに課すことで、牛の健康管理を徹底的に行い、但馬牛由来の最高級の品質を保っているという。同社では、現在国内4カ所にリテール・ショップを保持しており、そこでは冷凍ではない鮮度の高い“WAGYU”を購入できるという。

キムさんは最後にこう締めくくった。「オーストラリアでも家庭で最高級の和牛を手軽に食べられる時代が目の前まで来ています」

GMGP社が良き先例となることで、今後豪州の和牛事情はさらにわれわれにとって快適なものとなるかもしれない。

 

※農林水産省は海外で飼育された牛を正式な「和牛」として呼ぶことを認めていないが、当記事では便宜的に「和牛」と表現していることを注記しておく

 

 

 

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