2015年1月 ニュース/総合


事件から一夜明けたシドニー市内中心部マーティン・プレイス。多くの市民が献花に訪れた

シドニーで男が立てこもり、3人死亡

過激思想に傾倒した単独犯か−動機なお謎

シドニー市内のカフェで昨年12月15日朝、武装した男が客や店員17人を人質に立てこもる事件が発生した。警察の特殊部隊が16日未明に店内に突入して激しい銃撃戦となり、男を含む3人が死亡、4人が重軽傷を負った。男は犯罪歴のある保釈中のイラン人亡命者で、イスラム過激思想に傾倒した単独犯とされるが、犯行に至った詳しい動機は分かっていない。

真夏のクリスマス休暇を目前にしたシドニーの街に衝撃が走った。現場はオフィス・ビルや高級ブランドのブティックなどが建ち並ぶ市内中心部マーティン・プレイスの一角にある高級チョコレート店「リンツ」併設のカフェ。徒歩で数分の圏内には、中央銀行のオーストラリア準備銀行(RBA)本店やNSW州議会、在シドニー米国総領事館などテロの標的になりそうな重要な施設も多い。

地元メディアによると、男が銃器を隠し入れたかばんを持って、店内に押し入ったのは同日午前10時前。男はその直後、銃で脅して人質に黒い旗を持たせ、カフェのガラス窓に掲げさせた。悲痛な表情の人質が旗を掲げる光景は、通りの向かい側にある民放チャンネル7の報道局から生中継され、視聴者を震撼させた。

後に黒い旗は、いわゆる「イスラム国」(IS)を名乗る過激派組織のものではないことが判明したが、アラビア語で「アラーのほかに神はいない」などと書かれていたため、テロリストによる犯行である可能性が浮上した。ところが、犯人が単独なのか複数なのか、人質の数など詳細は全く分からないままだった。

警察は付近の数ブロックを封鎖して建物の従業員などを避難させたほか、不審物が見つかったとの情報があったシドニー・オペラ・ハウスも封鎖した。現場に近い地下にある州営鉄道のマーティン・プレイス駅も出入口を閉鎖し、列車を通過させた。付近の道路や交通機関は大混乱となったが、午後遅くになると立ち入り禁止のテープが貼られた現場周辺はゴーストタウンと化していた。

 

自分を犠牲に他人の命守った

多くの国民がテレビの画面に釘付けとなる中、午後4時ごろ、カフェの正面玄関から客とみられる人質の男性2人が、通用口からリンツのエプロンを着けた女性の店員1人がそれぞれ脱出した。午後5時ごろには、さらに女性の店員2人が店外に出て警官に保護された。警察は交渉人が犯人とコンタクトを取っていることを明らかにしたが、報道管制のためほとんど情報が表に出ないまま膠着状態が続いた。

日付が変わると、主要メディアは一斉に容疑者が判明したと伝えた。立てこもったのはイラン人の自称イスラム教聖職者マン・ハロン・モニス(50)。1990年代に渡豪して2001年に豪州に政治亡命したとされる。イラン政府は豪州に身柄の受け渡しを要請していたという。警察には要注意人物として知られていた。これまでに50件以上の性的暴行などの罪で起訴され、戦死した豪州軍兵士の家族に嫌がらせの手紙を送っていたほか、自分の妻が殺害された事件に関わったとして起訴されていたが、保釈中だった。

事態が急変したのは事件発生から約16時間が経った16日午前2時過ぎ。激しい銃声の直後、完全武装した数人の特殊部隊が照明付きのライフル銃を構えながら通用口から店内に突入した。部隊は激しい銃撃戦の末、数十秒後には店内を制圧した。無事だった人質数人が脱出し、ケガをした人質が次々と運びだされたが、救急隊員が心肺蘇生を行う様子も確認された。

警察の発表によると、カフェのマネジャーのトリ・ジョンソンさん(34)、客で弁護士のカトリーナ・ドーソンさん(38)が銃弾を受けて命を落とし、モニス容疑者も死亡した。75歳と52歳、43歳の女性3人が銃撃を受けて病院に運ばれたが、命に別状はなかった。警官(39)も顔に軽傷を負ったほか、30歳と35歳の妊婦2人が現場で手当を受けた。

報道によると、ジョンソンさんはモニス容疑者に襲いかかり、撃たれて死亡したと見られるという。また、ドーソンさんは同じく人質となっていた妊娠中の友人に覆い被さったところを銃撃されたとの情報が出ている。いずれも、自分を犠牲にして他人を守った行為だとして賞賛されている。

 

凶悪犯がなぜ野放しに?

