動物たちのプールでの事故

第64回
動物たちのプールでの事故

12月に入り、ゴールドコーストはすっかり夏の気候になりました。

オーストラリア、特にQLD州では、一戸建てやアパートの多くにプールが付いています。カランビン・ワイルドライフ病院(Currumbin Wildlife Hospital)では、夏場に限らず、1年を通してプールでの事故によって保護された野生動物が治療を受けています。

動物たちがプールで保護される理由は主に2通りあります。1つは、誤ってプールに落ちてしまい出られなくなってしまった場合です。鳥や爬虫(はちゅう)類の多くは泳ぐことができますが、プールの縁へ登ることができずに低体温症になったり、力尽きて溺れてしまうこともあります。また、プールの排水溝やフィルターに引っ掛かってしまうこともあります。

もう1つは、プールの周りの柵がガラス張りになっており、透明なガラスが見えない鳥が飛んできて衝突してしまう場合です。飛行中にガラスにぶつかった時の衝撃はかなりのもので、脳振盪(しんとう)や骨折など重傷を負ってしまいます。

いずれにしても、プールで保護された動物はまず保温、そして補液をして状態を安定させてから、誤嚥(ごえん)による肺炎やその他のけがをしていないかが検査されます。

保護されたワライカワセミの幼鳥
保護されたワライカワセミの幼鳥

このワライカワセミの幼鳥は、プールに落ちて溺れかかっているところを保護されました。おそらく、飛行の練習をしていたところ、着地点を見誤ってしまったのでしょう。巣立ちの時期が近いひなたちは、翼を羽ばたかせて巣から飛び出し、地面に着地することはできても、高く飛べるようになるまでには少々時間が掛かります。

幸い、この鳥はどこにもけがはなかったので、羽を乾かして体を温めた後、巣のある木に戻されました。

野生動物のプールでの事故を防ぐ対策としては、プールにカバーをかけてしまえれば一番良いのですが、水に落ちても陸に上がれるようにスロープを作ったり、水面に板などを浮かべておくのも有効です。ガラスへの衝突を避けるためには、ガラスに色や模様の付いたシートを貼ると遠くからでも見やすくなるでしょう。


床次史江(とこなみ ふみえ)
クイーンズランド大学獣医学部卒業。カランビン・ワイルドライフ病院で年間7,000以上の野生動物の診察、治療に携わっている他、アニマル・ウェルフェア・リーグで小動物獣医として勤務。

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る