2017年1月 ニュース/総合

別件の鉱山開発をめぐる不正疑惑に絡み、2013年にNSW州汚職摘発独立委員会(ICAC)に不正行為が認定された当時のエディー・オベイド氏
別件の鉱山開発をめぐる不正疑惑に絡み、2013年にNSW州汚職摘発独立委員会(ICAC)に不正行為が認定された当時のエディー・オベイド氏

州政界のフィクサーに実刑判決

オベイド元NSW州資源相が収監

NSW州の前労働党政権で実力者として権勢を誇った元大物政治家に、実刑判決が下った。連邦最高裁判所は2016年12月15日、「公務中の不正行為」の罪でエディー・オベイド元NSW州資源相に5年の禁固刑を言い渡した。最低3年間、仮釈放を許可しない条件付き。オベイド氏は判決後、シドニー西部シルバーウォーター刑務所に収監された。オベイド氏側は上告する構え。公共放送ABC(電子版)が同日、伝えた。

連邦最高裁は判決で、シドニーのサーキュラー・キーのカフェを巡るオベイド氏の行為を公務中の不正行為と認めた。オベイド氏はNSW州上院議員を務めていた07年、カフェの営業を巡りロビー活動を行う一方で、同氏の親族企業が店の権益に関与していたことを公表しなかった。この点が、違法とされた。

オベイド氏はレバノン生まれの73歳。1991年から2011年までNSW州上院議員を務め、当時の労働党州政権で漁業相と資源相を歴任。州労働党右派の重鎮として影響力を発揮した。サーキュラー・キーのカフェ疑惑だけではなく、オベイド一族が鉱山の開発計画に関する機密情報を入手した上で農地を取得したり、州閣僚の新車購入費用の一部を負担した疑惑が浮上するなど、さまざまな不正が取り沙汰されてきた。

豪州の政界はクリーンなイメージが強いが、連邦制の下で多くの権限を移譲されている州のレベルでは、それらの利権に絡む疑惑や事件がしばしば表面化している。前労働党州政権の幹部を巡る黒い闇はこれまでも法廷で明るみに出ているが、元閣僚が実刑判決を受けるのは異例と言える。

上告後の1回目の法廷は、17年3月ごろになる見通しだという。オベイド氏は健康状態に不安があるとされ、弁護側は保釈を申請している。


9月期GDP成長率、前期比0.5%減

前年同期比1.8%増̶統計局

オーストラリア統計局(ABS)が2016年12月7日に発表した国内総生産(GDP)統計によると、16年7月~9月期の実質GDP成長率(連鎖実質値=季節調整済み)は前期比0.5%減となった。前年同期比では1.8%増だった。4月~6月期の前期比0.5%増、前年同期比3.3%増から減速した。

前期比でマイナス成長となるのは、QLD州の大規模な洪水(10年末~11年初頭)の影響を受けた11年3月期以来およそ5年半ぶり。史上最低水準の低金利下で回復基調を続けてきたオーストラリア経済の転換点になるのかが、注目される。

公共部門の設備投資が、大幅に伸びた前期の反動で前期比0.5ポイント縮小したことに加え、民間部門の新規建設への設備投資も同0.3ポイント下落した。例年を上回る降水量を記録したことから、建設業にマイナスの影響があったと見られる。一方、個人消費の指標となる家計最終支出は同0.4%伸びた。

四半世紀ぶりの景気後退は回避か

12月7日付の公共放送ABC(電子版)によると、エコノミストの予想は前期比0.1%減、前年同期比2.2%増だった。

オーストラリア経済は1991年以来これまで25年間、リセッション(景気後退=2期連続のマイナス成長)を経験していない。1期のみのマイナス成長は、IT(情報技術)バブル崩壊後の2000年12月期と、世界金融危機後の08年12月期、11年3月期、今回の4回しかない。

ただ、直近の小売売上高が好調に推移していることや、資源価格の上昇を背景に交易条件(貿易による実質所得の増加を示す指標)が大幅に改善していることなどから、オーストラリア経済の基調は底堅いもようだ。大方のエコノミストの予想によると、16年12月期の成長率は9月期に落ち込んだ反動でプラスに転じ、25年ぶりのリセッションに陥る可能性は低いと見られている。