事件の終結を受けて、トニー・アボット首相は16日、会見でモニス容疑者の動機について「イラクとレバントのイスラム国(ISIL=イスラム国の別名)のシンボリズムによって自分の行動を覆い隠すことを狙った」と説明。プロのテロ集団による組織的な関与はなく、過激思想に陶酔した単独犯であったことを示唆した。首相は同日午後、犠牲者を追悼するためマーティン・プレイスに設けられた献花台に花束を捧げた。

また、首相は17日、モニス容疑者が野放し状態になっていた理由を調査する方針を表明。「暴力事件や精神的に不安定な行動で長い間有名だった者が、なぜ保釈されていたのかを知る必要がある。諜報機関が08年に同容疑者を調査していたにもかかわらず、なぜ最近、内偵の対象から外していたのかも理解できない」と不満をあらわにした。

容疑者に関する調査は連邦首相府が実施し、15年1月末までに報告書を提出する。同容疑者が来豪して市民権を獲得した経緯、疑われている社会保障の不正受給の有無、銃を取得した経緯、諜報機関がどんな情報をつかんでいたかなどを精査する。立てこもり事件に関する捜査は、これとは別に連邦警察とNSW州警察が行う。

モニス容疑者は本当に単独犯でテロ組織とのつながりはなかったのか。協力者の有無、特殊部隊突入時の詳しい状況など事件をめぐる謎は多い。首相府の調査や警察の捜査によって、真相が徐々に明らかになりそうだ。


アベノミクスの成功は豪州経済にも不可欠
−衆院選で豪経済紙

「安倍晋三首相は経済と安保の改革のバランスを取るべき」−−。2014年12月15日投票の日本の衆院選で与党の自民党と公明党が合計で3分の2を上回る議席数を獲得して圧勝したことについて、経済紙「オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー」は12月18日付の論説記事で注文を付けた。

同紙のグレッグ・アール編集委員(アジア太平洋地域担当)は、安倍氏が衆院選の大勝を受けて「道半ばのアベノミクスをさらに推進するのか、または憲法改正に力点を移すのかが大きな問題だ」と指摘した。その上で「日本は歴史問題を過去のものとし、台頭する中国を念頭に、地域安保のバランスを取るためにより大きな役割を果たすべきだ。しかし、弱い経済と正面から向き合わなければもろく崩れるだろう」と予想。経済力と防衛力は表裏一体との認識を示した。

安倍首相が進める経済再生について、同編集委員は「近年中国に関心が移ったとはいえ、豪州(の経済的成功)は日本の将来にかかっている。豪州は、日本の証券投資、日本への輸出、豪ドル円の為替レートへの依存度が他国よりもきわめて高い。アベノミクスが成功しても失敗しても、豪州が受ける影響は非常に大きい」と分析した。

一方、15日付の地元紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」は、アベノミクス「第3の矢」の成功に疑念を示した。同紙は「成長分野への人の移動を促すものの解雇を伴う労働市場の規制緩和、これまで手厚く保護されてきた農業の改革など政治的にセンシティブな分野に、第3の矢を放つことができるかどうかは疑問だ」と考察した。



想定外の資源価格下落を背景に厳しい財政見通しを発表したジョー・ホッキー連邦財務相(Photo: AFP)

