ウミガメの治療

オージー・ワイルドライフ 診療日記

第26回 ウミガメの治療

カランビン・ワイルドライフ病院(Currumbin Wildlife Hospital)では、主に哺乳類、鳥類、爬虫類に属するたくさんの動物たちの診察、治療そしてリハビリを行っています。これらの多種多様な動物に対し、それぞれに適した環境下でケガや病気の治療ができるよう、院内には水鳥やカメのためのプール、トカゲや鳥のための保温器、コアラのための止まり木のあるケージなど、さまざまな設備が整っています。しかし、それでもどうしても1つの病院で対応しきれないというケースも出てきてしまうのが現実です。

カランビン・ビーチはゴールドコーストの中でも特に人気があるため、暖かくなってくるこの時期はいつも賑わっています。毎日のように、サーフィンや海水浴をしていた人がビーチでケガをした動物を見つけて病院に連れてきます。ほとんどは鳥類である場合が多いのですが、年に2、3回、ウミガメが保護されてくるのです。

保護されたウミガメ。釣り針・糸、ビニール袋による被害も多い
保護されたウミガメ。釣り針・糸、ビニール袋による被害も多い

釣り針を飲み込んでしまったり、釣り糸やビニール袋が頭や足にからまってしまっていたり、あるいは病気で動けなくなっていたり、保護される原因は千差万別です。普段から川や池などで保護された淡水のカメはカランビン・ワイルドライフ病院でもたくさん治療していますが、ウミガメとなると少々勝手が異なります。成体では甲羅の長さだけでも60センチを超えるウミガメを入れて治療するための海水タンクが当院にはありません。それでも、できる限りのこと、例えば脱水症状を起こしているなら輸液をし、ケガをしているなら痛み止めを打つなど、まずは応急処置をします。

幸いなことに、カランビンからそう遠くない所に「Sea World(海洋生物のテーマパーク)」や、「Australian Seabird Rescue(海鳥の保護施設)」など、ウミガメの治療やリハビリを行える施設がありますので、ボランティア・スタッフが運転する動物専用の救急車でそこまで移送し、治療をお願いすることになります。逆に、Sea Worldで保護された海鳥がカランビン・ワイルドライフ病院に移送されて治療を続けるなど、施設間での協力は野生動物の治療を行う上で欠かすことのできないものとなっています。

 
 
■床次史江(とこなみ ふみえ)

クイーンズランド大学獣医学部卒業。カランビン・ワイルドライフ病院で年間7,000以上の野生動物の診察、治療に携わっているほか、アニマル・ウェルフェア・リーグで小動物獣医として勤務。

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