【新年恒例企画】回顧と展望2017/日豪ビジネス(平野修一)

新年恒例企画 回顧と展望2017
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日本貿易振興機構(ジェトロ)
シドニー事務所長
平野修一
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日豪ビジネス

日本貿易振興機構(ジェトロ)シドニー事務所長 平野修一

日本貿易振興機構(ジェトロ)
シドニー事務所長

平野修一

プロフィル◎2014年6月から現職。直前はジェトロ本部(東京)で海外調査部調査企画課長として同部を取りまとめ。豪州勤務は2度目で2001〜2006年3月までメルボルンで調査業務などに従事。海外勤務は今回で3カ所目。愛知県名古屋市出身。

日豪間のビジネスは新たな段階へ

2016年は、日本・オーストラリア間のビジネス関係が加速した年と言えます。14年に両国首脳のシャトル外交が始まり、15年1月には日豪EPAが発効するなど、近年両国間ビジネスの機運は盛り上がりを見せてきました。このようにビジネス環境の整備が進む中、実際ここ3~4年間、特にサービス分野において日本企業によるオーストラリアへの活発な直接投資が続いています。オーストラリア統計局(ABS)によれば、日本からの直接投資額(残高ベース)は、トップの米国に次ぐ第2位に上昇しました(15年末時点)。16年に入っても、サービス分野を中心とした投資は継続しており、同分野における投資先の業種は多岐にわたっています。16年は、とりわけ金融サービス分野への積極的な展開が見られ、例えば日本生命保険による金融大手ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)傘下の生命保険子会社MLC買収が完了した大型M&A案件の他、ソニー生命保険による生命保険会社クリアビュー・ウエルスへの出資、楽天証券によるFXアジアの買収など、相次いでいます。

一方、豪州企業による日本への進出状況も、統計上では大きな金額が現れていないものの、サービス産業、中でも豪州各地から各種フード・チェーン店や有名レストラン等の進出が目立っています。例えば、シドニーのモダン・ギリシャ・レストラン「The Apollo(アポロ)」も16年3月に銀座にオープンしました。

また、西オーストラリア州ベースのドライブ・スルー型コーヒー店、マズバズは15年3月に埼玉県越谷市に1号店を出し、12月には鳥取県にドライブ・スルーの1号店をオープン、16年3月には大阪府貝塚市に国内初のフランチャイズをオープンするなど、各地域の活性化を目指した新たなビジネスを展開するとしています。外食サービスの分野では首都圏だけでなく、今までにあまり見られなかった地方に進出しているケースもあることが特徴と言えます。

このようにビジネス交流の活発化に伴い、年々日豪双方での旅行者数は増加基調を示しており、人の交流も増える傾向にあります。16年の直近の統計を見ても、日本からの訪豪客数は前年同期比25.6%増の26万4,600人(1~8月累計)、一方、豪州からの訪日客数は同21.3%増の36万600人(1~10月累計)と高い伸び率が続いています。更に、カンタス航空が08年に撤退したメルボルン・日本(成田)間の直行便を16年12月に復活させるのは、こうした日豪間ビジネスの需要拡大などを受けたものであり、今後も両国間ビジネスを更に後押しするものと確信しています。

近年の日本企業によるオーストラリアへの投資案件の中には、オーストラリア企業が有する技術面での強みなどを活用して、両社の相乗効果で新たなビジネス創出の潜在性が高いものが目立ち始めています。例えば、帝人はメルボルンの食品ベンチャー、ヘルシー・グレイン(The Healthy Grain Pty Limited)と機能性食品の共同開発を強化、帝人はスーパー大麦「バーリーマックス」を使用した製品の試験販売を16年7月から日本で開始、「Yahoo! 検索大賞2016」にて食品部門賞を受賞するなど注目を浴びています。一方、富士フィルムは9月に再生医療ベンチャーのサイナータ・セラピューティクス(Cynata The rapeutics Limited)へ出資し、同社が有するiPS細胞に関する技術・ノウハウを取り込み、自社の再生医療製品の研究開発を推進するとしています。日豪間では、先進国として共通の課題があり、そうした課題を克服するための、相互補完できる技術を有する分野が他にも存在していると思います。

ターンブル首相が15年12月に訪日した際、安倍首相とターンブル首相は日豪イノベーション連携の推進に合意しています。長年、両国間においてエネルギー・資源から他の分野に関係を広げようといわれ続けていますが、今後も上記のようなイノベーション連携がより一層活発化することによって、17年はその可能性の大きさが浮き彫りとなる年になると考えられます。両国間のビジネス交流は新たな段階に入りつつある、と言っても過言ではないでしょう。

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