カンムリカッコウハヤブサ

第66回
カンムリカッコウハヤブサ

オーストラリアの学校では新学期が始まりました。この時期になると、春から夏にかけて大忙しだった「カランビン野生動物病院(Currumbin Wildlife Hospital)」でも、少しずつ保護された野生動物の出入りが少なくなってきます。きっと春以降に生まれた鳥のひなたちが巣立つピークを過ぎたころだからでしょう。

巣立ちの準備をする幼い鳥たちは、まだ風切羽が生えそろっていなくても巣からジャンプして飛ぼうとします。当然、初めからうまく飛べるわけではないので、地面に落ちてしまったら木の枝をよじ登って巣に戻るか、そのまま地面で親鳥を待つことになります。巣に戻ることができずに長い時間を地面で過ごすことになると、外敵に見つかってしまったり、犬や猫に捕まったり、車にひかれてしまうなどの危険にさらされてしまいます。

病院の鳥舎でリハビリ中のカンムリカッコウハヤブサの幼鳥<
病院の鳥舎でリハビリ中のカンムリカッコウハヤブサの幼鳥

現在、病院の鳥舎では、4羽のカンムリカッコウハヤブサ(Pacific Baza)の幼鳥がリハビリ中です。オーストラリアの北部や東海岸沿い、そしてニューギニア周辺に生息するこの鳥は、その名の通り頭に冠羽がある、タカの一種です。カンムリと言えど、その冠羽は日本人の私には「ちょんまげ」のように見えてしまい、何とも愛着が湧く姿をしています。

猛禽(もうきん)類タカ科の鳥には珍しく雑食性で、昆虫、カエル、小鳥や果実を食べます。カンムリカッコウハヤブサは高い木のてっぺんに巣を作るため、まだうまく飛べない時期に巣から離れてしまうと、木の上の巣に戻ることは困難です。そのため、地面にいる所を保護され、もし何も異常が見つからなくても、親鳥の元に返すことができないのです。

この4羽のカンムリカッコウハヤブサは、風切羽が生えそろって飛べるようになるまで、しばらく病院の鳥舎で一緒に過ごします。その間にひなが人間に懐いてしまわないように、動物看護士たちは自分の顔をタオルなどで覆って餌やりをします。幼いひなが自分で餌を食べるようになるまでは親鳥の代わりとなって強制給餌をすることもあります。2週間ほどで羽が生えそろい、飛べるようになったらできるだけ早く保護された場所へと返されます。


床次史江(とこなみ ふみえ)
クイーンズランド大学獣医学部卒業。カランビン・ワイルドライフ病院で年間7,000以上の野生動物の診察、治療に携わっている他、アニマル・ウェルフェア・リーグで小動物獣医として勤務。

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