今年度の財政赤字、404億ドルに拡大へ

鉄鉱石など資源価格落ち込み響く−中期経済財政見通し

資源価格の急激な下落による税収減少が、国家財政に深刻な影響を与えている。連邦政府が2014年12月15日に発表した14/15年度(7月1日〜翌年6月30日)の中期経済財政見通し(MYEFO)によると、同年度の基礎的現金収支ベースの財政赤字額は404億ドルとなり、14年5月の予算案発表時の298億ドルと比較して赤字幅は106億ドル拡大する見込み。アボット政権の黒字化シナリオは、大幅な軌道修正を迫られることになった。

赤字幅拡大の最大の要因は、鉄鉱石をはじめとする商品価格の下落だ。輸出額全体の約5分の1と最大の鉄鉱石は、指標価格が年初の1トン当たり約120米ドルから現在は約60米ドルと約50%、5月の予算案発表時から約半年で約30%それぞれ低下した。一般炭の価格も5月比で15%、農産物輸出の主力商品である小麦の価格も同20%それぞれ下落した。

商品価格の下落が主導する形で、今年度の法人税収は23億ドル(今後4年間で144億ドル)、所得税収も23億ドル(同86億ドル)それぞれ減少。税収の減少幅は全体で62億ドル(同320億ドル)に達する見通し。与党保守連合(自由党、国民党)が過半数に満たない連邦上院で、野党が反対したため法案が成立しなかったことによる歳入のマイナス幅も106億ドルに達する。

歳入が減る一方で歳出も増加する。景気の減速によって賃金の伸びが鈍化していることから、中低所得家庭向け優遇税制の支出が32億ドル、低所得者向けの補助金の支出が10億ドルそれぞれ拡大する。チャイルド・ケアの補助金も24億ドル増加する。

この結果、基礎的現金収支の赤字幅は今後縮小を見込むものの高い水準で推移する。2017/18年度の段階でまだ115億ドルの赤字(5月の予算案発表時は28億ドルの赤字)を見込む。基礎的現金収支の黒字化は、当初予定していた4年以内からさらに遠のき、2019/20年度まで持ち越されると予想している。

 

GDP2.5%増で変わらず

一方、主な経済指標の見通しは、国内総生産(GDP)成長率が14/15年度2.5%、15/16年度3%と5月の予想を据え置いた。失業率は14/15年度6.5%(5月時点で6.25%)、15/16年度6.5%(同6.25%)と高止まりする。消費者物価指数(CPI)上昇率は14/15年度2.5%(同2.25%)、15/16年度2.5%(据え置き)と予想した。

ホッキー財務相はMYEFO発表の会見で、成長率が過去1年間で1.9%から2.7%に改善したこと、輸出数量が大幅に伸びたこと、現時点で1カ月当たり平均1万5,000件の新規雇用が生まれていることなどを例に挙げ、アボット政権のこれまでの経済運営と雇用創出の成果を強調した。その上で、財務相は「過去半年間、予想できなかった出来事が豪州経済を襲った(輸出入の儲けを示す)。交易条件は1959年に統計を取り始めて以来、最大の悪化幅を記録した。これは誰の予想よりも急激で深いものだ」と述べ、商品価格の下落が財政に深刻な影響を与えているとの認識を示した。

豪州の基礎的現金収支ベースの財政収支は、97/98年度から07/08年度までの11年間、わずかな赤字だった01/02年度を除いて黒字が常態化していた。リーマン・ショック後は赤字が続いているものの、国民は主要先進国と比較して財政規律を重視する傾向が強い。アボット政権は景気の減速が鮮明になる中で、難しい財政運営を迫られている。



フル・フラット座席を備えた「JALスカイ・スイート」

疲れない日本出張、仕事もはかどる
JAL成田便、ビジネス・クラスにフル・フラット座席

日本航空(JAL)は現在、ビジネス・クラス「JALスカイ・スイート」にフル・フラット座席を備えたフラッグシップ機ボーイング777-300ER型機を成田−シドニー線に導入している。2015年3月28日までの期間限定。これまで同路線になかったファースト・クラス「JALスイート」も設け、特にビジネス客向けの利便性を高めている。

