拾って来た野良猫から皮膚糸状菌症(Ringworm)に感染

何でも相談

Q ひと月前に保護した野良の子猫を飼っています。3日前から私の腕にリング状の発疹ができてしまい、病院で診てもらったら猫からうつった真菌性の感染症だろうと言われました。ちょっと前から子猫の耳にあるカサカサしたのがそうだと思いますが、どう治療したらいいのでしょう。
(24歳会社員=女性)

A 真菌(カビ)による皮膚炎は皮膚糸状菌症または白癬(はくせん)と言い、子猫や免疫力の弱っている猫で発症しやすい病気です。人間が感染した時に、皮膚に円形に広がっていく炎症の形状から、英語ではRingwormと言われます。命に危険はありませんが、治るのに時間がかかる厄介な皮膚病です。

原因

皮膚糸状菌症は、皮膚糸状菌と総称される真菌による感染が原因で発症します。皮膚糸状菌は、種類によって動物、人間、土壌とそれぞれ好む場所があり、胞子に接触することで感染します。
 既に感染している動物と直接接触するだけでなく、胞子が付いた毛やフケからも感染してしまうため、菌に侵された環境に入って気付かずに付けてきてしまうこともあります。
 免疫力の弱い子猫や、身体的あるいは精神的ストレスの多い成猫、猫エイズや猫白血病などの病気を患っている猫は感染しやすい傾向にあります。

症状

顔や耳、四肢などにポツポツと脱毛がみられ、周りの皮膚にフケやかさぶたがみられるようになります。円形状に脱毛することもありますが、人間に出るようなくっきりとしたリング状の炎症は猫ではほとんどみられません。痒みの程度も一般的に低いようです。
 猫によっては感染しても全く症状が出ず、キャリアとなって他の猫の感染源になってしまうこともあります。

診断

症状だけでは判断が難しく、アレルギーや細菌性の皮膚炎などとの見分けはつきません。皮膚糸状菌の種類によっては紫外線を当てると毛が黄緑色に発色するものもありますが、発色する確率は5割ほどしかないので、確定診断をするには採取した毛から菌を培養する必要があります。

治療

症状が小区画に留まっているような場合は、外用薬や薬浴による局所治療を行います。薬を塗りやすくするために被毛を剃ることもありますが、剃った毛をしっかりと処分しないとそれ自体が感染源になってしまうため要注意です。症状が広範囲にわたっている場合は内服薬も必要になります。
 どちらの治療も最低で1カ月、場合によっては2〜3カ月続ける必要があります。

予防

多頭飼いの場合、1匹でも発症したらあっという間に広がる危険があります。発症している猫はバスルームなどの掃除しやすい場所に隔離し、猫を触った後はしっかりと手を洗いましょう。
 感染した猫から抜け落ちた毛やフケについた胞子は環境内で何年も存続します。家の中は頻繁に掃除機や粘着式カーペット・クリーナーで掃除し、タイルなどは家庭用漂白剤で消毒します。
 また免疫力が低下しないように、なるべくストレスを与えず、ちゃんとした栄養と快適な環境の管理をすることも大切です。


戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格を保持している。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る