人生の使命

福島先生の人生日々勉強
人生の使命

人は人であるが故にいろいろな苦しみに遭います。最たるものは「心」かもしれません。ころころと姿を変え、あるのかないのか、分からないと言っても良いほどの、いわゆる実体概念ではない「心」。朗らかなところで安定していてくれれば良いのですが、全くそうはいきません。学校や会社で嫌がらせを受ければ傷つきますし、転校や転勤、結婚や出産で環境が変わって沈み込むなど、何らかの形で「心」が関わっています。

この「心」、赤ちゃんだった頃には、ぼんやり、ぽわーっとしたものでしかなく、まだ「感覚」としか呼べないものでした。悩みや苦しみ、悲しみなどと無縁であった赤ちゃんがこの世に生まれてくるというのは、本当にすごいことです。しかも、ただそこに選択の意志を持たずに生まれてくるという奇跡。人間は、そういう説明のつかないところから始まっているのです。ですから、私はいつも思います。私たちの「心」がどうあれ、まず「生きている」ということが先にあるのだと。

「生きる使命を見つけたい」「何のために生まれてきたかを知りたい」そういう思いを持つ人は多いでしょう。しかしそれは、そう悩むように教育されてきたからに過ぎません。「あなたには特別な使命がある」「天命を生きなければ意味がない」そう教えられて自分を追い込んでいる人が大勢います。

でも、安心してください。「こうでなければ生きる価値がない」というようなものなど、存在しません。あえて言えば、人生の使命は「生きることそのもの」です。世界を実感して、ありのままを感じながら生きることが、本当に生きているということです。使命探しに苦悩して右往左往したり、「使命」に人生を乗っ取られたりしないでください。自分の人生を生きることがおろそかになります。「使命」に縛られ、運命づけられて、その枠や思想の中にいるだけの「人形」になってしまいます。人の形をしたものが何かをなそうとした時点で、もうそれは自分の人生ではなくなっています。しかも、それが災いや不幸をもたらす思想であっても、「使命」が先行して制御不能になってしまうおそれさえあるのです。

本当の自己実現とは、「今をただ味わう」ということです。今この瞬間から湧き上がってきたものを、単純に次の行動に移していく。そうやって積み上がってきたものが、その人の人生。それが、本当に何かをなすということです。幸福はそこにしかありません。人生の意義は人それぞれでしょうけれども、死ぬまでに自分が何度笑顔になったか、人の笑顔をどれほど見たかというところで充実度が計れるような気がします。人と人とが笑い合い、助け合い、人生は愛するに足るものだと折に触れ思うこと。「生きる」とは、そういったことなのではないでしょうか。


福島先生の教育指導

教育専門家:福島 摂子
大阪府出身。30年間、教育に携わり、教育カウンセリング・海外帰国子女指導を主に手がける。1992年に来豪。シドニーに私塾『福島塾』を開き、社会に奉仕する創造的な人間を育てることを使命として、幼児から大学生までの指導を行う。2005年10月より拠点を日本へ移し、日々活動の幅を広げていく一方で、オーストラリア在住者に対する情報提供やカウンセリング指導も継続中である。

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