花のある生活「いけばなにおける 線の美しさ」

 花のある生活─ flower in life ─

第10回:いけばなにおける 線の美しさ

オクラレルカ、ファーンレースで意識的に線を作り空間を大らかに表現し、葉牡丹をポイントに入れる
オクラレルカ、ファーンレースで意識的に線を作り空間を大らかに表現し、葉牡丹をポイントに入れる

こんにちは。いけばな講師をしていますYoshimiです。色鮮やかな花が咲き出して街路樹を彩り始めました。春が来たと実感し、暖かな日差しを感じるシドニーの10月です。今月は、いけばなの三要素「L(Line/線)・M(Mass/塊)・C(Color/色)」のうち、特に直線にスポットを当ててみたいと思います。

植物を見つめてみると、無数の線があることに気付きます。直線的な物もあれば、曲線的なも物もあり、複雑な物や繊細な物、伸びやかな物もあります。いけばなでは、植物を「線」と捉えるということ、その見方が基本にあります。

植物は線の集合が結び付いて、全体を作っています。その緻密(ちみつ)とも言える、見落としてしまいがちな美しい線を発見し、人の手により意識的に際立たせてあげることが、花をいける喜びとも言えます。自然の直線の要素を見つけることと、意識的に直線を作り出すこと。どちらをとっても、植物の美しさを表現することには変わりはありません。

曲線に対して直線は動きませんので、ただ単に直線の花材を垂直に立ててしまうのではなく、少し傾きを付けて全体に動きを出してみる。花材は既に静の美を持っています。だからこそ、いかにして動の美を作るのか、それがいけばなにとって大切なことです。これは日本庭園などでも見受けられる、静と動のコントラストの美しさと同じではないかと思います。

さんごみずきでシャープな空間を作り、花器の口元に軽い曲線のチューリップをおいて直線を際立たせる
さんごみずきでシャープな空間を作り、花器の口元に軽い曲線のチューリップをおいて直線を際立たせる

必要な線を生かすためには、必要でない雑線を切り捨ててしまわなければいけません。いけばなの上手な人は自然にそれを捨てていくことができますが、初歩の人はまずどれが必要な線なのかをよく見極め、これだと思う線を探すことから始めます。自分の思う線が見つかれば、作品は表現豊かで、魅力溢れるいけばなになります。

硬い皮を破り新芽が芽吹き、木々の枝も風合いあるものになってきました。自然にある物は十分美しいですが、ひと枝ふた枝を手に取り、自分自身の思う線を見つけて、何でも良いので器に入れてみてください。そして、線だけでさみしくならないように花を足してみてください。そこには自分でしか表現できない楽しさがあるはずです。


Yoshimi
草月流華道講師。幼少の頃から花を嗜む。学生の頃、本格的に活動を始め大阪高島屋に出展。兵庫県議会公館迎え花を担当。シンガポール駐在中に趣味の油絵といけばな展をシンガポール高島屋で行う。現在はチャッツウッド駅前で華道教室フラワー・イン・ライフ(www.7elements.me)を開講

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