人生を味わう

福島先生の教育指導

福島先生の人生日々勉強
人生を味わう

「何をやっても失敗ばかり。私は本当に役立たず」、「自分という存在には何の価値もない」、そういう自信喪失や自己否定は良くないと言われることが多いですね。しかし私は、「自分はダメだ」と思うことは非常に自然なことであり、むしろ、貴重な気付きだと思っています。根拠のない自信によって謙虚さを失うよりも、よほど素晴らしい可能性を秘めているからです。そもそも、矛盾や不条理を無数に含む不穏な世界にいて、自信に満ちあふれているというほうが不自然な気がします。

たびたび自信を失いつつも日を送り、夜を迎え、過ぎた1日を顧みるのは良いことです。ただしそれは、細かく反省するためではなく、その日1日の自分を丸ごと「観る力」を養うためです。まるごと「観る力」は後に還元されて、夜を待たず、物事の最中にありながらも優れた視力を発揮するようになっていきます。ですから、寝る前の時間を大切にしてください。

夜にその日1日を眺め、「今日の私はこれで終わり」と完結する習慣を付けると、朝起きたときに、新しく生まれたような感覚を味わえます。ただし「完結」は、「完成」とは違います。人はどこかの時点で人生を終えますが、おそらく何かの途中です。物事を完成させたいと思いながらも、生命はある日、何かしら抱えたまま終わってしまうのです。誰もがそうなのですから、道半ばであることを当然のこととして諦め、むしろ、途中であるからこそ味わう、味わえるということを、日常の中に体現していけば良いのではないでしょうか。

どんなに恵まれた人生だったとしても、誰もが必ずこの世界から去っていかなければなりません。すべてが儚く、切ない存在です。しかし、切なく思うということは、それだけ幸せな瞬間があったということです。愛する人や動物との別れ、好きな場所や時間との別れに切なさを感じるのは、それだけ別れがたきものがあったということです。幸せも切なさも、人の持って生まれた宿命です。ですから、切なさを無理に消し去ろうとしないことです。受け止めて、諦めて、進むことで、幸せだった時間も同じくきちんと受け取りましょう。

いつかは自分にも、この世界のすべてと別れる時がやってくる。そのことを知っているからこそ、今の幸せも切なさも深く味わうことができます。喜びも悲しみも味わい尽くせばいい。それが生きるということです。切ない思いは切ないままで良いのではないでしょうか。悲しいものは悲しい、苦しいことは苦しい。そういった思いも味わい知るからこそ、悲嘆にくれる人がいればそっとそばに行って、ただ黙って一緒にいてあげることもできるのです。


教育専門家:福島 摂子
大阪府出身。29年間、教育に携わり、教育カウンセリング・海外帰国子女指導を主に手がける。1992年に来豪。シドニーに私塾『福島塾』を開き、社会に奉仕する創造的な人間を育てることを使命として、幼児から大学生までの指導を行う。2005年10月より拠点を日本へ移し、日々活動の幅を広げていく一方で、オーストラリア在住者に対する情報提供やカウンセリング指導も継続中である。

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