【QLD】ルーシーのアート通信「The Evening Surf」

ルーシーのアート通信

オーストラリアのアート業界で活躍中のコラムニスト・ルーシーが
オーストラリアを中心に活躍するアーティストと彼らの作品をご紹介。

第2回 クレイグ・パーナビー(Craig Parnaby)
「The Evening Surf」

「The Evening Surf」Oil on Canvas 150 cm x 250 cm by Craig Parnaby
「The Evening Surf」Oil on Canvas 150 cm x 250 cm by Craig Parnaby

幼少期から絵を描くことに没頭していたクレイグ・パーナビーは、人生で絵の制作以外のことは全くしてこなかったという。彼は、NSW州西部の田舎町コンドボリンで生まれた後、家族と共に北部に移りそこが現在の拠点となっている。

1980年代後半から90年代にかけてインスタレーション(オブジェだけでなく光や音、動きなどを取り入れた現代アート)を基盤としたポストモダン(脱近代主義化)が注目され、絵画及び彫刻が現代主義的なエリート層から疎外されていた時代、クレイグはシドニーの大学でファイン・アートを学んだ。学士取得後、ボンダイ・ビーチでの生活を謳歌(おうか)していたころ、シドニーのアート・フェアで小さな展示会を行い早い段階で支持者を獲得。それ以来アーティストとして成功を収めている。

彼の初期作品には、オーストラリアを代表するアーティスト、ラッセル・ドライズデールやウィリアム・ドベルが描く作品のような色褪せたタッチの技法や、ヨーロッパの象徴的アーティストであるクールベやマネ、バルテュスから影響を受けたと見られるクラシックなスタイルが見受けられる。

クレイグは、さまざまなポーズの柔らかみのあるスタイリッシュな人物像を描き、空間の中に影を加えることにより、3次元(立体的な人物像)と2次元(風景画)の融合を作品に取り入れた。そして彼の強みである独特な色使いと形の捉え方が生かされ、海岸線や水辺の美しさが描かれているのだ。また、多種文化を取り入れようと訪日した際に、その洗練された美しさに魅了され、以来、日本文化の美しさも彼の作風に影響を与え続けている。

彼が描く操り人形のような形をしている人物は、鑑賞者が作品を注視することで作者が創造したストーリとは異なった物語を鑑賞者自身が作り上げていく役割を果たしている。描かれた人物を自身に置き換え、さまざまなことを想像してみて欲しい。

クレイグは、「私の作品が、鑑賞する人にとって知的な世界から一度身を引き、自身が何者であるかのイメージを持つことは心地良いことであると考えるきっかけになって欲しい」と語る。彼の作品には、同じような容姿のキャラクターが描かれており、暗い髪色であることを除き明確な人種を示していない。それは鑑賞者自身が作品のキャラクターに据えられるよう意識された結果で、クレイグ自身のユーモアと理想主義を体現させている。

■Web: www.craigparnaby.com
■Instagram: craig_parnaby


ルーシー・マイルス(Lucy Miles)
オーストラリアと日本のアート業界で25年以上の経歴を持つ。クイーンズランド・カレッジ・オブ・アート並びにグリフィス大学でファイン・アート(ペインティング)の美術学士、クイーンズランド大学では美術史の優等学位を取得。現在、QLD州のサウスポートを拠点にファイン・アート・コンサルタントとして活躍中。
■Email: luceartbrands@gmail.com
■Web: www.luceartbrands.com.au

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