JALスカイ・スイートの座席は、世界的な航空業界の賞「ワールド・エアライン・アウォーズ」で2013年に「最も優秀なビジネス・クラスの座席」に選ばれた。180度完全にフラットにできるほか、格納式の敷居も装備しているのでプライバシーも万全。全座席から直接通路に出ることができるため、ほかの客に邪魔されることなく、深い眠りにつくことができそう。専用の23インチ液晶スクリーンで楽しむ映画などのエンターテイメント、機内で炊き上げる良質な米を使った料理も見逃せない。

さらに上質の快適な空の旅が味わえるのがJALスイート。木目の調度品をあしらった書斎のような空間で、専用のシャンパンやこだわりの銘酒など最高級の酒が味わえる。成田空港では、敏速に入国できる「セキュリティー・レーン」、寿司カウンターやマッサージ設備などを備えたファースト・クラス・ラウンジを利用できるのも同クラスの特権だ。

一方、「JALスカイ・プレミアム」は、座席間の距離を107センチとエコノミー・クラスと比べて10センチ延長。出発前にビジネス・クラスのラウンジが利用でき、チェック・イン荷物の重量制限(1個当たり最大23キロ×2個)も緩和されるなど、エコノミーよりワンランク上のサービスが受けられる。



シドニー郊外にある原子炉「オパール」(OPAL)。2007年に稼働した第2世代の研究炉で、中性子線の基礎研究や医療用の放射性同位体の生産などを行っている(Photo: ANSTO)

首相、原発反対しない、推進再燃の可能性も

アボット首相らがこのほど、将来の原発建設の可能性を排除しない考えを相次いで表明した。豪州は世界有数のウラン輸出国でありながら商業用原子炉を1基も持たないが、下火になっていた原子力エネルギー導入をめぐる論争が再浮上する可能性もありそうだ。

アボット首相は2014年12月1日、会見で「私は原子力エネルギー反対論者ではない」と述べ、原子力は「温室効果ガス削減に効果的なベース・ロード電源(1年中24時間安定して供給できる電源)だ」と指摘した。ビショップ外相も11月30日付の地元紙に「温室効果ガスが排出されないベース・ロード電源は、現時点では原子力しかない」と語った。発電量が不安定な太陽光や風力などの再生可能エネルギーは現在の技術では拡大に限界があることから、外相は将来的な温暖化対策として原子力導入の可能性を示唆した。

連邦政府は14年9月に発表したエネルギー政策のたたき台「エナジー・グリーン・ペーパー」の中で、「温室効果ガスの排出が少ない将来のエネルギー源として、原子力は引き続き真剣な検討の対象となる」と明記している。

国内で現在稼働中の原子炉は、シドニー南西郊外ルーカス・ハイツにある「スイミング・プール型」の研究炉1基のみ。運営している豪原子力科学技術機構(ANSTO)によると、海抜150メートルの高台にあり津波被害の心配がなく、万が一電源が喪失しても自然に冷却される構造だという。ただ、シドニー中心部から31キロと人口密集地に近い上、危機管理や警備の問題点も指摘されている。14年9月には不審者が施設に隣接する立ち入り禁止区域に侵入し、警察が出動する騒ぎも起きた。

豪州の電力源は、石炭の火力発電が8割近くを占める。数百年分とされる埋蔵量と安価が利点だが、二酸化炭素の排出量が多い。一方、原発は国民の反発が依然として根強く、すぐに具体化する可能性は低いとみられる。過去にはジョン・ハワード元首相(1996〜2007年)が原発建設を発表した例があるが、世論の不評を買い、07年の選挙で首相が退陣したこともあって構想は白紙になっていた。


豪州経済のスロー・ダウン鮮明に

7〜9月期GDP、0. 3%増にとどまる

23年間連続の経済成長を続けてきたオーストラリア経済が、ここにきて想定を上回るスピードで減速している可能性が出てきた。豪統計局(ABS)が2014年12月3日に発表した2014年7〜9月期の国内総生産(GDP)は予想を大きく下回り、市場は「悪いサプライズ」と受け止めた。景気をテコ入れするため、中央銀行の豪準備銀(RBA)が15年初頭に一段の利下げに踏み切る可能性も浮上している。

