平常心/福島先生の人生日々勉強

福島先生の人生日々勉強

平常心

「平常心」という言葉は、何か事に当たる時、興奮したり、浮き足だったりしない落ち着いた心というような意味で使われます。大事な試合や仕事の現場で、過緊張を抑えようと、心の中で呪文のように唱える人もいるかもしれません。

元々、お茶を飲む時はお茶を飲み、ご飯を食べる時はご飯を食べることに集中することが大事であるという、心の持ちようのことを言います。つまり、日常の一挙手一投足をおろそかにせず、今この時を味わって生きよ、という教えです。

その昔、瑩山紹瑾(けいざんじょうきん)という禅師が、「平常心」について、「黒い玉が闇夜の中を飛んでいくようなものです」と言いました。想像してみてください。闇夜に黒い玉が飛んでいても目で確認することはできませんね。確かに心の中で活動しているのだけれど、見た目には何もないように見える、ということなのです。では、果たして、目に見えない玉をコントロールすることはできるのでしょうか。

当たり前のことを当たり前にしていく素直な心を大切に。うれしい時は喜び、悲しい時は泣き、頭にきた時は怒る。でも、決してそれにとらわれないように。そうやってコントロールできれば良いですが、素直でいるということはなかなか難しいものです。つい曲がったり、あらぬ方向に行ったりしそうになる心を、真っすぐに修正し続けていく心の中の働きが、「平常心」ということになろうかと思います。ところが、この働きを自在にコントロールするというのは、訓練なしではできません。日々の生活の中で、心掛けて養っていくものです。

まずは、基本的なこと。なすべき事をなすべき時にしっかりとやるということを心に留めます。自分自身が今何をしているのかを意識して生活するようにしていると、自分を客観視し、全体を俯瞰(ふかん)する力が養われていきます。悲しい時は悲しめば良いですし、愉快な時は、大いに笑えば良いのです。ただ今という時から目をそらさず、過不足のない適切な行いを心掛けるのです。この心掛けが、いつの間にか身に染みついて、意識しなくとも自然に心の中で働くようになった時、それがぶれない「平常心」というわけです。完全にできれば人生の達人ですが、実際には失敗の連続です。しかし、何事も、達人を目指して心掛け、努力するということが大事です。

「平常心」は、闇夜の黒い玉。目には見えずとも訓練して操れるようになれば確実に私たちの心を支え、大いなる力を与えてくれます。そして、人生のさまざまな起伏の中で、歩むべき道を見失わない、しなやかで強い心をもたらしてくれるのです。自分の心を繕わず、常に自分を見つめ、今を大切に生きる、素直な心を持ちたいですね。


教育専門家:福島 摂子
大阪府出身。32年間、教育に携わり、教育カウンセリング・海外帰国子女指導を主に手がける。1992年に来豪。シドニーに私塾『福島塾』を開き、社会に奉仕する創造的な人間を育てることを使命として、幼児から大学生までの指導を行う。2005年10月より拠点を日本へ移し、日々活動の幅を広げていく一方で、オーストラリア在住者に対する情報提供やカウンセリング指導も継続中である。

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