バジェリーズ・クリークの西シドニー空港建設予定地周辺
バジェリーズ・クリークの西シドニー空港建設予定地周辺

西シドニー空港の建設計画承認

2020年代半ばに開港へ

連邦政府は2016年12月12日、シドニー第2空港「西シドニー空港」を建設する計画を正式に承認した。マルコム・ターンブル首相とポール・フレッチャー連邦都市インフラ相が会見で発表した。

シドニー西方のジェリーズ・クリークに、最大の民間航空機エアバスA380が発着できる3,700メートルの滑走路1本と、年間1,000万人の利用客を想定した空港ターミナルを建設する。20年代半ばの開港を目指す。第2期工事として、50年ごろをめどに第2滑走路を建設し、最終的には3,500万~4,000万人の利用客に対応する。

連邦政府の試算によると、市内南部にある現在のシドニー国際空港(シドニー・キングスフォード・スミス空港)の発着枠は27年ごろに限界に達する見通しで、空港施設の処理能力も30年代後半には飽和状態になるとされる。現在3本ある滑走路の増設も望めないことから、第2空港の建設が急務となっていた。

バジェリーズ・クリークはシドニー市内中心部から西へ約50キロ離れているが、キングスフォード・スミス空港よりも新空港に近い地域に居住している人口は約200万人に達しており、「1つの都市として見ると、オーストラリア国内で4番目の規模がある」(ターンブル首相)という。初期の段階で約9,000人、将来的には6万人の雇用を創出するとしており、シドニー西部の雇用と経済成長の柱と位置付けている。

シドニー第2空港の建設を巡る議論は約50年前からあった。バジェリーズ・クリーク案や空軍基地併用案、海上空港案などさまざまな構想が浮上していたが、いずれも立ち消えになっていた。インフラ整備を優先課題に掲げる保守連合政権の下で建設の機運が再燃、14年になってようやく候補地がバジェリーズ・クリークに決定していた。


日本局長に中沢氏―オーストラリア政府観光局
JTBやIATAなどで要職を歴任

日本の大手旅行業界で豊富な経験を持つ中沢祥行氏がこのほど、オーストラリア政府観光局(TA)の日本局長に就任し、2016年12月1日に業務を開始した。中沢氏は、JTB上級役員、国際航空運送協会(IATA)日本事務所代表、ホテル・リザベーション・サービス(HRS)ジャパンのマネジング・ディレクターを歴任した。TAのアンドリュー・ホグ・ノースアジア地区局長は声明で、任命の理由として「航空業界における豊富な経験と日本の旅行市場に対する理解」を挙げた。

ホグ局長は「日本市場は近年力強い回復を見せ、過去12カ月間で日本人渡航者数が大幅に増加しました。この転換に大きな役割を果たしているのは、意欲的なマーケティング活動に加え、市場における旅行業界パートナーとの関係強化です。中沢氏のこれまでの経験とスキルは、間違いなく当局に大きな推進力を与えてくれると確信しています」と述べた。

また、中沢氏は「私は、MBA取得のためにボンド大学に3年間在籍し、オーストラリアには強い愛着があります。オーストラリア政府観光局で働くことは非常に楽しみであり、日本という重要な市場でエネルギッシュなチームを率いていくことをうれしく思います」と語った。

TAによると、オーストラリアにとって日本は国地域別で6番目に大きい観光市場で、16年8月までの1年間の日本人渡航者数は39万1,100人と前年比20.2%増加した。ほぼ同じ時期の日本人渡航者の総支出額は15億ドル以上に達している。


全長6~7メートルに達するホオジロザメ
全長6~7メートルに達するホオジロザメ

サメがまたサーファー襲撃

65歳男性が大ケガ―NSW州北東部

本格的な夏の休暇シーズンを迎え、NSW州でサメによる被害が頻発している。シドニーの北東約320キロにあるNSW州北東部ブーティ・ブーティ・ビーチでは2016年12月13日、サーフィン中の65歳の男性がサメに襲われ、重傷を負う事故があった。公共放送ABC(電子版)が伝えた。