ABSによると、7〜9月期の実質GDPは季節調整値で前期比0.3%増、前年同期比2.7%増。金融メディア大手ブルームバーグが事前に公表したエコノミストの予想の中央値である前期比0.7%増、前年同期比3.1%増を大幅に下回った。

地域別に見ると、州ごとの成長率にほぼ相当する州最終需要(ステート・ファイナル・ディマンド)は、WA州が前期比2.0%減と4期連続でマイナスとなった。QLD州1.4%減、VIC州1.6%減、SA州0.1減といずれもマイナス成長に転じた。TAS州は前期比で変わらず、プラスは10.1%増と好調な北部準州、1.3%増のNSW州、2.1%増の首都特別地域(ACT)だけだった。

事実上の景気後退が続くWA州は、オーストラリア最大の輸出商品である鉄鉱石の輸出拠点。鉄鉱石の国際的な指標価格は、主な輸出先である中国の経済成長鈍化や世界的な生産過剰を背景にリーマン・ショック後のピークの約半分まで下落していて、同州経済に深刻な影響を与えた形。マイナス成長に転落したQLD州も石炭基地で、資源価格の低下が地域経済に影を落としている可能性がある。

また、GDP統計を部門別に見ると、資源投資は前期比5.8%減、前年同期比16.3%減と減少幅が大きかった。資源価格の下落により、輸出入の儲けを示す交易条件は前期比で3.5%、前年同期比で8.9%、それぞれ悪化した。

さらに、国内で得られる所得の合計に等しい国内総所得(GDI)は前期比0.4%減と2期連続でマイナスとなった。このため主要メディアは、オーストラリア経済は「インカム・リセッション」(所得の不況)に入ったと伝えている。資源価格の下落が交易条件を悪化させ、富の海外流出につながった格好だ。

ただ、GDPの悪化を受け、為替相場は豪ドル安に振れていて、通貨高で疲弊してきた輸出産業には追い風となる可能性がある。豪ドルの対米ドル為替レートは12月3日、一時1豪ドル=83.92米ドルと4年半ぶりの安値を付けた。同レートは1豪ドル=1米ドル以上の最高値圏を維持していたが、RBAが13年に政策金利を史上最低の2.5%まで下げ、米国が14年に量的緩和の終了を決定したことから金利差が縮小し、豪ドル安が進んでいた。

なお、景気の鈍化で年初の利下げ憶測も浮上している。RBAは14年12月まで15回連続で政策金利を史上最低の2.5%に据え置いてきた。従来は15年の適切な時期に利上げに踏み切るというのが大方の予想だったが、GDPの予想外の悪化を受けて、年初にも金利を2.0%程度まで下げるのではないかとの見方が出てきた。

ジョー・ホッキー財務相は3日、GDP統計の発表を受けた会見で、景気を刺激するため「サンタのためだけではなく、国家のためにお金を支出してほしい」と呼びかけた。最大のショッピング・シーズンであるクリスマス商戦の行方は、2月3日に開かれる15年最初のRBA金融政策決定会合にも大きな影響を与えそうだ。

オーストラリアの季節調整済み実質GDPと実質GDIの伸び率(%)
年度 2012/13 2013/14 2014/15
四半期 9〜12月 1〜3月 4〜6月 7〜9月 10〜12月 1〜3月 4〜6月 7〜9月
実質GDP 0.5  0.3  0.7  0.4  0.8  1.0  0.5  0.3 
実質GDI 0.0  0.4  0.8  0.1  0.8  0.6  -0.3  -0.4 

(出典:ABS)



2015年8月からブリスベン−成田線に就航するカンタス航空エアバスA330の同型機

カンタス航空、羽田就航へ
日本直行便、8月から大幅増便

航空国内最大手のカンタス航空は2014年12月9日、シドニーと東京・羽田間の直行便を毎日、ブリスベンと東京・成田間の直行便を週4日、それぞれ15年8月から新たに就航させると発表した。成田便の残りの週3便は、近日中に発表するオーストラリア国内の他都市からの発着となる。

