第3回 ~ていく

英語にすると?

英語にすると…?
Ah, that’s how you say it !

第3回 ~ていく

前回は「~てくる」を取り上げたので、今回は「~ていく」に 焦点を当てることにする。「~てくる」同様、動詞の「て」の形に「いく」が付く表現で、基本的には「動詞」の行為を先に行 い、その後、現在、話し手のいる所から、どこかほかの所に向 かって移動する、というのがこの表現の意味である。しかし、 使い方によっては、場所の移動という空間的な意味ではなく、 ある時点から先の事柄の推移といったような、時間的な変化 を表すこともある。

1. 場所の移動
 まず、「何かをしてから、話し手のいる所から、 どこかほかの所に向かっていく」という基本的な使 い方。
例1 雨が降りそうだから、傘を持っていく。
(As it looks like it is going to rain, I’ll bring an umbrella with me.)
例2 母「何か作っておこうか」 (Shall I cook something for you?)
娘「ううん、食べていくからいい。」 (No, thanks. I’ll eat something on the way.)
例3 この書類は荷物になるから、置いていこう。
(These documents will be a nuisance to carry, so I’ll leave them here.)
 例1は、今、自分のいる場所からどこへ行くにして も、傘を持って出かける、という意味である。例2は、 久しぶりに実家に帰って来る娘に対し、お母さんが何 か料理を作っておこうかと尋ねたのに対し、娘は、余 計な気遣いをさせまいとして、実家に着く前に、途中 で食事を済ませることを告げている場面である。例3 は、ほかに持って行かなければならないものがたくさ んあるので、すぐに必要ない書類は仕事場に置いたままで出かける、という意味である。
2. 場所の移動の否定文
  上記のような場所の移動を表す否定文は、「~ない でいく」という形と「~ていかない」という2つの形を とる。
①「~ないでいく」は、時間がないなどの理由によっ て、ある行為を「しないままで」出かける結果になっ たという意味合いが強い。
例4 その会議に何も資料を読まないでいったら、いろいろ質 問されて困ってしまった。
(I didn’t read any of the documents for the meeting, and when I went along to it, I was bombarded with questions I had trouble answering.)
  会議の前、忙しくて、読むつもりだった資料に目を 通す時間がなく、そのまま会議に出たら、予想外に質 問が続出して、立ち往生したという場面であろう。
② 「~ていかない」は、意図的に「~しないで出かけ る」という状況を表すことが多い。
例5 その会議に何も読んでいかなかったら、案の定矢継ぎ早 に質問を浴びせられた。
(I didn’t bother reading any of the materials for the meeting, and just as expected they rained questions on me.)
  どうせ資料に目を通さなくても、なんとか答えられ るだろうと高をくくって会議に出たところ、ある程度 予想していた通りに、多くの質問攻めに遭い、閉口し た気持ちを表している。
3. 時間的な変化
  次に、ある時点から、ある程度の時間の経過と共 に、状態が変化する様子を表す言い方がある。今か ら何かが変化することを予測する時にも、過去、何か が変化したことを描写する時にも使われる。「~てく る」と同様、普通は、「なる」に「~いる」がくっつ いて「~なっていく」として使われる。
例6 これからだんだん寒くなっていきますね。
(It’s going to get colder from now on, isn’t it?)
例7 天候の急変で、見る見るうちに寒暖計の目盛りが下がっ ていった。
(Because of a sudden change in weather, the thermometer was going down rapidly all of a sudden.)
  例6も例7も、変化するものが、主観的に自分に影響 を与えるというよりも、客観的に自分と離れたところ で変わっていくという感じが強い。これが「~きます ね」「~下がってきた」だと、自分に関係のある事態 として感じられるという気持ちが強くなる。
 以上、前回の「~てくる」との比較対照ということ もあって「~ていく」 の言い回しを取り上げてみた。 例文を参考にしながら、少しずつ「勉強していけば (going to study little by little from now on)」、きっと どんどん「使えるようになっていく(will be able to use them rapidly)」と思う。
☆お願い☆ この日本語を「英語にすると ?」という日ごろの疑問・質問を日豪プレス編集 部(npeditor@nichigo.com.au) または筆者(Shun.Ikeda@anu.edu.au) までお寄せ ください。できるだけ読者の皆さんのご要望に応えていきたいと思っています。


池田俊一
オーストラリア国立大学アジア・太平洋カレッジ日本センター所長

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