2018年12月 ニュース/総合

11月16日、ダーウィンの戦没者慰霊塔で献花する安倍晋三首相(左)とスコット・モリソン首相
11月16日、ダーウィンの戦没者慰霊塔で献花する安倍晋三首相(左)とスコット・モリソン首相

安倍首相、ダーウィン訪問

空爆の戦没者慰霊、日豪の「和解」強調

安倍晋三首相は11月16~17日、豪北部ダーウィンを訪問した。第2次世界大戦中、旧日本軍の空爆で多数の犠牲者を出したダーウィンを日本の首相が訪問するのは初めて。安倍首相は16日、スコット・モリソン首相と共にダーウィンの戦没者慰霊碑で献花と黙祷を行い、かつての敵国・豪州との「和解」と友好を改めてアピールした。

同日午後にスコット・モリソン首相と行った日豪首脳会談で両首脳は、自由貿易体制の維持と強化、日豪の経済連携の強化、「自由で開かれたインド太平洋」のビジョン共有、日豪米印の安保協力の強化などで一致した。日豪は、経済では世界的な保護主義の流れをけん制しつつ、安保では海洋進出を加速する中国を念頭に友好国との連携を図る。

安倍首相は首脳会談後の記者会見で「し烈に戦った日本と豪州は、70年余りの時を経て、今、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった、基本的価値で結ばれている」と述べた。その上で首相は「私たちは、太平洋からインド洋へと広がる広大な海を、そして、空を共有している。国の大小に関わりなく、その恩恵を享受し、共に繁栄する。そのためには、自由で、開かれた海を、空を、守らなければならない」と日豪の連携の必要性を強調した。

また、モリソン首相は会談後の共同声明で「我々は歴史を認識し、今日、犠牲者を追悼したが、我々は良き友人、すばらしいパートナーとして絆を強めてきた。(日豪は)共有する価値観と利益だけではなく、深い信念に基づいた特別な戦略的関係を築いてきた」と語った。

両首脳は16日夜、地元北部準州(NT)沖の液化天然ガス(LNG)プロジェクト「イクシス」の操業開始を記念する式典に出席した。イクシスは、国際石油開発帝石が日本企業として初めて操業主体として推進する大型LNGプロジェクトで10月に出荷が始まった。40年間の操業を予定しており、生産量の7割が日本向け。日本のエネルギー安定供給に寄与することが期待されている。

安倍首相は翌17日、ダーウィンに寄港中の海上保安庁の巡視船「えちご」を訪問して訓示を行った。この後、首相は第2次世界大戦中にダーウィン近海で沈没した旧日本海軍の「伊号第124潜水艦」の慰霊碑を訪問し、NTのガナー準州首相の参列の下で献花を行った。同潜水艦は1942年1月、ダーウィン近海で機雷敷設中に米・豪軍の攻撃を受けて沈没。乗組員80人が戦死した。

ダーウィン空爆
 豪国立公文書館の史料によると、旧日本軍は開戦から間もない1942年2月19日、ダーウィンにオーストラリア本土に対する初の攻撃を行った。艦載攻撃機188機と爆撃機54機が2度の波状攻撃を行い、民間人を含む235人が死亡、最大400人が負傷した。攻撃の目的は、豪州の占領ではなく、米国と豪州の補給路分断と豪州国民の戦意を喪失させることにあったとされる。その後も日本は、戦況が悪化した43年11月まで、NTへ200回以上空爆を行った。QLD州タウンズビル、NTキャサリン、WA州ブルーム、同州ポート・ヘッドランドなど豪北部の都市にも空爆を実施した。


イチゴ針混入、容疑者の女逮捕――7件の容疑で起訴

QLD州警察は11月11日、イチゴに針を混入させた疑いで農業作業員の女(50歳)をブリスベンで逮捕した。11日付の公共放送ABC(電子版)が報じた。

警察は、女が他人にけがをさせることを目的にイチゴに針を刺し込んだと見ている。犯行の動機は明らかになっていない。ABCによると、容疑者が有罪判決を受ければ、合計約10年の禁固刑を言い渡される可能性があるという。

事件は9月、QLD州の農業会社「ベリー・リシャス」のイチゴに縫い針が混入していたことから発覚した。模倣犯の仕業とみられる事案や虚偽の通報を含めて、全国で186件(QLD州77件)の発見報告があった。

QLD州政府とWA州政府は、有力な情報提供者にそれぞれ10万ドルの懸賞金を提供すると発表。QLD州警察は100人以上の捜査員を投入し、容疑者の逮捕に全力を挙げていた。

事件の影響でイチゴの需要が激減したため、価格は急落。全国のイチゴ生産者は大打撃を受けている。卸売価格は1籠当たり50セントと事件前の約半値となり、採算ラインを割った。


NSW州野党労働党党首を辞任したルーク・フォリー氏
NSW州野党労働党党首を辞任したルーク・フォリー氏

NSW州労働党新党首にデイリー氏

フォリー前党首はセクハラ疑惑で退陣

NSW州議会の最大野党労働党は11月10日、両院議員総会で党首選を行い、マイケル・デイリー副党首(州下院議員)を新党首に選出した。副党首には、「影の内閣」の貿易・観光・環境担当だった女性のペニー・シャープ氏が就任した。

