狙え・アジア王者 第3回イラン

アジア・カップ2015連動企画

狙え・アジア王者

第3回 イラン
イラン(出場12回・最新FIFAランキング48位) 
愛称:Team Melli (our teamの意) 戦力:B 実績:A 目標:ベスト4以上 筆者予想:ベスト4

来年1月、当地オーストラリアで開催されるAFCアジアカップ2015の開幕まで、既に3カ月少々と迫ってきた。開幕直前まで6カ月連続で、大会の有望株を紹介する本企画では、これまで豪州、中国と取り上げてきた。今月は、過去の大会でもたびたび、存在感を発揮してきた中東の有力国イランを取り上げる。文・植松久隆(ライター/本紙特約記者)

アジアカップの歴史を紐解くと、過去15大会で述べ7カ国が優勝している。日本の4回が最多優勝で、それ以外の優勝国には、いわゆる中東諸国が多く見られる。その中でも、湾岸諸国の雄サウジアラビア、その湾岸諸国とは民族的出自を異にするイランの両国は、それぞれ優勝3回と存在感を発揮してきた。

本稿の主役イランは、前述のアジア・カップでの3回の優勝以外にも、同大会の出場回数(12回)、勝利数(34勝)の最多記録を誇る。また、W杯の出場回数も、アジアでは韓国(9回)、日本(5回)に続く4回で3位タイ。名実ともに「サッカー強国」と呼ぶにふさわしい実績を上げており、それこそ、西アジアの実績最上位国と言っても異論は無いだろう。


西アジアの雄として、4回目のアジア杯を獲得できるか
AFC Asian Cup 2015

そんなイランは、90年代後半から欧州で活躍する選手をコンスタントに輩出、アジアの中でも秀でた個性の“産地”として良く知られてきた。90年代にアジア屈指のストライカーと称されたアリ・ダエイは、ドイツのブンデスリーガでも活躍したイラン・サッカー界の最大の英雄。イラン代表で149試合109得点(筆者注:いずれも未だ破られないイラン代表の最多記録)を挙げた不世出の名FWは、イラン国内で未だに高い人気を誇る。そのダエイとの“凸凹コンビ”で日本のファンにも馴染み深いのが、コダダド・アジジ。さらには、アジア人の英プレミア・リーグ第1号となったカリム・バゲリの存在も忘れてはならない。

2000年代に入ってからは、ドイツで10年以上プレーしたメフディ・マハダヴィキア、04年アジアカップの得点王となったアリ・カリミなどMFに良い人材がそろった。ちなみに、マハダヴィキアは03年、カリミは04年にアジア年間最優秀選手に選出されている。同タイトルは、前述のアジジが96年、ダエイが99年にも獲得しており、アジア・サッカー連盟(AFC)が同タイトルを選定するようになった93年以降の受賞者国別ランキングでは、イランは日本(6回)に次ぐ、2位タイ(4回)の好成績を収めている。

現代表を指揮するのは、かつて、クラブ・レベルで名古屋グランパス(96−97)やレアル・マドリード(03−04)を指揮、南アフリカやポルトガルの代表監督を歴任してきたポルトガル人のカルロス・ケイロス監督。イラン代表を率いて臨んだ今年6月のブラジルW杯は、3戦1分2敗でグループ・リーグ突破は叶わなかったが、大会後も引き続き代表監督を務め、次の大目標であるアジア・カップに照準を定める。


経験豊かなケイロス監督(右)の手腕に注目が集まる
AFP

現代表の主力に目を向けよう。キャプテンで、チームの精神的支柱として中盤の底でしっかりと睨みを利かせるのが、スペインで活躍するベテランMFのジャバド・ネクナム(オサスナ)。最も注目すべきは、ドイツ育ちのウィンガーのアシュカン・デジェガ(アル・アラビ)。1歳からドイツで育ったデジェガは、各世代のドイツ代表を経て、U-21ドイツ代表としてプレー。ドイツでも将来を嘱望されていたが、12年2月にイラン代表としてデビューして以来、イラン代表の主力として大きな期待を集めてきた。さらには、攻撃のタクトを振るうMFマスード・ショジェエイ(ラス・パルマス)、イングランドでプレーする若い点取り屋のFWレザ・グーチャンネジャド(チャールトン)など、欧州でプレーをする選手たちに要注目だ。

そのイランは、今大会、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、バーレーンと中東諸国のみが集まるグループCに入った。参加16カ国中10カ国を中東諸国が占める以上は起こり得ることではあるが、グループBに“非”中東諸国が3ヵ国集中しているのと合わせてみると、偏りがあるのは否定できない。最新のFIFAランキングでは、イランはアジアでトップの44位で、イランの対戦相手は、UAEが73位、カタール96位、バーレーン104位と続く。実質的にはランキングほど差がないのがアジアの特徴だが、やはり、このグループはイランを中心に回るだろう。

ケイロス監督の戦略を忖度すれば、勝ち点をできる限り落とさず確実にグループ・リーグを通過することが最低目標。できれば、1位通過で、グループDを1位通過する可能性の高い日本との準々決勝での対戦を回避したいという思惑はあるだろう。決勝トーナメントの組み合わせ次第だが、若手、中堅、ベテランに国際経験豊富な選手を擁するチームをケイロス監督が上手く御することができれば、ベスト4まで勝ち上がってきても驚きはしない。そうすれば、日本の決勝の相手がイランになる可能性も低くはない。そう思えば、この西アジアの雄・イランの動向から、ますます目が離せなくなる。

文・植松久隆(本紙特約記者/ライター) Text by Taka Uematsu

日豪プレスOBでもあるフリーランス・ライター。本紙特約記者として、スポーツに留まらずさまざまな分野の記事を本紙に寄稿してきた。本紙連載で好評のコラム「日豪サッカー新時代」は5年目に突入、連載100回を目指す。豪州サッカーを日本に発信する自称“豪州番記者”として、さまざまなメディアで豪州サッカーについて発信中。

 

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