同航空の日本路線の便数は1週間当たり往復14便増え、現時点と比較して2倍となる、供給座席数は1週間当たり4,000席以上拡大する。機材は羽田便に米ボーイング747、成田便に欧州エアバス330をそれぞれ使用する。同航空は、過去1年間のオーストラリアから日本への渡航者数が17%伸びていることから、需要が見込めると判断した。

同航空のアラン・ジョイス最高経営責任者(CEO)は声明で「羽田便は日豪経済連携協定(EPA)の発効を受けて需要が高まるビジネス客に特に好評を得るだろう」と述べた。シドニー−羽田便は往路、復路ともに夜出発して翌朝到着するため、出張者が時間を有効に使える運航スケジュールとなっている。

また、ブリスベン−成田直行便の就航により、QLD州を訪れる日本人観光客の増加も見込めるとしている。ブリスベン−成田便の航空券は近日中に予約を開始。15年8月1日以降の出発便を14年12月12〜22日に予約した客には、就航記念の特別料金往復899ドルで販売する。

カンタスの増便は、オーストラリアの日系観光業界にとっても久々の明るいニュースとなった。訪日オーストラリア人のさらなる増加が見込まれるだけではなく、オーストラリアの日本人観光客市場のテコ入れも期待できそうだ。増便の動きがほかの航空大手に広がるかどうかも注目される。

オーストラリアを訪れる日本人短期渡航者数は1990年代のピーク時に年間約90万人に達したが、現在は約30万人と約3分の1まで減少した。日本では、ほかの海外観光地との競争激化やリピーターが根付かなかったことなどからオーストラリア旅行の人気が低下。定期便の撤退が相次ぎ、供給座席数の減少が需要の縮小に拍車をかけていた。


労働党、VIC州政権奪回、高速道路建設の行方は?

VIC州議会選挙の投票が2014年11月29日、実施された。開票の結果、ダニエル・アンドリュー党首の中道左派・野党労働党が下院(定数88)で47議席を獲得、デニス・ナプサイン州首相の中道右派・与党保守連合を破った。労働党は2010年の前回州選挙以来4年ぶりに政権に復帰した。左派の環境保護政党グリーンズ(緑の党)は同州下院で史上初の議席を確保した。

一方、保守連合は同州で1955年以来実に60年ぶりに1期目で下野し、歴史的な短命政権に終わった。保守連合は10年の州選挙で小差で勝利して11年ぶりに政権に復帰したものの、2013年の与党議員(当時)の造反により少数与党に転落した、辞任したテッド・ベイリュー元州首相に代わってリーダーに就いたナプサイン氏の下で建て直しを図ったが、支持率は低迷。選挙戦では、新しい有料高速道路「イースト・ウェスト・リンク」の建設中止、再就職希望者への手厚い支援、救急医療士の賃上げなどを公約した労働党が、有利に駒を進めた。

アンドリュー州労働党党首は12月4日、宣誓式を経て第48代VIC州首相に就任、労働党の新州政権を発足させた。腹心の副州首相兼教育相にジェームズ・マーリノ氏、金庫番の州財務相にティム・パラス氏を起用した。閣僚22人中9人に女性を登用し、女性閣僚比率は豪州でも異例の約3分の1に達した。

VIC州下院各党の議席数
 労働党 47 
 保守連合  自由党 30 
 国民党
 グリーンズ
 無所属
 合計 88 

当面は、労働党が公約したイースト・ウェスト・リンク計画の撤回が、最大の焦点になりそうだ。既に州政府は前政権下で建設業者との契約を進めていて、建設を中止した場合は損害賠償が課題となる。

アンドリュー氏が1日付の公共放送ABCに述べたところによると、「インフラ首相」を自認する保守連合のアボット連邦首相は早速、選挙に勝利したアンドリュー氏に電話をかけ、建設中止の公約を撤回するよう促したという。アンドリュー氏は選挙で信任を得たとして、公約を撤回しない考えを強調した。その上で、ほかのインフラ整備計画については、是々非々でアボット首相に協力する姿勢を伝えたとしている。

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る