北東アジアで 環太平洋経済会議

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北東アジアで環太平洋経済会議

ソウルG20、ヨコハマAPEC

文=青木公

Report from Yokohama, Japanと言う外国人記者のテレビ画面とともに、21カ国の首脳がヨコハマのMM21地区の国際会議場で身近に見られるシーンは、やはり嬉しく感じた。ソウルのG20とヨコハマAPEC会議が11月11~14日に催され、自由貿易圏を目指す経済首脳会議となった。

先進国と途上国、黒字国と赤字国、資源がある国と少ない国ーAPEC・アジア太平洋経済協力会議でアジア太平洋自由貿易圏構想(FTAAP)をめぐるヨコハマ会議。その会場を見物しようと11月初旬、MM21に出かけた。JR桜木町駅から写真を撮りながら歩いていたら、警官に職務質問された。岩手県警察と制服に表示されていた。北海道、群馬、栃木といった応援部隊2万人が、交代で駅、道路に立ち並んでいて、観光地の雰囲気は、一連の会議以前に変わっていた。

日中22分、日米1時間

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警官2万人の警備ー。JR桜木町駅で(撮影=著者)

21カ国・地域が参加して13、14日に行われたAPEC会議には、G20には出なかった台湾、香港なども加わった。全体会議とは別に、個別会議では、本音も出て興味深かった。

例えば、日米(菅・オバマ)は1時間を超えた。一方で日中(菅・胡錦濤)は22分間と、首脳会談の中味の濃淡がはっきりと顕れた。50年になる日米同盟をめぐって、菅首相は、「米軍の沖縄プレゼンスは重要でありがたい」と述べた、という。日中や日ロ間では、尖閣諸島、北方領土という難問があるので、双方とも話は平行線で、会談は冷たく短くなった。米中間では、オバマ大統領は胡錦濤主席に「国際ルールの枠内で…」と牽制するといった具合だった。

日中会談で、胡錦濤主席は、表情を崩さなかった。中国漁船が日本の海上保安庁の巡視船の、船体の構造上最も弱い後部にぶつかった様子が、インターネット上に流れているだけに、もし、胡主席が穏かな表情をしたら、反日ムードの中国国民の反発を買ったに違いない。

米ロ間では、核ミサイルの数を互いに減らす核拡散防止条約が議題になった。

日韓では、菅首相から李明博大統領に、日本統治時代に奪った朝鮮の歴史資料が返却された。

こういった2国間の首脳の厳しい表情が、TV画面を通して身近に見聞できたのは、スケールが大きい国際会議だからだ。

パワーシフトー中国の影

全体会議の議題は、前出のFTAAP。環太平洋の国々が、自由貿易を目指そうという話で、異議があるはずがないテーマだ。貿易面で関税をゼロにしようという構想だ。将来は人材や金融の門戸解放も含まれる。議長国の日本は2020年までの構築を希望していたが、時期については今回、各国間で調整がつかなかった。

具体的には9カ国が交渉中の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)や東南アジア諸国連合(ASEAN=アセアン)プラス3カ国、ASEANプラス6カ国を通じて推進する。

これまでアジア太平洋での経済連携といえば、日本が牛耳ってきた。ASEANプラス3(日、中、韓)とかASEANプラス6(日、中、韓のほかにオーストラリア、ニュージーランド、インド)という組み合わせだった。そこに中国経済の急成長で、パワーシフトが起きた。中国抜きでは、環太平洋連携は立ち行かなくなった。

中国通貨の元は切り下げないでよいのか。輸出でため込んだドルをどう使うのか。レアアース(希土類)の輸出規制は妥当か。東シナ海、南シナ海で領有権、資源開発めぐる海洋戦略??といった課題が、東アジア、アセアン諸国を悩ませている。

中国の胡主席は、APECとは別に行われた国際企業の幹部との会合で、「国際ルール作りに責任ある態度で参加する」と、中国脅威論を和らげ、中国への投資や貿易を増やしてほしいと演説した。

オバマ大統領と鎌倉アイス

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首都圏の駅、街頭にテロ防止への呼びかけポスター(撮影=著者)

NHKのBS国際ニュースでは、各国TV局が自国の首脳の様子を伝えていた。

厳戒体制下、オリの内で開かれたような会議だけに、人間くさいシーンは乏しかった。その中で、オバマ大統領の鎌倉ドライブは、日本人を喜ばせた。ハワイ生まれで太平洋の子と自ら思っているオバマ氏は、アメリカ人の母の再婚相手の国、インドネシアへ行く途中、日本の鎌倉観光で大仏に参り、そこで抹茶アイスクリームを食べたのを懐かしんで、鎌倉を再訪。寺ゆかりの日本人と交流した。

ところで日本はAPECで何をしたのか。議長国として菅首相は、総会を取り仕切ったが、環太平洋のTPPには加わらずじまい。ペリー提督による幕末開国に次ぐ、第2の開国とヨコハマ会議を位置づけたのに、日本農業の再編を理由にTPP入りを先延ばしにした。

APEC会議前後に、超保守派や農業団体は、東京などで、TPP反対の集会やデモ行進した。「関税ゼロになったら、日本の農水産業は壊滅する」と主張。コメでは外国産に800%近い関税をかけて、日本米を保護している。食料安全保障論は、自民党だけではなく、民主党内にもある。

日本の農業は生き残れるか

一連の国際会議でオーストラリアは、どういった立場だったのか。

オバマ大統領と親しげに話す白いスーツ姿の女性は目をひいた。オーストラリアのギラード首相のデビューだった。オバマ大統領は、アフガニスタン出兵に謝意を述べ、早期の訪米を薦めた。農産品の輸出国オーストラリアにとって、TPPの自由貿易構想は大歓迎だ。一方、農業保護の日本にとっては好ましい相手とはいえない。10年以内に関税なしの経済連携は果たしてできるのだろうか。

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