男性は下脚部をサメに噛まれて大ケガを負ったが、自力で泳いで陸にたどり着いて救援を要請。救急ヘリで病院に搬送された。救急ヘリの隊員はABCに「サメは下からボードを噛みちぎり、男性を海中に引きずり込んだ」とコメントした。男性の様態は安定しているという。

事故を受けて、ビーチは直ちに閉鎖された。NSW州第1次産業省のサメ目撃情報アプリ「シャーク・スマート」によると、前日に10キロ北方のフォースターでホオジロザメの目撃情報が4回あった。同じ個体が男性を襲ったのか、群れの一部かどうかは不明という。男性を襲ったサメも、目撃情報からホオジロザメであることが分かった。

ホオジロザメは人を襲う凶暴なサメの1つとして知られているが、生息数が減少しているため保護種に指定され、オーストラリアではむやみに駆除することは禁じられている。シャーク・ネット(サメ除け網)や仕掛けに捕まった個体は捕獲され、位置情報を知らせるタグが取り付けられ、放流されている。

サーファーなどがサメに襲われる事故は近年、オーストラリアで増加傾向にある。マリン・スポーツを楽しむ人が増えて襲撃の確率が高まったとも言われているが、増加の正確な理由は分かっていない。特にエサの小魚を捕食するためサメが集まる大雨の後の河口付近や、人の少ないビーチでのサーフィンや遊泳は避ける必要がある。

シャーク・ネットめぐり論争

同ビーチからさらに北へ約500キロのNSW州北部バリナでは、シャーク・ネット(サメ除け網)の是非を巡る議論が白熱している。

バリナ近隣のビーチでは、これまで2年間に4人がサメに襲われ、15年には現地在住の日本人サーファーが死亡する事故も発生した。16年10月にも、サメに襲われて2人がケガを負う事故が立て続けに起き、NSW州政府は本格的な夏の休暇シーズンを前にシャーク・ネットの試験的な導入を決定した。

これに対して、環境保護や動物保護の活動家らは、保護されているサメやクジラ、イルカ、ウミガメなどがネットに捕まり、生息が脅かされるとして、強く反対している。10月には数百人規模の抗議集会を現地のビーチで開き、バリナ市長も設置に反対を表明した。

しかし、NSW州政府はクジラやイルカが接近すると警告音を発生する装置をネットに取り付けて配慮したとして、11月下旬にネットの設置に踏み切った。この時は、現場を視察したベアード州首相をデモ隊が取り囲み、逃げる州首相の頭部に網を被せようとする騒ぎになった。

クジラやイルカなどの大型海洋生物の保護に熱心な世論を背景に、シャーク・ネット反対は一定の支持を得ている。一方、賛成派は「ビーチはオーストラリアの文化だ。子どもたちの命を守れ」と反発しており、海辺の平和な地域社会を二分する論争に発展している。


「殺人アリ」増殖中-南米原産のヒアリ
報告書が政府に対策強化訴える

猛毒を持つ南米原産のヒアリ(英語名:レッド・インポーテッド・ファイアー・アント)が、QLD州で増殖している。公共放送ABCがこのほど入手した国のヒアリ駆除計画の見直しに関する報告書によると、対策を強化しなければ全国に拡大する恐れがあるという。2016年12月8日付の同放送電子版が伝えた。

ヒアリは南米アマゾン川流域原産の外来種。「世界の侵略的外来種ワースト100」に指定されており、繁殖力が高い。ヒトが刺されると、過敏性の反応で呼吸困難などを引き起こす「アナフィラキシー・ショック」によって死に至る可能性がある。米国ではこれまで少なくとも85人の死亡例が報告されている。農畜産業への被害も深刻で、集団で子羊やニワトリを襲ったり、穀物の収穫に大きな被害を与えたりするという。

報告書は、「残された時間は非常に限られている」とした上で、駆除予算を今後10年間で現在の2倍の3億8,000万ドルに増額し、生息域拡大を全力で阻止するべきだと主張した。対策を強化しなければ、ヒアリは全国に広がり、最大で年間3,000件のアナフィラキシー・ショックを引き起こす可能性があると警告した。

ヒアリのコロニー(群生地)は、ブリスベンの南方約40キロのイプスウィッチなどQLD州南東部の市街地にも広がっている。駆除作業が続いているが、コロニーは現在、NSW州境の北約50キロの地点まで迫っているという。

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