前党首のルーク・フォリー氏をめぐっては、2016年のパーティーで女性記者の体を触ったとの疑惑が浮上。フォリー氏は8日の会見で「事実に反する」と疑惑を完全否定し、名誉毀損(きそん)で訴える可能性を示唆した。しかし、「無実を晴らすための戦いと選挙戦を同時に進めることは不可能だ」として党首辞任を表明していた。

これを受けて急きょ実施された党首選で、デイリー氏は33票を獲得。対立候補のクリス・ミンズ12票を大差で破り、新党首に選ばれた。デイリー氏の党首昇格は事前の予想通りだった。

デイリー氏は重点政策として、◇世界水準の保健・教育制度、◇生活コストの低減、◇郊外や地方での雇用創出、◇シドニーをより暮らしやすい街にすること、の4点を挙げた。19年3月の次期州選挙に向け、政策の詳細をまとめる。同州労働党は新体制で8年ぶりの政権交代を目指すが、前党首のスキャンダルによるイメージ低下は避けられない。

デイリー新党首は、シドニー南東郊外マルーブラ出身の53歳。税関職員や弁護士、シドニー東部ランドウィック市市長などを経て、05年の州選挙に立候補して初当選した。前労働党政権時代に警察相、金融相、道路相などを歴任。16年から州労働党副党首を務めていた。

フォリー氏は酒に泥酔して女性記者の体を触ったと指摘されているが、飲酒をめぐってはデイリー氏にも「前科」がある。12年に議会内で酒を飲んでいたとの疑惑が持ち上がった。同氏は「6年前のあの日以来、議会開会中は完全に禁酒している」と述べている。

フォリー氏が「下着の中に手を」

公共放送ABCでNSW州政治を担当する女性記者が11月8日、フォリー州労働党党首(同日辞任表明)による痴漢被害について暴露した。

ABC電子版が10日に掲載した女性記者の声明によると、事件は16年11月に開かれた同州議員と政治記者のクリスマス・パーティーの2次会で起きた。州議会で行われた公式パーティーの後、一行は近くにある「マーティン・プレイス・バー」に移動。店内で記者の横に立ったフォリー党首が「ドレスの後ろの隙間から下着の中に手を入れ、尻を触った」という。

その様子は、日刊紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」の州政治担当の政治記者だったショーン・ニコルズさん(現ABC記者)も目撃していた。記者は事件を公表しないことを決め、ニコルズさんも口を閉ざすことを約束した。

記者は事件を公表しなかった理由として、◇こうした行為の被害に遭った女性が公表することで逆に苦しむケースが多いこと、◇州政治担当の政治記者の職を失うことを恐れたこと、◇公表することによる家族へのマイナスの影響、の3点を挙げている。

「議員特権の乱用」との批判も

ところが、与党のデービッド・エリオットNSW州テロ対策・刑務所・退役軍人相(州下院議員)が10月、州議会でフォリー氏のセクハラ疑惑を公表して以来、事件は大きな注目を集めた。

女性記者の声明によると、フォリー党首は11月4日、記者に電話を掛け、同党首は酒に酔っていたため記憶にないと釈明した上で、謝罪したという。この日の時点では、責任を取って党首を辞任する意向を伝えていた。ところが、6日に掛けた2度目の電話では、改めて謝罪した上で、法的な理由から辞任を撤回することを明らかにしたという。

記者は公表を踏み切った理由について「こうした(痴漢)行為にさらされることなく、女性は仕事と付き合いに取り組むことができるようにすべきだ。私のようなケースが、政治的なポイント稼ぎのために議会で議論されるべきではない」などと述べた。これ以上のコメントは控えるとしている。

女性記者は事件の公表を控えたにもかかわらず、与党議員の議会での発言で事件が明るみに出たことについては、「議員特権の乱用ではないか」との批判も出ている。議員は、議会内で述べた証言について名誉毀損の対象にならないという特権を保持している。

ABCの女性キャスターは本紙の取材に対して「疑惑の真偽についてコメントする立場にない」と断った上で、「女性記者が望んでいなかったにもかかわらず、政治家が議員特権を利用して議会で公表したことは、プライバシーの観点から問題がある。こうした事件を政治的な争点にするべきではない」とコメントした。


子ども運賃を完全無料化公約
NSW州野党、生活コストの低減アピール

NSW州野党労働党のマイケル・デイリー新党首は11月12日、学校に通う子どもの公共交通運賃を全面的に無料にするとの公約を発表した。2019年3月に行われる次期州選挙に向けて、生活費の高騰に苦しむ親の負担軽減をアピールする。同日付の公共放送ABC(電子版)が伝えた。

州選挙で労働党が政権交代を果たした場合、19年中頃までにバス、鉄道、フェリーの子ども運賃を制限なく無料化する。専用のオパール・カード(プリペイドのICカード)を新たに導入。通学区間だけではなくNSW州全域を対象とする。

