飼い犬の口臭と歯石。骨を食べさせれば改善しますか?

何でも相談

Q 飼い犬の口臭と歯石が気になっています。骨を食べさせれば歯がきれいになると聞いていますが、与えた方が良いのでしょうか。私が飼っている犬はビーグル・ミックスのオスで、もうすぐ6歳です。
(30歳主婦=女性)

A 犬の歯の健康のために骨を与えることは以前から賛否両論ありました。確かに定期的に骨を食べている犬の方が歯石は少ないですが、一方で骨によるトラブルが多く見られるのも事実です。最近では、骨を与えることで期待できる歯磨き効果よりも問題が生じるリスクの方がずっと高いと考えられているため、犬に骨を与えることは今では推奨されていません。

オーラル・ケアが全身の健康にとって大切なのは人間も動物も同じです。歯周病は非常に多くの犬に見られ、85パーセントの犬が3歳までに歯周病になると言われてます。歯周病は口臭や歯の痛みだけでなく、細菌が血流に乗って腎臓や心臓に感染症を起こす原因なることも分かっています。

歯周病の一番の原因である歯石は、口の中の食べカスなどを栄養に細菌が固まりとなって硬く形成されたものを言います。硬いものを噛ませると、歯の表面がこすられて歯磨きと同じ効果になり歯石が付きにくくなります。従来はその目的で犬に骨を与えることが良いとされてきました。しかし、犬の歯は以外ともろく、硬い骨を噛むことで歯が欠けてしまうことがよくあるのです。

骨による歯の破損

歯が欠けると、そこから内部へ細菌が侵入し根元の部分がうんでしまいます。破損部分が大きいと歯の中の神経が出てしまうため、痛みも強く口元を触られるのを嫌がったり、欠けた歯がある側では食べなくなったりします。

破損が一番よく見られるのが、硬いものを噛む時に使う上顎の奥にある大きな歯(第4前臼歯)です。口の端を大きく引き上げないと見えない位置にあるため、飼い主は歯が欠けていることに気付かない場合がほとんどです。残念ながら、歯が破損した場合は抜歯するしかありません。上顎の歯を抜くと、下顎の歯と噛み合うものが無くなってしまうため、結局は下顎の歯も悪くなってしまいます。

その他によく見られるトラブル

骨を与えることによるその他のトラブルとしては、骨のかけらが歯茎に刺さり歯茎がうむ、胃腸炎になり嘔吐や下痢を起こすようになる、また骨が腸壁を傷つけることによって血便を起すといったことがあります。中には大きいまま飲み込んでしまった骨が原因で腸閉塞を起こし、腸が破裂し腹膜炎を起こしてしまうなど、命に関わるトラブルもあります。

正しいオーラル・ケア

歯石が既に付いている場合は、麻酔をかけてしっかりとスケーリングをして歯石除去をする必要があります。

家庭でできる一番のオーラル・ケアは歯磨きです。人が毎日歯を磨くように、動物にとっても歯磨きは歯石や歯垢の除去、歯周炎の予防に効果的です。犬の歯を磨く時は、無理やり押さえつけるようなことはせず、少しずつ慣れさせましょう。

歯磨きが無理なら、歯石予防効果があるデンタル・フードやガムなどを利用するのも良いと思います。プードル、チワワやヨークシャーテリアなどの小型犬や、噛み合わせの悪いパグやキャバリアなどはどうしても歯石が付きやすいため、家庭でのケアと併せ、定期的なスケーリングが欠かせません。


戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格を保持している。

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