気になる雇用とビザの今年の動向は?

2012年

気になる雇用ビザの動向を探る

  経済や政治の動きは今年、日系コミュニティー の暮らしにどのような影響を及ぼすのだろう。本 特集では、多くの在豪日本人の暮らしに直接関係 する「ビザ」と「雇用」の面から専門家が2012年 を展望する。いち早く市場の動向を捉え、より良 い新年のスタートを切る参考にしたい。

 

雇用

 堅調に推移する日本人労働市場

 オーストラリアの2011年の経済成長 率が3.25%と予測され、12年の経済成長 予測は約3.25~3.5%と昨年度とほぼ同 率と考えられています。そして、オース トラリアの失業率は11年と変わらずに、 12年も約4.75~5.5%で推移するものと 予想されてます。

 こういったオーストラリアの経済と雇 用の影響を受け、オーストラリアにおけ る日本人労働市場も12年も11年と変わ らずしっかりしたものになると予想され ます。

 ただし、オーストラリアの日系企業の 雇用は、業界と各企業の業績により、そ の採用活動は大きく異なったものになる と予想されます。

 また、ヨーロッパや米国の信用不安な どオーストラリアの経済と雇用に大きく 影響を与える懸念材料もあり、12年の雇 用は楽観を許されない年となるとも予想 されます。

 上記の情況を踏まえて、12年のオース トラリアの日本人労働市場については下 記のように予想しております。
 

①エネルギー・資源に関連する企業はたい へんに好調であり、雇用も11年に引き続 き活発になると予想される。その代表的 なものが資源を中心に扱っている商社や 資源関連企業。一部、他業種の日本人がオーストラリアの資源関連企業に採用さ れる動きが、加速するであろう。

②リーマン・ショック以降、大幅なリスト ラや経費削減を行った多くの日系企業は 収益が改善し、人材の採用は12年になっ て活発になるであろう。

③日系企業全体で行われているローカラ イゼーション(現地化)が12年もさらに 進められていくと予想される。大手の日 系企業の中で駐在員の数を積極的に減ら していき、現地の優秀な日本人、または オーストラリア人を経営幹部として採用 する動きがさらに加速化することが予想 される。オーストラリアの大学・大学院を 卒業したり、または日本でしっかりした キャリアを積んだ優秀な日本人がこれら の役職に採用される可能性はさらに高ま ると考えられる。

④日系企業におけるIT・エンジニア技術者 の不足は11年も解消されておらず12年 もIT・エンジニア技術者を中心にウェブ・ 通信系の技術者も日系企業に積極的に採 用されることが予測される。

⑤11年に始まった、オーストラリアの大 学・大学院で勉強をしていた日本人留学 生を日本の大手企業が日本の本社採用枠 の中で、シドニー、メルボルン、ブリス ベン、キャンベラを中心に直接面接を行 い、直接採用するという動きが、12年に はさらに活発化することが予想される。
実はこの日本人留学生の海外での採用は 00年にまず米国ボストン、ロサンゼルス で始まり、次に英国ロンドンで行われて いた。この背景には円高による製造業の 海外生産の必要性と日本人の人口減少に よる国内市場の収縮がある。海外で学ぶ 日本人留学生の日本企業における採用は 非常に有利なものとなっている。今後は この流れがさらに拡大するものと予想さ れる。

 12年の日本人労働市場を考えた場合、 11年と比べ雇用状況はそれほど大きな変 化はないものと予想されます。しかし、 日本人留学生にとってはオーストラリア において日本の一流企業の本社採用の可 能性が大きくなる年となるでしょう。
 

日本ブレーン・センター・オーストラリア
代表取締役社長
山口正人

NSW大学オーストラリア経営大学院でMBA(経営学修士 号)を取得。投資銀行を経て、日系ビザ・コンサルティン グ会社(株)日本ブレーン・センター・オーストラリアを設 立。豪州におけるビザ取得のためのコンサルティングとそ の手続き代行、人材紹介・派遣業、ランゲージ・サービス、 教育事業などを、豪州を含め4カ国で手掛ける。著書に 「オーストラリア・ビザ・ガイド」(アルク出版)など。

 

ビザ

 移住希望者の倍増による移民法改正の動き

  私たちは歴史上最も人の移動が活発 な時代に生きています。国際移住機関 (IOM)の統計によると、2010年には2 億1,400万人もの人々が世界的に移住を したとのことです。10年前(00年)の 推定全世界移住者数1億5,000万人と比べ ると、約40%の増加率です。この統計の 背景には少子高齢化や労働力不足を懸念 する先進国の技術移住者の受け入れ政策 に対して、人々がより良い生活環境や経 済的成功のチャンスを求めて母国を後に しているという事実があります。

 オーストラリアは近年の世界的な金 融・経済危機に巻き込まれながらも、早 い段階で景気後退を回避し、回復を続け ている国です。そのため、経済的に安定 しているオーストラリアへの移住希望者 は年々増加しています。オーストラリア は移住希望者にとって魅力的な国です。 例えば、昨年10月に連邦移住省がアテ ネで行った技術移住プログラム博覧会で 775人分の参加登録を見込んでいました が、実際は1万8,000人もの参加登録申込 件数があったことからも、その人気度が うかがえます。そして、オーストラリア が計画している移住受入枠数に対して、 圧倒的な数の移住希望者が存在することについて、移住省はオーストラリアの経 済に、より貢献してくれる外国人技術者 を受け入れる方針を打ち出しています。

 例えば、今年7月1日から、一般技術 移住ビザ申請の際には、「スキル・セレ クト」という2ステージ制の選定システ ムが導入されることになりました。「ス キル・セレクト」は、一般技術移住ビザ 申請希望者の中から効率的にオーストラ リアの雇用市場が必要とする人材を選定 することを目的としており、一定の条件 に到達していれば、ビザ認可のチャンス が与えられていた従来のシステムとは異 なり、より良い人材を優先的に受け入れ ていく全く新しい選定システムです。 一方で、「スキル・セレクト」導入によ り、技術者不足に悩む低人口増加地域の 政府や雇用主にとっては、適任者を技 術・資格・経験等の条件で素早く検索する ことができ、効率的に求人活動を行うこ とが可能となります。

 このように、移住省は今年、地方移住 の促進をさらに強化していく方針です。 11/12年度の移民受入計画数では、技術 移住ビザ発給予定数の中に、地方・州特 定移住の発給枠を新たに設置しました。 現在、最も審査を優先される雇用主スポンサー系ビザに関しては、都市部でスポ ンサーを受けられるビザを3,990減の3万 とする一方、地方でスポンサーが受けら れるビザの発給予定数を今年度から60% アップの1万6,000としています。移住省 は現在、資源・エネルギー・ブームの真っ 只中にあり、失業率も低いWA州(州 都:パース)を地方として昨年9月に指 定し、WA州での技術者不足を解決しよ うと、長期商用ビザなどで一時的に就労 している技術者に永住ビザ取得の機会を 与えて、長期的な技術者不足を解決しよ うと試みています。

 今年も移民法改正が続きますが、専門 家に相談しながら、ビザ取得計画やスポ ンサー採用方針を決定していくことをお 勧めいたします。
 

スタッフ・ソリューションズ・オーストラリア
飯田求

モナッシュ大学卒業後、2002年に移民コンサルタント資 格取得。事業主・投資家などのビジネス・スキル・ビザ、雇 用主指名永住ビザや長期滞在ビジネス・ビザを中心に幅広 くアドバイスしている。現在は法人へのコンサルティン グを主に担当。MARN(移住手続き代行業者登録番号): 0213050

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