現行制度では、高校3年に相当する「イヤー12」(18歳未満の一部州立職業訓練学校生を含む)までの子どもを対象に無料または割引料金を適用している。しかし、基本的に往復の通学区間に限られ、利用できる時期と時間帯などにも制限が多い。

完全無料化により、州政府は年間4,400万ドルの歳入減となる見通しだが、同党首は生活コスト削減のための「必要経費だ。家計を助ける、非常に簡素で現実的な施策になる」と述べた。


シドニー魚市場、再開発計画発表

2023年完成目指す

新しいシドニー・フィッシュ・マーケットの完成予想図
新しいシドニー・フィッシュ・マーケットの完成予想図
シドニー湾を眺望する開放的な空間に生まれ変わる
シドニー湾を眺望する開放的な空間に生まれ変わる

市民や観光客にも親しまれている鮮魚卸売市場「シドニー・フィッシュ・マーケット」が、5年後に大きく生まれ変わる。NSW州政府が11月6日、再開発計画を公表した。卸売りと小売りのスペースを現在の位置よりも西側の海上に広げ、魚介類の流通だけではなく観光スポットとしても価値を高める。

魚のうろこを形取った木材とアルミ製の屋根が、建物の上に浮かぶような未来的なデザインが特徴。新しい船着き場やフェリー乗り場、公共スペースなども整備する。2019年中頃に工事に着手し、23年の完成を目指す。工事中も市場は営業を続ける。

グラディス・ベレジクリアン州首相によると、同市場は「現時点でもグレート・バリア・リーフ(QLD州北東部沖の世界最大のさんご礁群)より多くの訪問客を集めている」。NSW州の漁業を支える経済的な拠点としての機能も大幅に充実させる。

シドニー・フィッシュ・マーケットによると、同市場は年間約1万3,500トン、約500種の魚介類を扱う南半球最大の鮮魚卸売市場」とされる。コンピューターによる売買システムを導入した卸売施設の他、一般消費者向けの鮮魚店や飲食店が20店舗営業している。著名シェフなどが講師を務める料理教室「シドニー・シーフード・スクール」も人気を集めている。

州内の魚介類卸売を独占する州政府の鮮魚販売局が前身で、1966年から市内西部ピアモントにある現在の場所で営業してきた。90年代の規制緩和で卸売市場の独占は廃止されたが、現在も同州の魚介類卸売りの大半を担う流通拠点となっている。


東海岸でサメの襲撃相次ぐ
QLD州で男性死亡、NSW州でサーファー負傷

QLD州北東部ウィットサンデー諸島で男性が11月5日、サメに襲われて死亡した。同じ海域で人がサメに襲われる事故が起きたのは過去6週間で3度目だった。6日付の公共放送ABC(電子版)が報じた。

ABCによると、死亡したのはメルボルンのオースティン病院で医学研究者を務めていたダニエル・クリスティディス博士(33歳)。ウィットサンデー諸島のシド・ハーバーで5日午後5時30分ごろ、友人たちとヨットに乗って休暇を楽しんでいた。サーフボードの一種であるスタンドアップ・パドル・ボード(SUP)に乗っていて、別の友人に交代しようと入水していた時にサメの襲撃を受けたという。

クリスティディスさんは脚と腕に重症を負い、マッカイ・ベース病院にヘリコプターで緊急搬送されたが、病院で死亡が確認された。救助された時点で大量の出血が確認されており、死因は出血多量とみられる。

周辺海域では、9月12日と翌13日にも人がサメに襲われてけがを負う事故が起きていた。QLD州政府はシド・ハーバーで遊泳しないよう呼び掛けている。

サーフボードでサメ撃退も脚に裂傷

NSW州北東部バリナにあるシェリー・ビーチでは11月7日朝、43歳の男性がサーフィン中にサメに襲われる事故が起きた。同日付の公共放送ABC(電子版)が報じた。

男性は他の2人の友人と海に入っていたところ、サメがサーフボードにぶつかってきた。サメは周囲を何周か泳いだ後、再び襲い掛かってきた。男性はサーフボードをサメに投げつけて撃退したが、左脚のふくらはぎを噛まれ、約20センチの裂傷を負った。

男性はボードを漕いで岸に戻り、自力でバリナ病院に駆け込んだ。その後、リズモア・ベース病院に緊急搬送され、手当てを受けた。男性の命に別状はないという。

地元のサーフ・ライフ・セービング・クラブは、サウス・バリナ・ビーチからレノックス・ヘッドまでの海岸線の全てのビーチを24時間、閉鎖した。住民に入水しないよう呼び掛けている。

男性を襲ったのは体長約1.5メートルの小型のサメとされるが、種類は不明。

バリナはゴールドコーストから南へ約110キロ。リゾート地として知られるバイロン・ベイの南方に位置している。これまでもサーファーなどがサメに襲われる事故が度々発生しており、「人食いザメ」を駆除するべきか保護するべきかで、街を二分する論争になったこともある。

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