5歳のボーダーコリー。元気なのに下痢が続くのはなぜ?

何でも相談

Q 5歳のボーダーコリーを飼っています。以前からお腹が弱く、いつもゆるい便をしています。排便の回数は特に多くもないし、元気で食欲もあるので、心配はしていなかったのですが、一度病院で診てもらった方が良いでしょうか。
(34歳会社員=女性)

A 下痢は犬にとてもよく見られる症状で、大抵は一過性の下痢なので絶食や下痢止めなどの対症療法で、数日から1週間以内に回復します。軟便が持続したり、改善と悪化を繰り返す状態が3週間以上続いた場合は、慢性の下痢症と分類されます。この場合、詳しい検査や長期で治療をする必要が出てきます。

原因

寄生虫による感染症、細菌やウイルスによる感染症、食物アレルギー、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、消化器型リンパ腫など、腸自体の疾患に加え、膵臓(すいぞう)からの消化酵素が不足する膵外分泌不全や、副腎皮質機能が低下したアジソン病など、腸以外の臓器の病気が原因の下痢もあります。若年齢の犬では寄生虫や食物アレルギーなどが多く、高年齢の犬では炎症性腸疾患が多く見られるようになります。

症状

下痢は小腸性と大腸性で症状に差があり、下痢の原因を判断する手がかりにもなります。小腸性の症状では便の回数はそれほど増えず、軟便で量が増えます。嘔吐や体重減少を伴い、便に血液が混じる場合は黒いタール状になります。大腸性の症状では便の回数が増え、我慢できずに切迫感があります。1回の便の量は少なく、粘液や赤い血液が混じることもあります。
 慢性の下痢症を患っている犬は、下痢以外は元気に過ごしていることが多く、飼い主もそれが普通だと気にしなくなってしまいます。しかし重症化すると低タンパク血症や貧血、ビタミンB群の不足など全身症状を伴うようになります。

診断

まず飼い主への問診で普段の食事を含め、下痢の症状と経過を調べた上で、触診では腸に異物、しこりや痛みがないかなどを確かめます。基本的な検査は糞便検査(寄生虫や他の病原菌を調べる)と血液検査(血中タンパク値や腸以外の疾患を調べる)です。慢性の下痢は確定診断が難しく、試験的治療への反応で判断する方法が多く採られます。なかなか改善が見られない場合は超音波検査、そして最終的には内視鏡か開腹手術で腸壁を採取する病理組織検査が必要になります。

治療

慢性の下痢症の治療方法は①食事、②抗生物質、③ステロイドで、改善が見られるまでこの順で段階的に行います。軽症の場合50パーセント以上は食事療法で改善が見られますが、重症の場合は3つの治療を同時に取り入れることもあります。治療期間は1~6カ月で済むこともあれば、一生何らかの治療を継続する必要があることもあります。
 理想的な治療の進め方は、ステロイドの服用を始める前に組織検査または超音波検査で、消化器型リンパ腫でないことを確かめておくこと。消化器型リンパ腫は抗がん剤での治療が望ましく、ステロイドを併用すると抗がん剤の効き目が阻害されてしまうためです。


戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格を保持している。

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